【ゲームレビュー(8)】
プレイステーション
『スターフォックス64』
(1/2)
発売:1997年4月27日
メーカー:任天堂
☆宇宙の各惑星を舞台にした3Dシューティング。SFC版の設定を作り替えたリニューアル編。
 「とても無理だ、こんな難しいのを突破できるわけがない!」と弱音を吐かずにはいられなかった最難関のコースを、粘りに粘って根性でクリアしたときの、あの震えるような達成感。シューティングはあまり得意ではないと思っていた私でも、がんばればできるのだと教えてくれた−−それが、スーパーファミコン版『スターフォックス』だった。3Dシューティングがこんなにも楽しいものなのだということを私は初めて知った。  その続編、今回の『スターフォックス64』はグラフィックが格段にパワーアップ、見ごたえある迫力のシーンが展開する。前作のように難易度がレベルごとにはっきり分かれておらず、途中の行動によってルートが分岐していく。「このポイントをこなせるなら難しい面でも大丈夫なはず」というチェック箇所が設定されており、腕がよければ難しいコースに、下手なら簡単なコースをたどるように難易度が選択される。また、付属の振動パックをとりつけると、ダメージを受けたときなどにコントローラーがガタガタ動いたりもする。ただし、これはどうしてもなくてはならないものでもない。つけるかどうかは好みで決めるとよいだろう。
 新しい攻撃パターンとして、宙返り・Uターンを駆使して背後をとったりとられたりするドッグファイト、目標のロックオンなどの動作が加わった。スーパーファミコンよりボタン数が多く、いろいろな操作があるので思う通りに動かせるようになるまで少しかかるが、自機の動きがずいぶん軽やかになり、アイテムもかなり取りやすくなっている。スティック操作に慣れると、もうSFC版の自機制御はやりにくくて仕方がない。  ただ、Bボタン(ボム発射)とCボタン左(ブースト)の位置が近いため、スピードを上げようとしてボムを誤射してしまいやすいのは困る。ボムは貴重だから一発たりとも無駄にしたくない。チラッと手元に目を走らせてボタン位置を確認しなければならないのは不便だ。前作では、4種類の操作方法から自分に合うものを選択できた。今回もキー割り当てを変更できるとよかったのだが、本編中に操作方法の説明が入る都合上、つけられなかったようである。つまり、初心者のための説明を優先させたことになる。
 この「初心者向け」というコンセプトは、ほどほどに抑えたゲームの難易度、より親しみやすいデザインになったキャラクター、そして人気アイドル広末涼子を起用したTVコマーシャル等からもうかがえる。「それほど熱心なゲーマーではない一般のプレイヤーでも、粘れば最後までクリアできる」「女の子でも楽しめる」ゲームを目指した印象を受ける。このシリーズを初めてプレイする人には多少難しく思えるかもしれないが、前作でさんざん苦労させられた“岩や資材の回避”もそんなに過酷ではないし、コツさえつかめばボス戦も楽勝だ。手ごわい箇所もあるが、前作ほどの苦闘は見あたらない。難易度は下がっている。
 さらに64版では、敵・味方含めてキャラクターが声入りでしゃべる。ゲームオーバーになっても、くじけず何度でも再挑戦する気力のあるプレイヤーは別として、「全然進めないから、もうやめちゃおうかな」と思いがちなプレイヤーに「もう少しがんばってみようか」という気を起こさせるには、ゲーム世界に親しみをもってもらうのがいい。キャラクターが攻略アドバイスをくれたり、うまいプレイをほめてくれたり、細かい状況の違いによってセリフが様々に変化したりするのは、あきらめやすいプレイヤーをひきとめる効果があるわけだ。
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