『ファンタシースター〜千年紀の終りに〜』<PHANTASY STAR
 −The end of the millennium−>

発売日 1993年12月17日
定価 8800円
メディア メガドライブ
メーカー セガ
内容  セガマークIIIおよびマスターシステム時代から 
 つづく、コマンドRPGシリーズ第4作め。


注:ネタばれ内容を含みます。
 かつて、マスターシステム版「ファンタシースター」をプレイし、メガドラ イブ版の2、3もクリアした。そして4作目にあたるこの作品の発売。 このシリーズは3で消滅したかとひそかに思っていたのだが(笑えんなあ)、 復活してくれて嬉しい(でも”4”とつけないってことは、続編はないという ことなんだろうか?サブタイトルだけずっと変えてくのも無理があるか..)。  電源ON。パッと「SEGA」の社名ロゴが出ると同時に鳴り出すオープニン グ曲。テンポよく状況説明、キャラ表示がなされる。最初からプレイヤーの興味 をひきつけて放さないぞといった意気込み。こういう覇気があってこそ、作品は 輝きを増す。(最初に出るプロローグ「..成すは絶え無き千年紀...」って いうの、「聖伝(RG VEDA)」みたいだなあ☆)  今回の主人公はルディという少年。一瞬、PS2のネイか?と思ってしまう、 赤毛の動物耳キャラ・ファル。「SPEC」で連載していた「サード」っていう 漫画のキャラではないか! よしぼんさんの絵はやっぱり好きだなあ。 (注:「SPEC」は以前SEGAが発行していた、ゲーム開発秘話やMD作品 を題材にした漫画(開発の方が描いてるのだ!)、新作ソフト・新ハード情報な どが満載された小冊子のこと。最初の方はごく簡単な情報新聞といった感じだっ たがそのうち同人誌形態をとるようになった。会員には会員証が発行され、おお ばん振舞なことにすべて無料である(入会時だけは何か要るんだったかな?)。 読者のおたよりページもあった。 現在は開発さん達のあまりの多忙さゆえか、それとも他に理由があるのか、新し い号が発行されなくなって久しい。たまに号外が出たりするくらいである。ぜひ とも時間をつくってこれを復活させ、SEGAの良さを(さらに)アピールすれ ば、その会員の地下活動(笑)は馬鹿にできないものがあると、私は思っている のだが)  マルチウィンドウならぬウィンドウビジュアル(コマンドウィンドウのように ワクが開き、絵による会話の説明補足、キャラの心理描写などをする)の展開が 良い。この細かいビジュアルの追い方は、今まで他のゲームでどこかがやってい そうであまりやっていない手法だ。CD−ROM作品のようにアニメするのでは なく、瞬時のポイントビジュアル補足なので邪魔になっておらず、それどころか 作品世界の理解に深みを加えてキャラに感情移入させる、良いやり方である。  絵はCD−ROMのに比べると”ドットが粗い”という感じがしないでもない けど、原画の雰囲気はよく伝わる。  背景を調べるといちいち細かく丁寧なリアクションメッセージが返ってくる。 それによって状況説明、キャラの性格描写もおこなっている。パーティメンバー が増えると、人々とのすでに終わった会話に、さらに新メンバーのセリフが追加 されたりもする。ていねいに創ってくれてるなと嬉しくなる。こちらとしても遊 びがいがあるというものだ☆(こう、こなくっちゃねっ!)  ”そうだん”コマンド(1人の時は”ひとりごと”)によって、次に何をやれ ばよいのかがわかり、親切。この時のキャラの会話が結構楽しい。  戦闘はキャラの動きがしっかり描かれていて良い。マクロという便利なものが あり、8つ分のキャラの行動パターンを記憶させておき、それを選ぶだけでその 行動を実行してくれる。普通のオートコマンドよりも細かい設定ができて良い。 コマンド対応ボタンを変えることのできるコンフィグモードもある(これは全然、 使わなかったけど。マクロもCまでしか使用してないな)。パソコンみたい。  敵グラフィックの動きが曲と同調してたりする。点滅してる部分がきれい。  