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『キングスフィールド』
RPG/1994.12.16発売
プレイステーション/フロム・ソフトウェア/6300円
 陰気で薄暗く、不気味なものばかりが点在する、陽の当たらないダン
ジョンが舞台の3DダンジョンRPG。
 まず試しに△ボタンを押してみる。すると、右後方から敵が来襲! 
……と思いきや、それは自分が繰り出した剣なのであった。次は□ボタ
ンを押してみると、魔法の弾を発射した。しまった。いきなりMPを2
ポイント無駄に消費してしまった。剣をふるスピードは、ちょっと遅い。
あまり腕のたつ剣士ではないのかもしれない。
 移動は、グラグラと揺れながら動く。リアルなのだろうが、どちらか
というと歩いているというよりは、デコボコの道を滑車で進んでいると
いう感じの足どり。主人公は酔っぱらっているのであろうか。それとも
あまりに怖い雰囲気なので、もう失神しそうになってフラフラなのだろ
うか。
 あちこちに誰かの死体が転がっている。死臭が匂ってきそうだ(もし
かして主人公は、あまりの腐臭に神経をやられて平衡感覚をなくしてし
まったのかもしれない)。グラつく視点と重いグラフィックに輪をかけ
て暗さを加えているのが、陰鬱な音楽。ますます気分が重く暗〜くなる。
敵が近づいてくると、不気味な音まで聞こえてくる。

 じっと画面を見つめていると気分が悪くなってくるので、長時間の連
続プレイはしない方がよさそう。ゲームソフトの説明書には、よく「長
時間の連続プレイを避け、1時間ごとに休憩をとること」なんて注意書
きが書かれている。あれを見るたび、「私は別に何時間もぶっ続けで遊
んでたって平気だけどなぁ」と思うのだが、このゲームは別だ。10分
も連続してやっていたら頭がクラクラしてくる。なにしろ私は“回転”
に弱い体質なのである。遊園地の“コーヒーカップ”というグルグル回
る乗り物や、公園にある回転遊具などが苦手で、1〜2回まわっただけ
で気分が悪くなり、3秒間は立ち上がれなくなってしまう。出来るだけ
画面を直視しないようにして進むしかないが、それではゲームにならな
い。
 敵をどうやって倒すのかがよくわからない。懸命に剣をふりまわすが、
当たっているのかいないのか(こちらが攻撃を受けると画面が赤くなる
のでわかるのだが)。説明書に肝心なことが書かれていない。「POW
ER」ゲージの意味は? どうやって攻撃するのか? 魔法の照準が合
わないぞ。定期的な回復はどうやってやるんだ? ゲームをやっていれ
ば理解できてくるのかというと、そうでもない。戦闘のコツがつかみづ
らい。装備するとどれくらいステータス値が変わるのかが装備時にわか
らないのも不便。ステータス画面でいちいち確認しなくてはならない。
ゲームオーバーになったら一番最初の画面に戻ってしまうのは何とかし
てくれ。いちいちロードしなくちゃなんない。最新データですぐに再開
したい。
 システム自体はシンプルで使いやすく出来ている。アイテムを選ぶと
絵が回転して表示されるのが楽しい。しかし結局、序盤で挫折した。続
編も出ているが、プレイすることはないだろうと思った。ここまで自分
に合わなかったRPGは珍しい……。

1994年12月

発売ソフト年表


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