【ゲームレビュー(7)】
プレイステーション
『ウィザードリィ外伝 I』
(1/2)
発売:1991年10月1日
メーカー:アスキー
ジャンル:RPG
☆3DダンジョンコマンドRPG。ウィザードリィ外伝シリーズ第一作め。
 ゲームボーイで遊ばなくなって久しい。大量のソフトが発売される昨今、プレイしてみたいGBソフトがあっても、ついつい後回しにしてしまう。スーパーファミコンに接続して遊ぶ「スーパーゲームボーイ」ではなく、GB単体で使っている場合はなおさらである。性能のいい他機種マシンの美麗なグラフィックに慣れてしまうと、小さくて見にくく、カラフルでもない地味なGB画面ではあまり遊ぶ気になれない。しかし。電源を入れ、このソフトのタイトル画面を見た瞬間、直感した。
(これはハマる……!)
 はたして予想通り。GBに熱中していた昔の自分がよみがえり、ろくに休息もとらずに冒険を続ける。「城を出てダンジョンに潜り、帰還後、体力魔力のフル回復および装備の補充をする」、この流れを一セットと呼ぶなら、一度に連続何セットもこなすほどの熱中ぶり。両手と両目がGB本体と融合してしまったかのような集中状態に突入する。

 この外伝シリーズは、外国生まれの『ウィザードリィ』シリーズを手本にしてつくられた、日本製オリジナルWIZである。様々な制約を受けるGBソフトである都合上、一画面に表示できる情報量が少なく、また、マップ上の記号とキャラクターの現在位置が重なると、向いている方向を示す矢印が見分けにくくなるなどの不便な点もあるが、狭い画面を出来るかぎり有効に使った画面デザインがなされている。戦闘で同じ名前の敵が複数グループに分かれて出てきた場合、敵が前後に位置を移動すると、敵グラフィックが左右に入れ替わってプレイヤーの視界を混乱させる。よく見ていないと自分が攻撃していた敵がどれだったかわからなくなってしまうのが面白いし、動きがあることは戦いの臨場感を盛りあげてくれる。性能的には他機種に劣るGBでも、工夫次第で豊かな表現が可能となるのである。
 システムには親切なアレンジがほどこされており、本家WIZよりも取っ付きやすくなっている。ワープゾーンや重要ポイントは自分で覚えておかないといけないが、一度通った跡は自動的に地図にマークされていく。とても便利だ。携帯が可能なGBの、3DダンジョンRPGというジャンルにおいて、この「オートマッピング機能」は欠かせない。たとえば電車内で遊ぶときに、狭いスペースでメモ帳を取りだし、マップを書きこんだり参照したりするなんて、考えただけで面倒くさい。
 さらに移動呪文“マロール”は、グラフィック表示で行き先のポイントを指定できるようになった。座標軸を計算して値を入力する従来の方法よりも断然わかりやすく安全性が増したため、気軽に唱えることができる。装備や持ち金を犠牲にしなければならず、おいそれとは使えなかった帰還呪文“ロクトフェイト”も、外伝では装備やお金をそのまま持って帰還できる(が、一度使うと忘れてしまうのでレベルを上げて再度覚え直す必要がある。このバランスどりには感心した)。

[つづき] MENU
リスト2  TOP