『惑星ウッドストック〜ファンキー・ホラー・バンド』 |
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発売日 1991年12月20日 定価 6800円 メディア メガCD メーカー セガ 内容
楽器を武器にするコマンドRPG。
注:ネタばれ内容を含みます。
'93 10/8 NIFTY-Serve FCGAMEM
メガCDソフト第一弾!ファンの期待を一身に背負った超期待の星、その名も
「惑星ウッドストック〜ファンキー・ホラー・バンド」〜〜!!(長い題だ)
発売後、プレイヤーからのさんざんの罵詈雑言と、いつかマイナスになって地
中へもぐってゆくんではなかろーかという地面スレスレの低空飛行売価、未プレ
イの人からは「いったいどういうゲームなんだ??そこまで言われるとは?」と
興味を持たれ、プレイ済みの人からはフリスビーにしようとまで言われている、
このソフト。かつてここまで言われた新ハード第一弾ソフトがあっただろうか?
これは、ゼヒともプレイせねばならない、それも記念すべき私のメガCDソフト
クリアの最初の作品にせねば!...と、いつしか思うようになっていた。
プレイ開始する前からもの凄い先入観があるので(笑)、オープニングが出る
瞬間、構えてしまったけど..すごくスムースに絵が流れる。全然アクセスによ
るストップがないのでは?はっきり言ってPCエンジンCD−ROMの、”真っ
暗闇ストップ(読み込んでいる間、画面が真っ黒になって待たされる。音楽もと
ぎれる)”の連続というソフトにうんざりしていた私には驚異的ですらあった。
これはマシンの性能がすごいのだろうか、それともプログラム的にすごいのだろ
うか、まだ他のMCDソフトをやってみてない私には判断がつかない。でも感心
してしまった。(PCEもSCDになってからはかなり良くなっているみたいだ
けど)
音楽とグラフィックの動きをシンクロさせようとしているのは良いと思った。
ちょっとだけ、新曲のプロモーションビデオを観ているみたいな気分のオープニ
ングデモ。
タイトル画面で「スタート」か「コンティニュー」を選ぶと、タイトルロゴが
明るくなるのが良い。(”どこでもセーブ”できるのもgood)
バンドメンバーはほんとにエイリアン、って感じのデザイン(これは好き嫌い
あるだろうな(..好きって人いるのか??))。主人公はちゃんと人間の顔を
した男の子だったのでちょっとホッとした(はじめ見た時、「イース」のアドル
に見えてしまった☆)。(しかし、CD−ROMのビジュアルって、オープニン
グのはめちゃくちゃ力入ってるんだけど途中からのは妙にデッサンくずれてたり
するんだよね..同じキャラでも別人の顔、とか)
いわゆるコマンドRPG。しかし経験値によるレベルアップではなく、戦闘な
どで入手したアイテムでステータスアップさせていく。これがまた面倒で、いち
いちアイテムを選択して使わねばならない。戦闘後のアイテムプレゼントは結構
ひんぱんにあって、最初はそれが嬉しかったのだが、新しく入手したものは持物
欄の最後につけくわえられていくので、いちいちカーソルを最後まで移動させな
いと使えない。大変に面倒。アイテムつけくわえるのを最初の方からにするか、
ひとつの大画面にして選びやすいようにするかしてほしかった。
持物の1画面には6個のアイテムが表示されていて右へと続いていくのだけど、
せめて初期位置から左にもカーソルが動かせれば、入手したアイテムをを使うの
がもっと楽だったのにな。
しかもステータスアップは一気に大幅アップ、ではない。アイテム大量消費で
チビチビと強くなっていくのでうっとーしい。”一気にアップ”だとバランスが
とれなくなったり、”アイテム出現回数を少なくする”だとイヤでもたくさんの
戦闘をこなさなきゃいけなくなったりするから、こうなったのかな?
最初の名前入力はとてもしやすい。カーソルの動きがスムースだし、効果音も
好き。ウィンドウの開閉の感じもよく、スピーディ。
コマンド開いたり決定したりするのはAボタンなんだけど、他機種のゲームで
はパッドの右側のボタンでそれをするのでこの作品の”左側Aボタンで決定”は
慣れるのにちょっとかかってしまった。
戦闘画面。さあ、どんな敵が出てくるのか?画面フラッシュの後に現れ出た、
記念すべき最初の敵は..「クリ!?」。栗である。秋の味覚、栗に顔が描かれ、
手足をつけてある。名前がイカシている。”キング クリキントン”(大爆笑)。
画面はコマンドと、敵のグラフィックが出ている他は真っ黒。まるでファミコ
ンRPGの画面を見ているかのよう。これがCDのRPGだなんて...。町の
グラフィックはそうでもなかったのに、この戦闘画面になると急にチャチくなる。
ちょっとデザインがさみしい。敵のグラフィック&攻撃時のの変化も、イマイチ。
もう少し凝ってほしかった。読み込みデータを少なくするために、こんなにシン
プルにしちゃったのかな?
