【スーパーファミコン】
『第3次スーパーロボット大戦』
発売日 1993年7月23日
定価 9800円
メーカー バンプレスト(→メーカーHP
内容 機動戦士ガンダムシリーズ、勇者ライディーン、マジンガーZ、 
ゲッターロボ、コンバトラーV、ダイターン3など、なつかしい 
ロボットアニメのキャラクターとロボットが活躍するシミュレー 
ションRPG。

 電源を入れると、見ていて楽しいデモが流れはじめる。ロボットアニメのキャ
ラクターが、セリフが、必殺技が、曲が、メドレーで続々登場する。ノリはカラ
オケの世界。一緒になって歌ってしまう。アニメについて知っていると大ウケだ。
店頭でこのデモを流せば、小さい男の子は「あれ、ほしい〜」と母親にねだり、
大人のロボットアニメファンは、思わず目頭を熱くするだろう。
 「そういえば昔、このアニメ観てたな」と、じつになつかしくなる。知らない
アニメのキャラが出てくると何となくくやしい。元ネタを知っていれば知ってい
るほど、このソフトを十二分に楽しめるだろうからだ。

 ちがうアニメのキャラクターが一堂に会する。夢の共演と言えよう。各アニメ
の話は別々の異世界で起きた事件ではなく、時代と場所がおなじという設定にな
っている。「地球はひとつ」というわけだ。戦闘BGMにアニメの曲を使用して
いることが、ゲームの楽しさを倍増させている。こういうソフトをつくろうと思
いつく、ワクにとらわれない自由な発想がすばらしい。当然、各アニメによって
絵柄がちがうので少々の違和感はあるが、慣れれば気にならない。
(魔女っこシリーズもぜひ出してほしいものである。サリーちゃんやチャッピー
ちゃん、メグちゃん、マコちゃん、えぇい、ついでに変身ものも入れてしまえ、
アッコちゃん、キューティハニー、クリーミィマミ、ミンキーモモ、メルモちゃ
んetc.。セーラームーンも入れればカンペキだ。それで魔法大合戦をやるのだ。
魔法&変身シーンはもちろんハデにして)

 物語は短いシナリオごとに分かれていて、途中で分岐する。戦闘をシミュレー
トするだけでなく、どう行動するかの作戦も、ある程度自分で選ぶことができる。
ストーリー進行の雰囲気が良い。登場人物が多いのであまり一人一人のキャラク
ターを描き込むところまでいっていないが、キャラの魅力はちゃんと出ている。
 会話がおもしろい。各キャラクターがそれぞれの口調でそれぞれの役柄っぽく
しゃべるので、自然と声優さんの声が思いだされて、自分で頭のなかで声をあて
て聞いてしまう。これがCD−ROMソフトだったら曲は歌詞入りでセリフも声
入りにできるのかもしれないが、そうでなくてもじゅうぶん雰囲気は味わえる。
攻撃時にキャラクターがしゃべるセリフも、状況に応じていろいろ種類がある。
聞き覚えのあるセリフ・技名が出てきて、アニメファンにはたまらない。セリフ
回しにしびれるのだ。

 難易度は高めである。底力を出しつくして、ようやく勝てる。一面クリアする
のにけっこう時間がかかり、全体の面数も多い。が、ゲームシステムがよく練ら
れているので遊んでいて楽しい。敵と味方は一対一ではなく、謎の第三勢力が存
在する。このことがゲームをさらにおもしろくしている。敵同志を戦わせて戦力
を削らせたりするなど、作戦に幅が出る。
 戦闘時にはそれぞれのアニメのテーマソングがかかり、敵ターンのときにその
場を離れていても、流れてくる曲が耳に入れば、誰が攻撃を受けているのかおお
よその見当がつく。アニメ曲以外の音楽も大変良い。音の深みがよく出ていて、
いかにもステレオという感じがする。効果音も重みがあってリアルだ。曲や効果
音と画面の動きをシンクロさせていてリズムがよい。

 RPGでいう魔法にあたるものが、「精神」コマンド。ひとつのシナリオ中、
精神ポイントだけは回復しない。限られたなかでどううまく使うかが戦局の明暗
をわける。「精神」コマンドを使っても、効果が発揮されなければ、ターンを越
えて効果が持続してくれるものもある。親切設計が嬉しい。
 そして、あまり目立たないけれど重要なのが「気力」というパラメータだ。こ
の値は様々な行動をとることにより、増加したり減少したりする。気力が高いほ
ど、おそろしく強いユニットになる。一定気力がないと必殺技を出せない。特に
最後のほうの戦いは敵がむちゃくちゃ強く、気力を上げて必殺技をばんばん出さ
ないとつらい。嫌でも総力戦になる。

 画面切り替えは大変速いというわけではないが、イライラするほど遅くもない。
変形シーンや特殊攻撃などは時間がかかるけれど、見ていて楽しい。スーパーフ
ァミコンにしてはよくがんばっている。ゲッターロボの変形シーンはもうノリに
ノッてます、という感じである。ロボットアニメと、ゲームをつくることへの愛
が感じられる。
 マップ表示のしかたがかっこよく、キャラクターもきっちり描き込まれていて
魅力がある。攻撃のしかた、敵弾回避などの動き、戦闘背景もいい。表現方法に
独創性が感じられる。戦闘の舞台は宇宙だけでなく、いろんな地形があるため、
ゲームが単調になりにくい。武器もいろんな種類がある。パラメータなどが結構
細かいため、相性の良さなどを覚えるまで、ちょっとかかるかもしれない。

 カーソルの動きはちょっと遅めな感じだ。マップが広いので、カーソルを高速
に動かせるモードがほしかった。発進ユニットを選ぶとき、同時にレベル表示も
されていると、より選びやすかった。また、キャラクター全員のことを知ってい
るわけではないので、キャラクター紹介の欄がちょっとあるとよかった。
 セーブはステージ単位で三ケ所と、それ以外に面の途中経過を一箇所、保存で
きる。マズい状況でセーブしてハマってしまわないようになっている。ひとつの
面が長びくこともあるので、途中経過をセーブしておけるのは助かる。

 全体に、かなり質高くつくられている。遊びはじめる前は“第○次大戦”など
と現実の戦争を遊び感覚で表現しているかのようなタイトルに、少しひっかかり
を感じていた。が、タイトルに見合うだけのテーマが、この作品には込められて
いる。ゲーム面でじゅうぶん楽しんだその果てに流れてくるメッセージは、ある
種の思考をうながす余韻をプレイヤーに残す。
 シナリオ分岐、奥の深いゲームシステム。個性豊かなロボット&武器&キャラ
クターたち。固定パイロット制でなく、乗り換えも可能。コツがのみこめてくる
と、また違った感覚で遊ぶことができる。このソフトを味わいつくすまで、何度
も楽しめることだろう。
('94 11/25 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #5292(改稿)
(HP登録日 1996/12/18)

ソフト発売1993年7月備考感想