未来的な感じのメカっぽいグラフィックの出来が特にすばらしい。  キャラデザインと戦闘シーンのためか、全体的にPS2のイメージに近い。コ ンティニューの時、選んだファイルに描いてある仲間がくるっとこっちを向くの がかわいい。持ち物はかなりの数を持てるが、それでもいっぱいになった時さら にアイテムを入手するとお決まりで「なにか(持ち物を)捨てますか?」と聞い てくる..この時にHP回復薬などは「捨てる」かわりに、その場で「使ってし まう」ことも可能になっている。これは嬉しい。捨てるのはもったいないよね、 たとえモノメイト1ケでも!(びんぼーしょー)(笑)  マークシートの解答欄みたいなコマンドシステムは好き(あ、この赤いランプ、 何故だかFCの「マインドシーカー」を思いだすな...)。使いやすく出来て いるが、パッドが悪いのか(私はMDにもともとついてるパッドを使っている)、 十字キーで選択した時に行きすぎて他のコマンドをよく実行してしまう。戦闘の 時、マクロを使おうとしてその下の「とうそう(逃走)」を選んでしまい、さら にそれが失敗してタコ殴り..悲惨である。あと、多少の障害物は避けて歩いて くれるけど、それも意図しないヘンな方向に歩いちゃったりする時があるな☆  それにしても、パッケージに描いてあるイラストのキャラクターが全員、女性 に見えてしまうのは私だけだろーか?  説明書の”使用上のご注意”のところに細かくイラストが描いてあって楽しい。 ■キャラクターたち■  演技や会話が凝っていて、笑わせてくれる。親しみがわく。 [ルディ]..かわいい男の子。素直で、いい子だ。とても説明書に書いてある 「元ストリートキッズのリーダーで倉庫荒らしの常習犯」には見えない(よほど ライラの”教育”が効いたのか..)。棚を調べる時「ひとんちのたなを勝手に 開けるのはよくないよな!」と言っているので、きちんと改心したのだろう☆ (でも「ひとんちに勝手に入る」こと自体、すでにいけないような気もするが。 RPG世界ではこの現実世界と違って、住人は皆そういうことは気にしないのだ ろうか?日本の外じゃ、勝手に入って殺されるケースもあるってのにねえ..) [ライラ]..サバサバしてて思いっきりがよくはっきりと物を言う、こういう 人は好き(それでいて実は結構女らしいという)☆「複数の敵を攻撃」は助かる。 [ハーン]..この人もなかなかの美形なのだがライラとの金銭やりとり時とか、 ギャグキャラになって笑える。 [スレイ]..カッコイイぞー!初登場時の曲&ふり返った時の光のあたり方が 最高〜!こういうキャラ、大好きなのだ、ふっふっふ。 [ジオ]...”悪の魔導士”という響きには、何処か惹かれるものがある。 [ファル]かわいー。漫画「サード」のキャラとは性格は違うみたいだ(これか らスレていくんだったりして..(わあ、シャキン!という爪の音が!(笑))。 さすがにネイほどのインパクトは無かったかな。しかしファルとルディって.. 高河ゆんの「サフラン・ゼロ・ビート」みたいな関係?だな。 [フォーレン]正式名称フォーレン486..とは言わない?(フォーレン・ペ ンティアムとか?(笑))3のシーレンとは親戚なのかなー。アンドロイドに親 戚とかは無いか...?あくまでも冷静なとこが面白い。 [シェス]回復系が助かる☆最後の戦いには彼女を連れていった。 ◎その他思ったこと◎地下をチョロチョロするネズミくん]なんとか話しかけようとして失敗し、敵 と遭遇してしまうのは私だけだろうか(あれとは、”しゃべれない”のかな)。 [各家庭の台所状況チェック]他に本棚とか棚とかも、ついついすべて調べてし まう。他人の家に入り込んで、いったい何をやってるんだか☆ [バイオプラント] あっ、PS(1)のダンジョン曲のアレンジだ! 中の様子がPS2を思い出してなつかしい。 何かが置いてあるなと思ったら透明なガラス(ではないかな?)ばりの床から、 下が見えているのだった。きれいだな..こういうメカメカしい場所って好き。 メタリックに点滅する床の方向指示線、エレベータードアの開閉のしかた。