『アウトラン』

 アーケードからの移植。セガ作品。車に乗って制限時間内に
ゴールまで走るゲームであるが、レースゲームというよりは、
オシャレなドライブゲームという感じだ。運転する若者は隣に
カノジョを乗せ(運転席が左。外車か)、自然の魅力あふれた
コースを走る。道は途中で二手に分かれ、右と左どちらを選ぶ
かで、展開する景色とゴールの雰囲気が変わる。
 私が初めてこのゲームで遊んだのは、専門学校生だった18才
の時。もうゲームセンターでコソコソしなくてもよい年になっ
た私は、ドキドキしながらゲームセンターに足を踏み入れ、車
の形をした、アウトランのきょう体を目にした。
(私が最も愛するレースゲーム、コナミの『WECル・マン2
』は、このゲームセンターには置かれておらず、
別の場所にあった。私が最初にプレイした車系アーケードゲー
ムは、この『アウトラン』だ)

「へえー、こんなゲームがあるんだ〜。面白そうだけど、車の
運転が出来ない私でもうまく操作できるんだろうか?」

 少し不安に思ったものの、実際やってみるとすぐ慣れた。が、
なかなかゴールまでたどり着けない。スピードを出しすぎてク
ラッシュする、トロトロ走っていると時間切れになる。何度も
挑戦した後、自分が一番走りやすいコースでようやくゴール。
完走できるとやはり嬉しい。
 走行中に流れるBGMは3種類の曲から選択できるようにな
っているので、同じコースでも気分をかえて走れる。この作品
の“走る楽しさ”は、軽快なノリの、曲の力に支えられている。
最後のネームエントリー(ランキング表示)の時の曲も良く、
走り終わったプレイヤーに「お疲れさま」と言ってくれている
ような、静かな心地よさがあった。「気がきいてるな」と思っ
たものだ。
(後に出た、続編の『アウトランナーズ』(→曲の感想)は見
たことがない。ちなみに“アウトラン(outrun)”には、“より
速く走る。走って追い越す”という意味がある)

   →1990年12月