敵とのエンカウント率が結構高い。しまいにはイヤになって「逃げる」の連続
である☆(幸いにして!!、”逃げる”は成功しやすい。私の場合、必ず二回め
には逃げることができた..それでも面倒なことに変わりはないが☆もしこれが
「ほとんど毎回逃げられない」というやつだと、プレイ中にかかるストレス値は
「倍、さらに倍」になっていたことだろう)
最後の方でアイテムがごろごろ落ちていることを考えれば、出あう敵すべてと
まともに戦闘すること自体、ばからしくなってしまう。
ダンジョンなどでは敵のまったく出てこない場所もあり、それは非常にうれし
かった。”洞くつ”の中がミョーに整備されていて人工的な匂いがするのは謎だ
ったが☆
ゲームは章で区切られている。
★第1章★最初のところで一度「はなす」を押せば、次々と勝手にキャラがしゃ
べっていくのが楽だった(ひとりひとりに話しかけるのは結構、面倒だから)。
バムのしゃべり方がおもしろい。木々の間を歩けるのがよかった。レアの洞くつ
へ行き目的を達して戻ってきたら、バンドメンバーが家にいて「レアの洞くつへ
行こう!」と言いだしたのにはまいった(行く前に、家に寄らねばならなかった
んだな..目には見えないけどてっきりついてきてるものだとばかり..☆)。
後半の、三流ドラマのようなノリはちょいと作為的な感じがして、「よかった
なあ」とキャラと一緒になって喜べず、醒めた眼で見ているしかなかった。
★第2章★...ちょっと、待ったあ!なんだ、これは??こんなの初めて見た。
前代未聞だ。楽でいいけど...。(CD−ROMなんだから、容量が足りなか
った、ってことではないよな?)こういうところが、「ミュージカルRPG」と
いうわけなんだろうな(「痛快」かどうかは別として☆)。
★第3章★なかなか、良かった。ワトリーのシーンは曲もとてもよく、雰囲気が
出ている。この作品は基本的に人の話をこまめに聞いてゆけば自然と進んでいく
のだが(第2&4章では詰まりようがないし(笑))、もし行き詰まるとしたら
この章のあそこだろう。最後が御都合主義でないのも第1章と違って良い。
★第4章★同じグラフィックを使い回してる部分はあるものの、ここまでノンス
トップで絵が流れるのはやっぱり嬉しい。(しかしなんで楽器演奏で敵を倒せる
のだ...?)最後の部分はちょっと駆け足すぎる。
★第5章★愛とか勇気とか、言葉だけでなくエピソードで感じさせるようにして
ほしいものだ。私は結構、その手のメッセージを「ふむふむ」なんて真剣に読ん
でしまうのだけれど、あまりそういうたぐいの言葉(だけ)が続くとウソっぽく
思えてきてしまう。6つの質問、自分がほんとはそう思ってなくても「正しい」
答えを選択しなければ先へ進めない。嘘も方便ってやつだな☆
しかし「光」と「闇」っていう要素は、人間にとってよっぽど切り離せない身
近で重要なテーマなのだなあと、あらためて考えた。ふたつは表と裏で同じひと
つのもの、片方だけの存在はありえない..。最後の、声のダブらせ方は好き。
実にさまざまな種類のアイテムがあるけれど、一体どれが武器なのか防具なの
か薬なのか見分けにくく、効果も名称のイメージからは想像できないものがあり、
使用(装備)してみないとわかりづらいのが難点。
装備の時は装備可能なものだけをウィンドウに残すようにしてほしかった。
人物や拡大の背景グラフィック、アイテムの名称(スターベリーとか)などが、
なんとなく「ファンタシースター(1)」を思いださせた。少なくとも「ファン
タシースターIII 」よりはずっと”ファンタシースター”っぽい感じがした(笑)。
キメのこまかい絵で、好き。特に背景描写が美しい。
[センリツ]
魔法にあたるものが”センリツ”というやつで、NR(ノリ)というポイント
を消費して使用する。フィールドで使った時、五線譜と音符が表示される効果は
面白い。同じセンリツでも装備する楽器によって効果が違うらしいが、そこまで
研究する気になれなかった..。なお、何故か楽器を装備してなくてもセンリツ
を奏でることができる。謎だ。
*ポコのセンリツ...NR消費ゼロはありがたいが、なんだか間が抜けてる。
*アチョのセンリツ..イヤホンしてプレイしてると耳にキーーン☆とくる。
(ダブダのセンリツも同様)
*カポのセンリツ...”漢方”の略かな?この音はちょっと耳ざわりだ(笑)。
(カポレ) もっとヒーリングしてるかのようなここちよい音がいい。
*オタチダイのセンリツ..ある楽器でなければつかえない、といいつつ、他の
楽器装備してても奏でることができるのは謎である。
階段など、画面が切り替わる場所に移動した瞬間、敵と出あったりするので、
戦闘終了後そこから一歩動いてもう一度上に乗り直さねばならないのは面倒だ。