良い。 [アイードの街の”ファンタジーゾーン”]..ビックリした。どうせなら何曲 か聴けるようになってるともっと嬉しかったかなー。 [ジオの教会]「ジーーーク・ジオ!」っていうダジャレを考えたの、私だけか? [ランドマスター&アイスデッガー&フロームーバー]戦闘画面の計器類が素敵! スクロールしての攻撃&オプション兵器(←回数制限あり。ナゼこれが、宿屋に 泊まると回復するのかおおいに謎である)! 少ししか乗る機会がなかったな、でも。 (瀕死のケガ人が、宿屋に泊まっただけで全回復するのも謎だよな) ☆今回わかったこと:この3つの乗り物の設計者はきっと同じだ(笑)。 [○○アの塔]私の一番好きなPS(1)のダンジョン曲...。感涙☆戦闘で 中断すると途中から曲がはじまるのがいい。 [エアポート]”どこへいきますか?”の画面の時のピピピ☆ブ〜〜ン..って いう効果音が好き。一瞬、シューティングが始まるかと思った(笑)。宇宙へ出 て、到着先が表示される画面、とってもわくわくする。 [デゾリス]ダジャレ大好き(笑)。笑える。曲をわざわざ止めて”間”を作っ てるのが最高だ。そう、ダジャレで大切なのは、言った後のわずかな沈黙だぁ! デゾリスペンギンは絶対かわいいぞ!あの光沢がナイス。 [○○キャッスル]このへんから、ちょっとばかりボスが強くなる。 [○○の○○]最後の場所、このグラフィックが凄い。SFCっぽい感じ。メガ ドライブでもこれくらいやれるんだぞー、って声が聞こえてきそうだった。  ところどころ、まだしていない会話や行っていない箇所があるのにストーリー の流れによってそれらが出来なくなってしまうことがある。私はRPGは基本的 に一度しかプレイしないことにしているので、ついに聞かず(行かず)じまいだ った箇所があるとついリセットしたくなる衝動にかられるが、リセットしてやり 直すのは嫌いなので(笑)、やむなく先へ進んだ。うん、後ろを振り返っていて はいけないね、前を見なければ(..でも気になるが☆)。  ハンターギルドの仕事を片付けるのが楽しい(「メタルマックス」みたい)。 *「マイルの村の牧場主の依頼」笑った(しっかし”あいつ”、むっちゃ強いで やんの☆油断してルディとハーンが倒れ、他キャラとのレベル差がものすごくつ いてしまった..)。 *「ティンカーベル家の犬」..なんで..あんなところに..。 *「恐怖の谷間」初の全滅。悔しい。複合攻撃の研究をやりながら戦ったのが敗因か☆ *「瀕死の少年」ボ、ボロい!なんてボロい仕事なんだ!わずかな元手と、ほん の少しのパフォーマンスで1万メセタ!  後半のボスがちょっと強い。全滅してセーブしたところからやり直し。ショッ クだった(メセタが半分になって復活..よりは、いい気がするが)。レベルア ップのための戦闘をしたり、ハンターギルドの仕事をしたりして強くしなければ ならない。戦闘はわりと楽しいのでいいんだけど、「さあ、勝負だっ!」って時 に道草くわないといけないのは悲しい☆(最後の戦い、1度めではあえなく全滅。 すっごい強い。で、2回め、レベルはひとつくらいしか上げてないのに結構楽に 勝てた。なんか裏で操作してるのかなあ(2回めってこと記憶していて、手加減 されているのだろーか??))  曲はなかなか良い。私は通信販売の音楽CDを買う予定だけど、ちゃんとゲー ムクリア後にミュージックモード(サウンドテスト)がついてるのが嬉しい。 (詳しい曲の感想は、またいずれFCGAMER のゲーム音楽館で書こうっと)  なつかしいさまざまなものが出てきて、嬉しくなってしまった。シリーズの1 〜3を融合した世界観形成がなされ、雰囲気がとても大切にされている。  シナリオの出来がいい。特に今までのPSシリーズをプレイしてある人にはも う、涙ものである。そー言えばこんなのあったな、っていう名前がごろごろ出て くる。「なんとそうか!***が△△△だったのは、◎◎◎というわけだったの か!」と驚く。「過去のいろんなことの裏には実はこういうことがあったんだ、 うーむ奥が深い」と、うならせる。