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【スーパーファミコン】
『スーパーロボット大戦外伝 魔装機神』
発売日 1996年3月22日
定価 7800円
メーカー バンプレスト(→メーカーHP
内容 ロボットウォーシミュレーションRPGシリーズ外伝。


オリジナルロボット&キャラクターの魅力的な世界

 あらゆるTVロボットアニメのロボットとキャラクターを出演させて戦わ
せるシミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズが人気を得
ることができた理由のひとつは、TVアニメのロボットとキャラクターを素
材にした着想の良さにある。なつかしのロボットアニメキャラクターをたく
さん登場させれば、そのファン層を取り込むことができる。しかし、人気キ
ャラを使用しても面白くないゲームだってある。このシリーズが面白いのは、
「仕上げのていねいさ」、そして「面白さに対する理解がある」からだ。

 この外伝は、(これ以前の)本伝とは異なるデザインが施されている。背
景・キャラクター・ユニットなどが、SDタイプからリアルタイプに描き替
えられた。キャラクターの喜怒哀楽によって、表情が豊かに変わるのは見て
いて楽しい。キャラクターの魅力は、かっこよさだけにあるのではない。長
所と短所、さまざまな側面から描いてこそ、人物に厚みが出るのだ。本伝で
も地をさらけだす場面はあったが、TVアニメのキャラクターには、あまり
設定からズレた言動をとらせるわけにいかない。固定されたイメージという
ものがあるからだ。そのため、少々かた苦しくなるところはあった。オリジ
ナルキャラクターで構成されている外伝ではその制約がなくなったせいか、
雰囲気が柔らかく自由になった感じを受ける。

 話のつづきが早く知りたくて、どんどん先へ引っ張られていく。いつもな
がら、キャラクター全員がとても魅力的に描かれているのには感心させられ
る。絵だけでなく、性格づけがうまいのだ。今回はキャラクター数をしぼり
こんであり、分岐も多く、ひとりひとりの人格を深く描き込みやすい。オリ
ジナルキャラクターのメンバーも、TVアニメでおなじみのヒーローたちに
負けないくらいの魅力を備えている。本伝のストーリーではあまり語られな
かった、過去の話を体験できる。この外伝で、TVアニメロボットの要素を
除いても、いいものをつくることができることを証明してみせたといえるだ
ろう。

 背後や横から攻撃すればダメージが増え、高い場所から狙えば命中率が上
がる。ユニットの向き・敵との位置関係が戦況に影響する、納得のいくシス
テム。背後を取ったり取られたり、味方同士で背中を合わせ、お互いをカバ
ーしあう図は、じつに絵になる。臨場感が演出される。ただ安易に「流行り
だから斜め見下ろし型の立体マップにする」のではなく、高さと方向にちゃ
んと意味を持たせ、ゲーム性に結びつけている。「再攻撃」の特殊技能はス
リル満点。「反撃」に対する反撃が、すごくワクワクする。
 戦略性は高まったものの、難易度が高いわけではない。時々、全滅してし
まうこともあるが、ひとつのマップに出てくるユニット数が少なめなので、
やり直しも楽にできる(本伝では敵・味方の数が多く、ひとつのマップクリ
アまでに結構時間がかかった。大勝負の敗北直後には、再開の気力をなかな
か取り戻せなかったものだ)。この外伝では本伝のような、「考えに考える」
といった場面は少ない。しかし、「楽しい」。

 ゲームのレビューを書いていると、プレイ中のいい場面でも、レビューの
文章に使えそうなキーワードがひらめくと、そっちに気をとられる(そうい
う文章の断片はすぐにメモしておかないと忘れてしまうので)。すると、ゲ
ーム世界にひたっていた気分が中断され、現実世界に引き戻される。ゲーム
は、ただ純粋に遊んでいる方が楽だ。
 このゲームがなぜ面白いか、だって? そんなこと、言葉にしなくたって
いいじゃないか。面白いものは面白い。それでいい。合わない人ももちろん
いるだろうが私にはこのゲームが面白かった、その事実は変わらない。もち
ろん、このような姿勢ではレビュアーとしての客観的視点とか、公平な見方
などは期待できなくなるのかもしれない。が、「レビューする者」でなく、
ただ「ひとりのプレイヤー」として楽しみたい。この作品は、私にそう思わ
せた。
(「まぐまぐプレミアム」発行(2003.12.13)・
有料メールマガジン「巴かずみのゲームソフトレビュー(有料版) Vol.15」改稿)
(HP登録日 2005/4/1)

ソフト発売1996年3月備考なし

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