『イースIV〜ザ・ドーン・オブ・イース』
 <Ys IV -The Dawn of Ys->
発売日 1993年12月22日
定価 7800円
メディア スーパーCD−ROM
メーカー ハドソン
内容  アクションRPG。シリーズ第4作め。

 1〜3まではパソコンの移植、というイメージだったけど、これは「新作」と
言ってもいいので楽しみにしていた。

 基本システムが1&2のものに戻っている。久しぶりにこのシステムで遊ぶの
で、結構ルールを忘れている。やっぱり他のゲームのシステムとはひと味違って
いるなあと思う。(武器・防具を売り飛ばそうとして、出来ないことに気がつく☆
しかしあんなに大量の武器・防具をどうやって携帯しているんだろう??思いっ
きり謎だ。アドルは四次元ポケットでも持っているのだろうか)

 グラフィックがとてもていねいで美しい。街や人などの描き込みの芸が細かく、
思わず笑ってしまったり感心したりする。グラフィックの追い方・表現に「こま
やかさ」が感じられる。細かいニュアンスが伝わる。よく観察すると、あちこち
で凝ったことをやっているのがわかる。
 店などに入ると、大きく内部の絵が表示される。雰囲気がつかみやすいし、魅
力ある良い絵だ。セリフのウィンドウ表示が邪魔で絵全体を見られるのは一瞬だ
けど☆(なんか裏コマンドあるのかなー)
 曲も大変良い。作品の雰囲気を盛り上げるのにかなり貢献している。今までの
シリーズ中のものも使われていたりして、嬉しい。全体的なバランス(静かなの
とか、にぎやかなのとか)も、とれていると思う。

 キャラクターの大アップビジュアルはやはりスプライトキャラだけの時と比べ、
イメージづけがしやすく印象が深い。登場人物が結構多いので、こういうのがあ
った方が覚えやすい。部分ビジュアルがほとんどなのでゲーム世界からいきなり
分断されることもない。
 声の配役はまずまず、かな?一部、チョイ役まで兼ねてる人もいて「あ、これ
ってあのキャラの声と同じだ」と思ってしまうのが惜しい(経費節約の為かな☆)。
出来れば、きっちり一人一役の方が嬉しい。

 アクションといっても敵に”接触しつづける”だけなので、たいした技術は要
さない(ボスのぞく)。戦闘モードに入ると立ち止まっていてはいけないので、
とにかく動き回る。あまりザコとの戦闘を避けてばかりいるとレベルアップもし
ないしGOLDもたまらないので目に見えて不利になってくる。洞くつの中など、
途中で何度も引き返して外へ出、「ふぅーーーーっ」と新鮮な空気を吸ってHP
を回復してからまた入りなおす。スポットライトのように周りが照らし出される
のは、いきなり敵が目の前だったりして楽しい。”運悪く”正しい道を一度でた
どってしまって突然ボスに出くわさないことを祈りながら、ひた走る。なにかを
目指して走っている時、とっても楽しい。

 しかし、せっかくストーリーにのってつっ走りたくてもレベルと装備が足りな
いためにボスに勝てず、ザコ敵をねちねちとやっつけなければならないのが少し
悲しかった。
(次のレベルアップまでのNEXT値を、1匹ぶんから得られる経験値の数で割
って「ああ、あと○○匹も倒さなくちゃなんないのか..」と、げんなりする)
 たとえ敵でも不必要に殺しまくるのはアドルには似合わない気がするなあ..。
たくさん殺すほど自分の力がアップするというのはちょっと嫌だったりする。生
き物の命を奪うのは、相手が襲ってきた時だけ、にしたい..。しかも人間まで
大量に殺しているし。(しかし、そんなこと言ってるとゲームにならないな☆)
 単純にゲームとして楽しめばいいんだろうけど、ちょっと気になってしまった☆

 ボスが強い。一度闘って(負けて)コツをつかまないことには、勝利しにくい。
まぐれで倒すのは難しい。「一度は負ける」ことが前提になってるような気がし
た。弱すぎるのも手ごたえが無いけど、ちょいと強すぎる気もする。たった一回
の接触でHPが一気にゼロになったりする。ちゃんとした装備・レベルであれば
多少の力押しもきくようになるのだけど..、”流れるように”プレイしていた
のでは必要なレベルが身について来ず、どこかで足どめを嫌でもくらってしまう。
 ある箇所で突然CDアクセスして読み込み、「..しまった!(準備が出来て
ない!)」と思った瞬間に目の前にボスがいる、でもって負けるというパターン
が何度かあった。あと少しで倒せる!という時にうっかり外へ出てしまってやり
直し、ということもあった(ひじょーに悔しい)。ボス戦で装備を変えられない
のは時と場合によっては致命的なのではないだろうか?魔法でなければ倒せない
ボスとか、薬草がないと苦しすぎるボスとか、逃げられない時とか。突然戦闘、
の場合は準備する暇もなく”消滅”の憂き目にあう。悲しいなあ。

