【ゲームボーイ】

『ＴＲＩＰ　ＷＯＲＬＤ』(トリップワールド)

発売日	１９９２年１１月２７日
定価	３５００円
メーカー	サンソフト
内容	かわいらしいキャラクター ヤコプ で戦うアクション。

　オープニングデモがなかなかやってくれる。映画のような構図でテンポよく、
ゲームにたいする興味を盛り上げてくれる。まるで、出来の良いＣＤ−ＲＯＭの
ビジュアルデモを見ているようだ、と言ったらほめすぎだろうか？短いけれど、
とてもスムーズでよく出来ていて思わず何度も繰り返し見てしまう。曲もよく、
ちゃんと左右に音をちらしてくれるのでイヤホンをつけた方がいい。

　通常オプションでステージセレクト＆サウンドテストがあるので嬉しい。この
モード選択のカーソルが、円盤のようにくるくる回転しているのが良い。制作者
のこだわりが、こういうちょっとしたところからもビシバシ伝わってくる。

　主人公はヤコプというウサギもどき（”シャブブ族”というらしい）で、こい
つがとってもラブリー☆説明書に載っているイラストとゲーム中のキャラにイメ
ージの狂いがあまりなく、どっちもかわいい。

　ヤコプの操作はちょっと重い感じがした。動きをとめてもすぐとまらず、少し
ついっとすべってからとまる。アクションは体力制、ザコ敵に触れただけではダ
メージにはならない（攻撃を受けるとダメージ）が、トラップやボスでダメージ
をくらいやすい。ザコ敵は下手に闘うより避けて通った方がいいのかもしれない。

　ステージ１：（デュービアス山）
　トゲトゲでハマると駄目だけど、ボスも含めて簡単な面。このテーマ曲いい。
最初の方で流れる雲がいいな。

　ステージ２：（サベージランド）
　ボスには慣れるまでちょっと手こずるかもしれない。こういう逆施律（なんて
いったらいいのかなあ、音を逆からたどるみたいな感じっていうか．．．表現が
むずかしい☆）の曲って好きだなー。後半、曲の雰囲気が変わるのがよい。水中
に入った時の音もなかなか。

　ステージ３：（アイリットランド）
　海の面。すいすいと泳いでゆく姿はまるでゴマちゃん（笑）。のび〜る敵とか
風圧の強い草原とかが面白い（この草原にいる時、変身が解けるとなすすべもな
く風に吹き飛ばされる☆）。水中タイプの時に吐く泡はきれい。

　ステージ４：（プリンランド）
　お菓子の面。背景がとってもおいしそう。

　ステージ５：（ミルラランド）
　ボスとの闘いは慣れるまでかなり苦労する。難しい。メカメカしさがそれまで
のステージと対照的。

　グラフィックは全体にセンスがよいと思う。キャラは空中、水中用に変身する
ことができ、それぞれの動きがかわいらしい。まばたきもちゃんとする。

　説明書に状況説明と各ステージでの簡単な漫画が載っていて、これが面白い（
その名も「ヤコプの大冒険物語」）。かわいくって笑える。ちょっと哀しいとこ
ろもあるけれどね．．。

　ゲームオーバー時の絵が哀愁をおびていてよいなあ．．☆

　パッケージデザインがおそろしくシンプル。通常、どの作品にも必ずといって
いいほど箱などにずらずら書きつらねてある”ウリ文句（誇大広告だぞと言って
やりたくなる内容のもチラホラ☆）”が一切ない。タイトルとイラストのみ。
（一時期までのＰＣＥカードソフトとかもそうだったけど。でも最近はカード作
品でもケース裏にゲーム説明が入るようになってるみたい．．やっぱりあった方
が売れるのだろうな）
　しかもイラストといってもゲーム内容をそれから想像することがむずかしい。
おそらくゲームの舞台となるのであろう世界のイラストが箱の裏に描かれてある
だけで、見ようと思えばアクションにもＲＰＧにもアドベンチャーにもパズルに
も、見れるのである☆（ゲームジャンルの表記がない）
　パッケージおもてを、例えばヤコプが飛んだりしてるイラストにすれば少なく
ともアクションであることはわかっただろうが、タイトルロゴの他は真っ白．．。
アクセントにきれいな色の粒（←これ、きれい）をいくつか配色してあるだけ。
雑誌でもほとんど宣伝してなかったようだし、これで売れるんだろうか、などと
心配になる。ジャンルさえわからないゲームは買いづらい。（作品内容の解説が
してある店なら良いんだけどね☆）

　しかし作品はしっかり創られており、制作者側の「とにかくやってみてくれ、
ごちゃごちゃとごたくは並べまい、わかる奴には良さがわかるんだ」みたいな職
人気質？を感じた。

　最後の闘いは難しい。もっとどうにかできなかったのか、このバランス、と言
いたくなってしまう。かなり熟練しないと勝つのが困難。近くにパワーアップア
イテムもないので、ノーマルのケリだけで勝負せねばならない（体力回復の花、
もう一本くらい咲いててもバチは当たらんと思うが？でもこれくらいの難易度じ
ゃないと簡単すぎてゲームの寿命がちぢむかな）。
　スコア表示があるけど、点数がある程度増えると体力も増えるのだろうか？最
後の闘いはもっぱらステージセレクトで挑んだので（そうでないととてもじゃな
いけどむずかしい）、よくわからなかった。説明書にもなにも書いてないし☆

　かわいいキャラになかなかのグラフィック、聴ける音楽などは良い。アクショ
ン部はコツをつかめれば勝てるしステージセレクトも出来るが、最後の闘いだけ
はステージセレクトの力も及ばず、実力勝負である（．．．なにしろ、「うそだ
ろお？！そこまで苛酷な闘いをさせるのかあ？！」「冗談じゃない〜！！」「こ
んなのどうやって倒せっていうんだー？！」と叫びたくなるよーに容赦ない闘い
なのだ☆（少なくとも私にとってはそうだった（笑））。
　でも何十回とやり直してパターンをつかみ、ようやくの勝利を手にした時の嬉
しさはなにものにもかえがたい。セリフなしのビジュアルエンディングなので、
ちょっと意味がわかりにくかった。
　それにしてもスタッフロールひとつとってみても、とことんこだわりが感じら
れる。（”ＴＲＩＰ　ＴＥＡＭ”なんて、開発チーム名のロゴが出る．．凄い）

　簡単そうに見えて、ちょっと骨のあるかわいいアクションだ。