『超魔法大陸WOZZ(ウォズ)』

発売日 1995年8月4日
定価 10800円
メーカー BPS
内容  戦闘画面に高低差のあるコマンドRPG。ファンタジー
 世界を魔の手から救うため召喚された現実世界の3人が、
 元の世界に帰るべく戦う。3キャラクターの中から主人
 公を選択、そのキャラクターの視点で物語が展開する。


 戦闘画面のフィールドに高低差があり、高い位置から攻撃するとダメージが大
きくなる、というのがこの作品のユニークな特徴である。見た目、階段一段ぶん
程度の差の、ほとんど高度が変わらない場所からの攻撃で何故ダメージが大きく
なるのかが謎だが、地震の超能力で敵陣のフィールドを地盤沈下させつつ戦うの
は新鮮で面白いアイデアだ。他にも、魔法が成長して呼び名がどんどん変化して
いったり、ロボットや乗り物を発明して戦わせたりと、なかなか楽しいアイデア
が盛り込まれている。
 複数のアイテムを合成して別のものをつくりだす「発明」システムは、店のメ
ニューに並ぶ種々のアイテムなどが材料になる。こういうお遊び的システムは、
使う必然性がないとたいして利用しないうちにゲームクリアしてしまったりする
が、この作品の場合、ちゃんと物語のエピソードにからめて、使用させるよう仕
向けてある。もっとも、アイテムを一種類につき最大 999個(!)まで持てるおか
げで、MP回復薬さえ大量に買っておけば旅は順調、わざわざ各地で材料を集め
てアイテムや装備をつくる苦労はしなくてもいい。結果、イベント以外で「発明」
を使う必要性が薄くなり、システムがじゅうぶん活きていないのがもったいない。
これは、ロボットや乗り物での戦闘にも同じことがいえる。ぜいたくにMPを使
って、キャラクターによる通常の自動戦闘をしたほうが、速くて楽なのである。
よほどの面白さが付加されているなら別だが、この作品のロボット&乗り物戦は、
あまりかっこいいと感じない。

 主人公以外のキャラの自動戦闘は、行動する直前までの味方の行動がリアルタ
イムに反映する。誰かがダメージを受けた場合、同じターン内ですぐに回復行動
をとってくれるし、ターン開始時にMPが足りなくても、行動順が回ってくるま
でに回復させれば、技を出せるようになる。臨機応変な行動がありがたい。敵は
わりと強いが、適度な手ごたえを保ちつつ進める、ちょうどいい戦闘バランスだ。
少々てこずるかもしれない一部のパズル的謎解きも、試行錯誤してよく考えれば
解ける。メンバーはある程度の強さを最初から備えており、油断しなければめっ
たに全滅しない。レベルアップやお金がたまるスピードが速く、宿屋代は格安、
魔法や技のMP消費ポイントも効力が高いわりには少ない。装備を新しいものに
替えるたびに強さがグンと上がり、ボス戦前などには近くにきちんとセーブポイ
ントが用意されている。基本的に親切なゲームだ。
 ただ、ダンジョンからの瞬間脱出、およびフィールドから町への瞬間移動手段
がないので、移動距離は結構長い。そのぶん戦闘量も多い。不便ではあるが冒険
している感じは出るし、乗り物を使う機会を少しでも増やす効果があるのだろう。

 各要素を活かしたストーリー展開とキャラクター描写が巧みで、ファンタジー
RPGとしてよく出来ていて楽しめる。が、この作品ならではの個性とインパク
トがやや足りない。キャラクターの表情や動作、アイテム名称などに味があり、
時折とてもいい背景グラフィックも見られるが、戦闘場面の視覚的迫力はもう一
歩だ(さらに言うなら、小ボス戦と通常戦の曲が同じなのはノリがよくない)。
高低差のある戦闘画面にしても、最大で一段階しか差がないので違いをさほど実
感できず、作品を代表するシステムとしては弱い。何か、どこかに突出した魅力
がほしかったところである。スクウェアの『ファイナルファンタジー』シリーズ
そっくりのメニュー画面デザインを変えるだけでも、印象は違ったはずだ。


'97 10/3 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #36218
                   (登録日 '97/11/19)
ソフト発売1995年8月備考なし