ゲームレビュー(3)
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プレイステーション
『サガ フロンティア』
発売:1997年7月11日
メーカー:スクウェア
ジャンル:RPG
☆7キャラクターから主人公を選び、仲間とともに旅をするコマンドRPG。スーパーファミコンで発売された『ロマンシング サ・ガ』シリーズの流れを汲む続編。
 スーパーファミコンの前作三作品に、私は次のような思い出がある。

・異なるタイプの主人公選択、自由な物語展開が魅力だが、シビアな戦闘バランスに挫折しかかった『ロマンシング サ・ガ』
・技のひらめき&見切り&封印システムによって戦闘が抜群に面白くなり、自分の手で歴史を刻んでいく感覚も良かった『〜2』
・システムが洗練され、全体にまとまってはいるものの、どこか面白みに欠け、熱中できなかった『〜3』

 一般のコマンドRPGと比べ、サガシリーズはシステムが個性的だ。キャラクターの強さはレベル数で表示されず、毎回の戦闘ごとに各パラメータが少しずつ上がっていく。一回に上昇する値はきわめて小さいが、キャラクターの成長を常に実感できるのが嬉しい。術を使えば魔力がのび、技を使えば力があがる。一定の経験値を得れば、どんな戦いかたをしても全能力値が均等に上がっていく方式よりも自然な成長の仕方である。また、戦闘中に新しい技をどんどんひらめいて様々な攻撃が可能になっていき、一度見切った系統の技はボスの攻撃であろうと必ずかわせるのが快感だ。戦闘が終わると、自動的にHPとステータス異常が全回復するから、いちいち手当てをする面倒くささからも解放されている。
 今回の『サガフロンティア』では、システムがより親切になった。LP(ライフポイント)がゼロになっても戦闘不能に陥るだけで、サブキャラクターが消滅することはない。主人公以外のメンバーは戦闘に参加させないでおくと技・術ポイント、LPを回復できるため、宿屋に寄る回数が少なくてすむ。さらに、一秒ほどで瞬時にデータ保存できる“クイックセーブ”がとても便利だ。これは、どこでもセーブが可能なRPGには是非つけてほしい機能である。あるのとないのとではプレイの快適さがかなり違う。どこで全滅が待ち受けているかわからないゲームにおいて、こまめなセーブは不可欠。こういう配慮は非常にありがたい。

 戦闘画面は、前作までの「敵・味方が左右に位置する横向き状態」ではなく、「斜め上から見下ろす円陣の構図」に変わった。キャラクターの行動ごとにカメラの視点が移動、臨場感あふれる戦闘シーンは立体的で迫力がある。ひとりのキャラクター動作が終わるか終わらないかのうちに次のキャラのモーションが始まるので戦いがスピーディでテンポを崩さず、流れが良い。
 そして、戦闘の新要素「連携攻撃」は、「技のひらめき&見切り」に匹敵するほど秀逸なアイデアだ。複数の仲間による連続攻撃が発生すると、単独で仕掛けたときの合計よりも多いダメージを与えることができる。最大5連携つながると気分爽快。連携が始まった瞬間、「3000はもらったな」「5000から7000はいくな」とダメージポイントを予想するのがまた楽しい。多種多様な組み合わせがあり、いつどのような連携が生じるかわからないため、ピンチのときにも思わぬ力を発揮でき、威力の小さい攻撃でもあきらめずに使ってみる意味が出てくる。同時に、仲間と協力して戦っている連帯感も演出される。前作にもあった、「戦闘中に新しい技をひらめけば使用ポイントが足りなくても大打撃を繰り出せる未確定要素」は、戦いが技と術を単純にたたきこむだけの単調なものになるのを防いでいるが、今回はそれに加えて、連携しやすくするために攻撃・補助・回復の順番に気を配って足並をそろえる戦略性が生まれ、面白さがグンと増した。出来た連携パターンをリストアップしておけばその連携が出やすくなるルールも、連携を開発するという目的を通常戦につけ加えていて、毎回の戦いを退屈にさせない。いいシステムである。

[つづき]
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