ゲームミュージック 第四十一回 (’97/12/17) 

「オリジナル サウンド オブ WECル・マン24」

【ネタばれ注意】少々ゲーム内容に触れます。

★「オリジナル サウンド オブ WECル・マン24 ■アーケード版■」
 (カセット 価格不明(箱紛失のため) アポロン音楽工業 KHY1018)

 アーケードのレースゲーム。同じコースを、制限時間内に4周するとゴール。
昼から夜、そして朝へと、時間の経過にともなって景色の明るさと曲が変化して
いく。コナミの作品。
 「WECル・マン24」は唯一、私がゲームセンターで1コインクリアできる
ゲームだ。レース途中でのコンティニューはできないので、1コインクリアする
しかない。

 セガのアウトランの人気が高かったころ、ぽつりとこの「ル・マン」は置かれ
ていた。赤と白のコンパクトなきょう体。なんてかわいいのだろうと、ひと目見
て気にいってしまった。アウトランも確かに、キレイでなかなかおもしろいのだ
が、私にはちょっとむずかしかった。クラッシュの連続。コースが複雑で覚えき
れない。その点、「ル・マン」のコースはシンプルで覚えやすい。これなら、私
にもクリアできるかもしれない。

 訓練の日々が始まる。今だったらとてもこうまで熱中しないだろうと思われる
ほどの時間とお金を費やした。しかし、最初の甘い見通しは外れて、なかなかゴ
ールできない。4周めまで行けるようにはなったものの、あとすこしのところで
時間切れになってしまう。クラッシュなしで走っても、ブレーキを踏みすぎると
ダメである。4周めに「クリアできない見えない壁」が存在するのだった。

 だがある日、ゴールの瞬間はやってきた。それは何とも言えず感動的であった。
一度ゴールしてからは、何回かの割でまたゴールできるようになった。タイムア
タックもできたけれど、ただ走ってゴールできればそれでじゅうぶん楽しかった。
クリアしてエンディングを見たらハイ終わり、ではなく、何度も何度も遊んだ。
それでも飽きることはなく、毎回スリルと緊張感がある。音楽はさいわい、ちゃ
んと聴こえるボリュームになっていたので、自分で口ずさめるようにもなった。

 このカセットをレコード屋の店頭で見つけたときは即、購入した。このゲーム
のおもしろさは、雰囲気を高める音楽によって強力に補助されている。とても良
い音だ。


[A面](約13分)

1.HELLO ANGEL
 コインを入れると赤のスタートボタンが点滅し、この曲が鳴りだす。ここちよ
い旋律。座席に座ってしばらくそのまま音の響きを味わう。ずっと聴いていたい
気分を断ち切ってスタート。「..よし!」と気合いを入れる。
2.HIGHWAY KILLER
 1周めの曲。THREE..TWO..ONE..ZERO! わくわくする。とにかく時間内にコー
スポイントを通過しなければならない。
3.SHOUTING!
 2周め。ひたすら走り続ける。
4.TIME HAS COME
 レース結果を表示する場面の曲。回っている感じが出ている。
5.A LITTLE DEVIL
 これは..成績があまり良くなかったときの曲だっけ? 最近ずっとトップ3
に入っていたので記憶が..(私以外にあまりこのゲームで遊ぶ人がいないから
なあ(笑))。
6.GARAXIAN EXPRESS(アレンジ・ヴァージョン)
 4周めの曲のアレンジ。曲の展開が変わるところがとてもきれい。


[B面](約12分)

1.CRAZY SPEEDER
 盛りあがる3周め! とにかく「行け行けぇ!」である。スピード感があり、
レースのスリルを増してくれる。
2.GARAXIAN EXPRESS
 4周め。夜が明けて朝の時間が流れる。さあ、とうとうここまでやってきた。
ゴールはもうすぐ。3周めの、思考がふっとぶようなテンポからすこし解放され、
落ちついた雰囲気になる。しかし気を抜いてはいけない。
3.IN MY DREAM
 ゴール。人々の歓声のなか...祝福をうけ、夢ごこち。タイムが表示される。
昔、MSXでこの曲を再現しようとしたのだが、あまりのむずかしさに挫折した☆
4.WINNING RUNNER
 ネームエントリーの曲。ハンドルを回してアルファベットを選び、アクセルを
踏んで決定する。決定するたびにエンジン音が鳴るのがおもしろい。
5.HIGHWAY KILLER(アレンジ・ヴァージョン)
 なんと、英語の歌つき。日本のロック歌手が歌ってる、という感じ。味がある。


 先日、ついに近くのゲームセンターにあった「ル・マン」が姿を消した。ずっ
と現役だったのに、とうとう引退したのだ。とてもさみしかった。「長いあいだ、
ご苦労さま」と、今はどこでどうしているかもわからない彼に祈った。
(しかし、あと一軒、まだ置いてあるところを知っている(笑)。安いタイプの
やつだけど(やっぱり、ぐるぐる回るタイプのほうが楽しいなあ)。でもそれも、
いつなくなってしまうかわからない)

 収録曲中にゲーム中の声やエンジン音、タイヤの鳴る音も入っていて雰囲気が
出ている。一曲の長さもちょうど良い。ファンの私にとってうれしい出来である。
'94 9/25 NIFTY-Serve FCGAMER ゲーム音楽館 #533
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