「話し終わると一歩後ろへしりぞくキャラ」がいたのでニヤリと笑って(笑)、
連続して話しかける。どんどん一歩後退させ壁にめり込ませるのに成功。ふー、
楽しかった(笑)。
曲や効果音はCD(セガ)だけあってわりと良い。オープニングデモ曲のキー
ボード(?)の音がいい。第1(&5)章フィールド上の曲はかなり好き。他に
もサウンドテスト(あるのかな?)で聴きたいな、と思う曲が結構あった。でも
ボスとの戦闘の曲くらいはザコ敵の時のとは違うのにしてほしかったなー。意気
込みが全然違ってくるんだから☆
声のしゃべりも、それぞれがなかなかそれっぽくしゃべっている(プロの人に
こう言うのは失礼かもしれないけど☆感情こもってて味があり、いいなあと思っ
た..結構、しゃべる箇所が多いせいかな?)。メンデスはいかにもリーダー、
って感じの声。
説明書には「よく解るホラホラ星語」なんてのも載っているが、ゲーム中には
ほんのわずかしか出てこない。こんなとこに凝るくらいならもっと他のところに
力入れてほしい気もした...(「ウッドストック文明史」ってのもある。これ
書いた人、思いっきり楽しんでるな(笑))。
ゲームクリアまでについに主人公が死ぬことは一度もなかったが、死んでしま
った時の表現(ドラクエで言うところのカンオケ)とか、宝箱が楽器のケースに
なってるところとかは面白い。でもどうして死んでしまうとオープニングデモに
戻るんだろう...(再度デモを見てゲーム続行の気力を溜めよ、と?)。
プレイしてみて、完全なるク○ゲーというわけでもない、とは思う。では何故
ここまで評価を落としてしまっているのか?それは思うに、ファンキー・ホラー・
バンドのキャラデザインがあまりに”キている”のと、戦闘のつまらなさ(これ
は大きい。はっきり言って、センスがイマイチ)、”成長”の面倒くささ、など
のせいではないだろうか(普通の経験値稼ぐRPGも面倒ではあるのだが。もう
少しアイテムの使用法など考えれば、この作品のシステムはかえって楽なのかも)。
それと、”メガCD最初のRPG”としての過大なる期待とのギャップがさら
に悪イメージに拍車をかけているのだろう(実際、”音が良く、ビジュアル画面
もきれいなファミコンRPG”だと思い込んでプレイすれば、なかなかの作品と
思えるのかもしれない。いや、それを言ったらファミコンRPGに失礼か...
ファミコンにこそ、傑作RPGが多いのだから)。
ものごとを外見だけで判断するものではないが、バンドメンバーたちの面々は
プレイヤーをして一歩後ずさりさせるのにじゅうぶんな何かを持っている。これ
がもし「かわいい」あるいは「美形」のキャラであれば、もう少しは”受け”が
良かったのかもしれない。ワンパターンのキャラデザインでなくこういう個性的
なものにしたのはえらいとは思うが(実際、インパクトはかなりのものである)。
(「宇宙船サジタリウス」というアニメはキャラがほとんど異星人タイプである
が、あれにはまだかわいげがある&親しみが持てた)
あと重要な点なのが、主人公を含めて、すべての登場キャラクターに感情移入
しにくかったこと。キャラクター描写がなんだか表面的というか、薄っぺらなの
である。「ファンタシースターII」のネイのような、プレイヤーを惹きつけてや
まないキャラを出してほしかった。
ファンキー・ホラー・バンドのメンバーが、ただゲーム設定のためだけに出て
きたかのようで、うまく活かしきられていないのだ(旅の仲間にひとり選べたり
するけど、基本的にほとんどなにもしていない(ように思える)。仲間になって
もらわなくてもそんなに困らない(戦闘がつらくない。逃げられるし)。ヒント
だけをくれる村人とほとんど同じレベルのような気がする。少なくとも、説明書
裏に書いてある「大活躍!」なぞしていない)。
キャラに感情移入できないゲームというのはつらい。どうしても客観的に眺め
てしまうので、やたら欠点ばかりが目についてしまう。ストーリー上で目的を達
成しても、画面上のキャラのグラフィックほどは喜べない&嬉しくないのだ☆
演出というかゲームカラーというか..”売り”にする部分が中途半端な気が
する。”ホラー”とついてるわりにこわくないし、ギャグに徹するわけでなし、
どシリアスにかっこよく、ってわけでもなく、肝心の”ミュージカルRPG”に
しても目をみはるほどの完成度ではない...。CD−ROMならではのものを
つくろうということで音楽を題材にしたのだろうけれど..。ゲーム中ほとんど
アクセスが気にならないのはとても良いが、それ以外のところで爽快感がない。
プレイしててあんまり、楽しくなかった。
ノリが足りない。
SEGAゲームマシン会議室 #495
(登録日 '98/11/4)
ソフト発売 1991年12月 備考 なし