 ザコ敵との戦闘も、ときどき”敵にはさまれピンボール状態”になり、あっ!
と言ってる間にGAME OVER、セーブしたのはだいぶ前、せっかく小さく
したNEXT値が逆戻りして涙...というパターンが少なくなかった。

 味方キャラがくっついてきて戦闘の援助をしてくれる時がある。じっとして、
HPを回復させたい時には盾になってくれてありがたいのだが、歩く時少し邪魔
くさいのと、「それは私が狙ってた獲物なのに取るなよお!」という時がある☆
 ザコ戦でも結構ダメージくらうので、それを回復させるのに時間がかかる。パ
ッド持ってぼ〜っと待ってるのも退屈なので安全地帯(と思ってる場所)で回復
させて放っておくと、いつのまにか敵が寄ってきてたりする。目が離しにくい。
 魔法などの設定を使いたおそうとする姿勢は好き。一度何かに使ったらそれで
終わり、じゃなくてあちこちで有効利用できる。
 ところどころ、ちょっとキャラの登場が偶然すぎるんじゃないか?という部分
がないではないが、楽しめる。

 途中でさしはさまれるビジュアル説明は、結構長め。しばしボ〜〜ッと見つめ
たまま数分、ということがある。なかなかカッコいいのであるが、一度ザアッと
流しただけでは完全に内容が飲み込みにくい気もした。文字によるメッセージな
ら自分で言葉をかみくだいてから次へと移れるのだけど、音声のみで一気にしゃ
べられると把握が少し大変かもしれない(ゆっくりだとイライラしそうだが)。
(..と思ったら、ちゃんと後でフォローされていた。さすが外さないなー)

 ”アクション”部分を結構、重要視しているつくりだと思った。ボスと闘って
負けて、その度にコツを学習しながらついに勝利を手にする。段階的に強くなっ
ていくのはファルコムさんの作品らしいなあとは思うけれど、せっかく盛り上が
ってきた時に地道な経験値稼ぎをしないといけないのはちょっと水をさすなあ、
と思ってしまった。「YsI・II」をあそこまで楽しめたのはいくつかの理由が
あるけれど、そのひとつは”流れるようにスムースにプレイできたこと”である。
アクション部の難易度がわりと押さえられていて、真剣に苦労したのは最後の奴
くらいだった。アクションの苦労が少なかったので途中でゲームオーバーになる
こともあまりなく、話の流れに集中することが出来た。
 アクションが難しくないと簡単すぎてあっさり終わってしまうとか、ボスがど
んなのだったか覚えがないとか、景色が印象に残らないとか、一長一短かもしれ
ないけれど..。

 「最初に出くわした時でも、うまく闘えば勝てる」、それでいて「(演出など
により)とても印象に残る」、そういうボス戦がいいなあ..と思うのはゼイタ
クなんだろうか☆せめて、戦闘中に装備変更出来れば..!決して甘くないのだ。
私には難しかった。練習あるのみ、なんだけど..手がダルくて、つりそーにな
る。敗北するたびに同じ場面を何度も見なくてはならない(二回めからは出来る
だけ最低限のビジュアルにおさえてくれてるみたいだけど)。

 しかし、終盤では今までブツブツ言っていたすべてのことを忘れさせるほどの
盛り上がりを見せる。勝つためなら、地道なレベルアップでも何でもしてやる、
ここまで来たら勝つ!ずえっったいに、勝つ!!勝つしかないではないかと思い
込ませる臨場感がある。この時、私はアドルになりきっている。

 とにかく、その時はどんなに苦労しても終わってみれば満足感が残る。どんな
に「こんなの倒せるか!」などと悪態ついても、最後には良かったと思える。
 ..苦労したこともすべて、良い想い出となるに違いない。面白かった。
'94 1/22 NIFTY-Serve FCGAMEM
     NECゲームマシン PCシリーズ会議室 #199
                   (登録日 '98/9/2)
ソフト発売1993年12月備考感想