起こったすべてのことには意味があった。 これらの説明のおかげで、PSシリーズ世界全体の意味が深まった感じがする。 この作品は、ちょっとシリーズものとしてはイメージがばらばらだった1〜3を きちんとまとめあげ、そのすべてを肯定し、活かしている。 (さすがに1の3Dスクロールダンジョンは出てこなかったけど..あれ、何で 2で引き継がなかったんだろうな?マンネリを避けるためか..3D嫌いな人が いるとか..)  そのゲーム世界ならではの個性が輝いている作品は魅力的だ。例えば回復アイ テムの名前ひとつにしても、「やくそう」などというドラクエのをそのまま流用 したような無個性なものよりは、その作品にしかない名前の方が楽しい。おそら く”カロリーメイト”からつけたのであろう”〜メイト”シリーズ(モノメイト、 ディメイト、トリメイト、ペロリーメイト(←な、なつかしー)、超強力回復用・ ナゾの香水”〜アトマイザー”シリーズ(ムーンアトマイザー、スターアトマイ ザー、ソルアトマイザー)、脱出用のオカリナ(たびのオカリナ、まよいのオカ リナ)など、PSシリーズ世界にしか売っていないアイテムの数々が好き(ただ し、いくら個性的なのがいいといっても名前から内容が判断しにくい名称のオン パレードでは、覚えるのが大変だが☆)。  PSシリーズのマジック&テクニックetc.は、わりと好きだけど、ついに一度 も使わないものもあった(これは他の多くのRPGでもよくあるけど)。「ウィ ザードリィ」という作品はアイテムもそうだが何より呪文のひとつひとつが非常 にプレイヤーの心にきざみこまれる。印象が強いのだ。無駄なものがほとんどな く、すべての呪文が自己主張している。生き残るためには、それらの呪文は必要 不可欠なのだ。どっちかというと、ああいうのが私は好きかな。いろんな種類の ハデな効果バシバシ、っていうのも嫌いじゃないけどね。  ひとつの世界を構築することは大変なことであると思う。でもそれが成功して はじめて、プレイヤーはその世界の空気を吸うことが出来る。そして、そうさせ てくれる作品はプレイしてて楽しい。モタビアの暖炉には火が全然入ってないけ どデゾリスではごうごうと火が入っている、この気候の対照がうまい。  この作品、ゲームシステム的にはそんなに新しいところはないと思うけれど、 久々に世界観(あるいはストーリー)にひき込まれるゲームだった。続編、ぜひ プレイしたい!これで終わりなんて言わないでほしいぞ。MDに、もっとこれく らい楽しめるコマンドRPGが増えてほしいと切に願う。  今回の作品をプレイして、PSシリーズは「ひとつの世界の時の流れ、歴史の 流れを、キャラクターにたっぷりの思い入れを持ちながら見ることのできるRP G」としてMDを代表するシリーズになりうる、と思った。あまり評判のよくな いPS3は、一本のソフトの中でそれをやろうとした作品であった。あまりに時 の流れが速すぎるためにキャラへの感情移入度は低められ、マルチエンディング がそれに拍車をかけた。  語られていないエピソードは、いまだ多く存在するであろう。  アルゴル世界はまだまだ掘り下げることがじゅうぶん可能なはずだ。そして、 そうすることによってよりいっそう魅力的な世界となっていくに違いない。未来 のアルゴルの姿を、いつかまた見ることが出来たら嬉しい。”ゲーム世界の変遷 を見守ってゆく気分”をまた味わいたい。  作品中のキャラがそうであるように、プレイヤーである私たちもまた、アルゴ ル世界のことを大切に想っているのだ。  新しいゲームシステムを絶えず投入するチャレンジ精神は大切だが、シリーズ ものとして続けていくならそれは、大変なことかもしれない。しかしそこが腕の 見せどころである。がんばってね、SEGAさん。
'93 12/24 NIFTY-Serve FCGAMEM
     SEGAゲームマシン会議室 #392
                   (登録日 '98/4/15)
ソフト発売1993年12月備考感想GM