『レジェンド・オブ・ヒーロー・トンマ』
<LEGEND OF HERO TONMA>

発売日 1991年3月13日
定価 7000円
メディア Huカード
メーカー アイレム
内容  「トンマ」という、およそ英雄らしからぬ名前のついた 
 主人公を操り、縦横に進んでゆくアクション。全7ステ 
 ージ構成。アーケードからの移植。


 難易度が高い。別に、敵が猛攻撃をしかけてきて息をつく暇もないとか超イジ
ワルな仕掛けがあるとか人間技でない動きを要求されるとかいうわけでは、ない。
それでもむずかしいのは、一度のダメージであの世ゆきというゲームシステムの
せいだ。体力ゲージはなく、とにかくダメージを一回受けると1ミス。主人公の
基本体力はよほど低いらしい。3ミスでゲームオーバーになる。あまりのあっけ
なさに、しばらく言葉が出ない。
 1ダメージ=1ミスというゲームシステムは、アーケードゲームから来る流れ
なのだろうか。ゲームセンターだと何枚も100円玉を投入することになるのが目
に浮かぶようだ。体力制あるいは親切なアクションゲームに慣れていると、この
ゲームのシビアさに少々めんくらう。しかし、システムを変えてしまうとゲーム
性まで変わってしまうかもしれないので、こういうゲームなんだと割り切るしか
ない。

 キャラクターの動きはしっかりしており、アイテムの光りかたなどのグラフィ
ックもなかなか良い。が、主人公のデザインはいまいち。主人公のキャラクター
サイズはわりと大きいが、頭をかかえてしゃがみこんだり敵の頭上をバウンドし
たりできるので、全身いつも無防備の当たり判定にはならない。とは言え、やは
り一回当たっただけでやり直しというのはツラいものがある。バリアアイテムは
存在するものの、いつも持っているわけではないし、手に入れてもいずれは消え
てなくなる。
 もっとも、慣れてくれば比較的すいすい進めるから、アクションが上手な人に
とっては低い難易度なのかもしれない。下手だとコンティニュー回数はハンパで
はない。セーブや途中パスワードも存在しないので、クリアしようと思ったら、
PCエンジンの電源を長時間入れっぱなしにすることになりかねない。さいわい
無限コンティニューで、ステージの途中から続けることができる。何度も練習を
積めば先へ進めるゲームバランスになっているため、理不尽さはあまり感じない
けれども、簡単には進ませてくれない手ごたえがある。

 1ステージは短く、だらだらと長い距離を歩かされることはない。おかげで、
展開が冗長にならない。それに、1回のミスも許されないというのは結構緊張感
がある。パワーアップさえすれば敵をあっという間に消し去ることができるし、
敵の上に飛び降りつつ進む大胆な動きも可能になる。1ミスして、ある場所から
やり直しになってもまたそこから進んでステージクリアできるのはうれしかった。
「こんな装備でどうせえっちゅーんじゃ! リセット!」なんてことがない。ど
んなに「こんなのには勝てっこない」と思われるボスでも、行動のしかたを工夫
して動きさえ見切れば、再開ポイントから見事に倒せるのである。問題は、いか
に油断なく戦うか、なのだ。

 ステージ名は「ちょっとお町」だの「カツ丼大森」だの「いのち崖(がけ)」
だの「しょうばいはん城」だの、ネーミングした人のセンスがうかがえて面白い。
 曲もいい。音がちょっとさみしい気もするけど、そこが味だ。効果音もよくで
きている。サウンドテストがオプションでついており、それ用の画面が本格的に
つくってある。また、2人プレイも可能。キャラクターが2人出てくるわけでは
なく、一回ミスするごとにプレイヤーを交替する方式(パッドは別々)。1P側、
2P側の進行具合が分かれているので、クリア競争をしたりハイスコアを競った
りできる。

 たいていの人は数回ゲームオーバーになった時点で、「なんだ、これ!?」と
パッドを投げ出す可能性が大。エンディングを拝めるのはアクションが得意な人
か、よほどの物好きだけかもしれない。忍耐強さを必要とする。けっして手抜き
はされておらずていねいなつくりで、根気さえあれば楽しめる。が、アクション
が得意でない人は、もっととっつきやすい作品に手を出したほうが無難だろう。
 アクションはそれほど得意ではない私だが、一応なんとかクリアできた。終わ
ってみれば楽しかったなと思える。大変ではあったが思い出になる。あんなに苦
労した面を再度やってみるとすんなり進めて、自分が上達したことに気づくので
ある。


'94 9/30 NIFTY-Serve FCGAMEM
     PCエンジン会議室 #1202(改稿)
                    (登録日 '97/3/19)
ソフト発売1991年3月備考なし