『ライブ・ア・ライブ』(感想)

発売日 1994年9月2日
定価 9900円
メーカー スクウェア
内容  各シナリオごとに世界観や主人公がすべて異なる、
 オムニバス形式のコマンドRPG。


注:ネタばれの感想です。
<各シナリオ感想>プレイ順
☆近未来編
 「人の心を読み取る能力」というアイデアが面白いな。主題歌が泣かせるじゃ
ありませんか(笑)。松さんの背中の「男」の字もシブいっ。シャンプーハットを
頭にかぶって外へ出る主人公は、想像しただけで爆笑。全シナリオ中、キャラク
ターデザインの味が一番よく出ていると思う。

☆原始編
 「ざき」のおシリがセクシィ(笑)。セリフなしで、すべてゼスチャーで表現し
ようという試み。もし普通にセリフつきだったら、このシナリオの魅力は半減し
ていただろーな。戦闘の曲はアウトランのパロディ?

☆SF編
 「キャプテンスクウェア」のタイトル画面にウケた(笑)。右下にいるBASA
RAのフクロウにもウケた(これ、シンバシ?(笑))。ARUMAT SOFT
って、“田村”の逆なんだね(この曲どことなくコナミっぽいな)。ヘビーモス
に出くわすとビビる。犯人は誰か。スリル満点。アドベンチャー色が濃いシナリ
オ。でも面白かった。ドキドキした。最後のほうのセリフがジンときた。

☆幕末編
 合い言葉、途中でわかんなくなっちゃうんだよね(笑)。謎の村雨城を思いだす
なぁ。忍者らしさが出てる。天井裏にいた親子は、あれからどうなったんだろ?

☆西部劇編
 これまたシブイィー! 口笛が身にしみるぜ。鐘がなるまでに探す、というの
は緊迫感があるなあ。「おっ」と思ったのは町の建物の描きかた。横方向の大き
な通り道をはさんで道ぞいに建物が並んでるんだけど、道の下側の家は“ちゃん
と道側に出入口がついている”(だからプレイヤー側からは見えない)。
RPGの建物って必ず家の南側に出入口があるけど、この場合、それは不自然だ
から。ちょっとしたことだけど、こういうこだわりはいいな。
 町の保安官が結局ほとんど何もしなかったのが、最後の彼のセリフの力を弱め
ていて惜しい。「大きくなったら、ぼくもきっと、おじちゃんのような保安官に
なる!」と決意してそうな、ラストのビリーは良い。“パパのような”ではない
とこがミソだったりする。

☆現代編
 おおっ、これは格闘アクションなのかっ? ……と一瞬思わせる、いきなりの
対戦相手選択メニュー(笑)。ラストバトルのコンティニューカウントが親切。

☆功夫編
 おじいさんのキャラクターが魅力的。もう年で完成しきっているから、戦って
も成長しないっていう設定がいいね。伝承者はユンでクリア。難易度の低いシナ
リオで短いけど、この話すごく好き。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 メニュー画面の壁紙やカーソルがシナリオごとに違っていてオシャレ。クリア
したシナリオの曲が聴けるのも、気分転換ができてよかった。曲とキャラクター
の動きが同調していてリズミカル。戦闘では、ダメージ受けると膝をついたり、
へたりこみそうになっていくのがわかりやすくて雰囲気出てる。
 曲も、いいですねぇ。全曲良いけど、プレイ中の休憩時によく聴いていたのは、
「MEGALOMANIA」「WAIT FOR TRUTH」「PSYCHOで夜露死苦!!」。
 特に好きなのはSF編、功夫編、近未来編かな。どのシナリオも「人間」を描
いているところがいい。……というか、作品テーマがそれなんだよね。「どうせ
人間なんて……」が、「それでも人間って……」へと回帰する。TO BE CONTINUED
 …の後の展開には、震えがくるほど感動しました。あまりに構成がうまいんで、
ちょっとクラクラきてしまったですよ(笑)(私は、最後にああやって皆が集まる
ってことを知らない状態で遊び始めましたから)。

 唯一、いきづまりそうになった、「もうこれは攻略本を頼るしかないか?」と
諦めそうになった箇所がひとつありました。「知」の迷宮の鏡の謎です。ちゃん
とやってるのに成功しない。どうして〜? ……としばし悩んだ後、ある事実に
気づく。そうか。私、キューブの姿を左右逆に見てたんだ。あの、黒い部分が目
だと思い込んでた(ちゃんと目、光ってるのに)。鏡しか見てなかったからなー
……これというのも、キャラクターサイズが小さいからいけないんだぞう。もう、
まぎらわしいんだからー。(←そんな理由でひっかかるのはお前くらいだっ☆)
 中盤までの難易度はそう高くないけど、最後は「あ、これはやっぱりスクウェ
アのRPGだな」と思わせますね(笑)。レベル上げが面倒くさくて逃げてばっか
りいたら、ダメ。勝てない。FFやロマサガみたいに「ムチャクチャなダメージ
くらって全滅」ってことはないので、がんばれば勝てるし、逃げられるからよか
った☆ 最後のレベル上げがちょっとつらかったけど、強くなって技を覚えてい
くのは嬉しかったです。ラストメンバーはキューブ(主人公)、おぼろ丸、日勝、
ユン。最後はキューブとユンだけが残って「ハイスピードオペ」&「旋牙連山拳」!

 オープニングデモ(電源入れて放っておくと流れるデモ)は、ゲーム中のイベ
ントシーンの使い回しなんだけど、各物語の紹介をしつつ、プレイしてみようと
いう気を起こさせる。でもそのまんまじゃ魅力が足りないから「LIVE A LIVE」の
文字をかたどったカメラワークでスクロールさせる。わずかな容量で、ここまで
効果的な見せかたが出来るもんなんだなーと感心します。
 「どこに力をそそいだら、より質の高いものになるか」ってことがわかってる
かどうかが、面白いゲームになるかどうかを決めるのだと思います。この作品は
7人の漫画家がキャラクターデザインを担当していることがウリのひとつなわけ
ですが、例えばオープニングデモで登場人物の顔アップのビジュアル(原画に近
いもの)を描き起こしたとしても、オープニングにしか使われないんじゃ、もっ
たいない。オープニングデモがないのは寂しいしアピール性にも欠けるからつけ
る必要はある、けれど、そこに容量をかけすぎず(それでいて、ちゃんと立派な
デモになってる)、ゲーム本編により多くを投入する……。この作品のスタッフ
さんたちは「わかっている」人たちだと思います。こういう、「ゲームづくりの
魂」とでもいうべき精神を持った開発者さんたちの数がもっと増えてくれたら、
ゲーム業界の未来も安泰なんですけど、ね。


'96 9/21 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #26995(改稿)
                    (登録日 '96/10/30)
ソフト発売1994年9月備考レビュー