タイトル画面でしばらく放っておくと流れ出すデモが懇切ていねい。メッセー
ジ文字はひらがな表示で、ファミコンにしてはかなり大きく、読みやすい。メッ
セージはボタンで早送りしようとしてもゆっくりと表示されていく。うっかり読
みとばしてしまわないよう、低年齢層プレイヤーに向けて気配りされているのだ
ろう。また、「そうだん」コマンドのおかげで次にすべきこともつかみやすく、
いたれりつくせりの親切設計。コナミの低年齢向けソフトは子供に夢を与えるも
のになっていて良質だ。パッケージ・説明書のイラスト、ゲーム中のグラフィッ
クなどもとてもかわいらしく、心がなごむ。
図書館の中にいくつかの本棚がある。それぞれの本の世界で何か事件が起こっ
ている。それを解決するため、主人公は本の世界へ入っていく。独立シナリオ形
式になっていて、好きなものから開始できる。本棚前の魔法陣に立って棚に接触
すると、その世界の事件の様子が寸劇で展開する。あるキャラにベラベラと説明
メッセージをしゃべらせるよりずっとわかりやすいし、見ていて楽しい。これを
見た瞬間すぐにその世界に入ってしまうのでなく、自分でどうするか決められる
のもよい。一度入った場合でも、事件解決まで出られなくなってハマる、という
ことがなく、いつでも図書館に戻ってこれるので安心だ。
FCディスク版の前作をクリアしたのはもうかなり以前のことなので、内容は
うっすらとしか覚えていなかったけれど、プレイしているうちに戦闘システムな
どの記憶がよみがえってきた。うろちょろしている足跡マークに接触するとバト
ルモード。やっつけるとフィールド復帰。ピンチのときはいつでも(ボスでも)
逃げ出せるので、よほど無理をしないかぎりゲームオーバーになることはない。
敗北して、お金が半分になってしまうとちょっと苦しくなりはするが、難易度は
低い。スムースに進みすぎて物足りなく思えるほどだ。レベルも調子よく上がっ
てゆくし、ザコ敵との戦闘が嫌なら逃げてしまってもいい。一度逃げるとその足
跡マークは消えてしまうから、ひとつのマークにしつこく接触して舌打ちするこ
ともない(注:中には、倒さないと進めない(マークが消えない)箇所もある)。
主人公は超能力を使えるのだが、武器での攻撃のほうが多くて、あまり“エス
パー”という感じはしなかった。超能力にはいろいろな種類があり、セレクトボ
タンで選択するようになっているが、すべて同色の絵(マーク)による表示のた
め、パッと見てどれがどの力なのかわかりにくい。使う機会が少ないので、よけ
いに覚えられない。色分けするか、もっと見た瞬間にわかるデザインだとよかっ
た。マークをじっと見て、機能を思いだすのに時間がかかるようでは、ゲームの
テンポが損なわれてしまうからだ。
ほとんどいきづまることがなく、短時間で終了できる作品である。なかなか楽
しめる出来で、超高難易度のゲームに疲れきっている人には、ひとつの清涼剤と
なるかもしれない。おまけとして、かわいいシールもついていて、食べやすくて
消化しやすい、小さい子向けの栄養菓子のようなゲームだ。
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