『龍騎兵団ダンザルブ』
発売日 1993年4月23日
定価 9500円
メーカー ユタカ
内容  SFロボットアニメの雰囲気ただよう、コマンドRPG。

 設定がTVアニメ「機動戦士ガンダム」を思わせる。今週はどんなストーリー
かな、というあの感覚がよみがえって、アニメ番組を見ているような気分になる。
最初は主人公に対してシビアな目で見る周りのメンバー。主人公だからって特別
扱いはしない。この雰囲気がいい。
 ストーリーは章に分かれていて、ミッションごとの目的を達成すると次のミッ
ションへうつる。ドラマティックでカッコいい展開。ストーリーはかなり面白い。
シナリオが非常によくできていて感心した(特に後半の展開には、思わずウーン
とうなってしまった)。

 ゲームシステムに、ごく普通のコマンドRPGとはひと味ちがった独自性が見
られる。BP(バッテリーポイント)を消費しての攻撃、HPが時間の流れとと
もに徐々に増減していくリアルタイム性。回復途中で攻撃を受けると回復が間に
合わずに倒されてしまうことがあり、スリリングだ。それとRPGにおける「店」
の代わりとなる“アイテム調合・分解システム”によって、要らなくなったアイ
テムを分解してエネルギーに変換できるため、ムダがない。話が進むにつれ、次
々と新しい装備の作成も可能になる。なかなか楽しい。
 物語はスーパーモノロイド(ドラゴンの形をしたロボット)に乗り込んだり降
りたりして展開していく。モノロイドと人間との間には相性が存在し、どの機体
に誰が乗るかで、Sモノロイドの能力発揮の度合いが変わる。武器などのアイテ
ムにも同様に相性がある。リアルだ。ミッションごとに、今回は必ずこいつを連
れていけというような指示が出たりして、各キャラの成長がかたよらない工夫が
されている。登場キャラクターは大勢いるが、それぞれに特徴と役割があって、
それがゲーム中にうまく活かされている。

 戦闘シーンはメカメカしくて私の好みだけれど、慣れるまでは何がどうなって
いるのかすこしわかりづらかった。敵の残り体力表示と与えたダメージポイント
表示とが似ているので区別しにくい。オート戦闘はかなり便利。スタートボタン
を押すだけで、いつでもオート←→マニュアルを瞬時切り替えできるのもいい。
オートにしておくと、なぜかいつも敵からの先攻攻撃になる気がする。仕様なの
だろうか。
 敵との遭遇率は低くない。戦闘量がやたら多いうえに、一回の戦闘時間が結構
長い。オートがあるからまだ楽ではあるが、少々疲れてしまう。マップもわりと
入り組んでおり、簡単そうに見えて、ミッションクリアまでには意外と時間がか
かる。ミッション終了後は場面を移動するが、まだその場所でしばらくザコをや
っつけていくかどうか、プレイヤーが決定できる自由度が残されている。ボスは
ダイヤモンドのようにかたい。かなりの長時間戦になり、戦いがいがある。

 ゲーム中にはパズル要素を活かした謎解きもいくつかあって、戦闘ばかりにな
りがちな展開の単調さを救っている。ただし一部の謎はちょっとむずかしいので、
いきづまりやすいかもしれない。
 バランス的に少々つらい部分もあった。レベルが低く装備が貧弱だと全滅しや
すい。全滅するとセーブポイントまで戻される。さいわい全滅さえしなければ、
HPがゼロになったキャラにもちゃんと経験値が入るので、そのキャラだけ取り
残されることはない。Sモノロイドに乗り込んでいるだけで中の人間がレベルア
ップしていくシステムもうれしい。セーブは二箇所、ほとんどいつでもできる。
こまめなセーブが大切である。

 戦闘終了後に、宝箱としてコンテナがたまに見つかる。ボタンの上と下どちら
かを押し、うまく当たればアイテム入手、失敗すればコンテナ大爆発、アイテム
は消え去る。コンテナはいくつかがつながっていて、そのうちのひとつでも開け
るのに失敗したらすべて爆発。途中で開けるのをやめれば、そこまでのアイテム
は回収できる。超能力テストをやってるつもりで、思わず力がはいる。上か、下
か? オッケイ、ひとつ成功した。ここでやめておくか、思いきってもうひとつ
開けてみるか? カードゲームみたいでおもしろい。

 装備関係は、どれだけ値がアップダウンしたのかが装備時にわからない。わか
るようにしてあるとよかった。また、アースシェイカー(ガンダムでいえばホワ
イトベースのような母艦)で全ドラゴンを一気に全回復できると便利だったし、
アースシェイカーから降りないと装備できないのは不便だ。メッセージを早送り
しようと思ってボタンを押すと、送るのが速すぎてメッセージの最後のほうが読
みきれず消えてしまうのも困る。ひと呼吸、間を置いてほしい。

 グラフィックがていねいに描かれており、ザコ敵ひとつ取ってみても見ごたえ
がある。スプライトキャラがかわいく、演技もちゃんとつけられている。音楽が
とても良く、『ダンザルブ』のテーマ旋律みたいなものが一貫して流れていて雰
囲気が出る。曲による演出がうまい。
 予想していたよりもおもしろい作品だったけれど、もうすこしザコ戦のウェイ
トをかるくしてもよかったのではないかと思う。
'94 10/21 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #4337(改稿)
                   (登録日 '96/12/25)
ソフト発売1993年4月備考なし