『クイズ 殿様の野望』

発売日 1992年10月10日
定価 6200円
メディア スーパーCD−ROM&CD−ROM 両対応
メーカー ハドソン
内容  戦国時代の武将となり、クイズに勝って国土を自分の領土色に 
 塗りかえていくクイズゲーム。2人プレイもできる。アーケー 
 ドからの移植。


 織田信長、徳川家康、北条氏康、毛利元就、武田信玄、上杉謙信、三好長慶、
長宗我部元親の、計8武将から選んでプレイできる。いろんな人物が登場、読み
にくい名前や地名にはちゃんとフリガナがうってある。マップが日本地図なので
領土状況も把握できる。実際にそういう顔をしていたのかは定かでないが、全員
顔イラストつきなので、イメージもつかみやすい。学生の人は、「歴史の勉強に
なるから」と親に言えば、このソフトを買ってもらえるかもしれない(ダマした
ことにはなるまい)。

 ひとつの戦いが終わるごとにどんどん季節が変わっていく。時の流れにともな
って協力者の出現、天災などのイベントが起こる。プレイヤーキャラクターには
ランダムに出てくる特殊能力があり、展開に彩りをそえる。
 「なぜ題材を戦国時代にする必要があるのか?」といったことはなく、ちゃん
と設定を活かした数々のアイデアが盛りこまれている。例えば織田信長の場合、
鉄砲隊が出てきて鉄砲を撃ち、四択問題を三択にしてくれるのだ。

 城の防御値と、各領地を司どる武将の武力をあわせたものが、正解ノルマ数に
なる。時間がたつと城の守りが固められ、武将も力をつけてくるので、どこから
攻めるかを考えないといけない。ぐずぐずしていると攻めこまれてしまう。ボス
を倒すと、その占領下の土地を全部戦わずして得られ、ある程度正解していくと、
誤答許容回数である「おてつき数」がひとつずつ回復する。これらのことにより
ゲームに戦略性がうまれる。
 全国各地では武将たちがコンピュータ同士でも戦いを繰り広げており、下剋上
の戦乱の世がうまく表現されている。強い武将との戦いはスリルがある。

 アーケード版にかなり忠実なようだ。アーケード用と家庭用という機械の性能
差は当然あるが、CD−ROMの能力を上手に活かしたていねいなつくりで再現
度は高い。ハイスコア登録では名前を入力でき、ランキング結果は保存される。
アーケード版はちょっとだけ遊んだことがあるが、相当お金がかかりそうだった
ので途中でクリアをあきらめてしまった。それが家でじっくり遊べてしまうのだ
からとてもうれしい。なぜクイズで戦うのかは謎だが、それは聞いてはいけない
不文律であろう☆

 問題表示は文章のみだが、武将のセリフなど、一部では音声が入って楽しい。
映画、自動車・バイク、グルメ、歴史、地理など、各ジャンルから出題される。
(アニメや漫画、ゲーム関係の問題がわりと多く含まれているので、私には有利
だった(笑))
 問題数は全部で約3000問。あまり多くはない。何度も遊んでいると、前に出た
のと同じ問題が出てくる。しかし、それもちゃんとゲームバランスの計算のなか
に入っている。オプションで、クレジット数や問題の難易度などをこまかく設定
できるのだが、1人プレイでのクリアは難易度を最大まで下げても簡単ではない。
すでに答えたことのある問題が多く出ないと、戦局はかなりつらい。これは2P
側が参加したときのことを考えてのゲームバランスなのだろう。出たことのある
問題でも必ず正解を覚えているわけではないから、復習になって良い。選択肢の
順番は変わっていることがあるので、うかつにボタンを押せない。
 出題される問題はそんなにむずかしくはないが、なにしろクリアまでにはたく
さんの問題に正解しなければならず、コンティニューも制限つきなので大変だ。
ゲームセンターでのように、お金を投入しつづけて力押しクリアするというわけ
にいかない。

 アーケード版とおなじく、1人プレイで遊んでいても、2P側が途中参加する
ことができる。いちいちタイトル画面に戻る必要がなく、便利だ。2人プレイの
場合、ハイスコア競争するのもいいし、相談&協力してクリアを目指すのもいい。
 早く解答するほど、正解時に入るボーナス得点が高くなるので緊張感がある。
ハイスコア&高正解率を狙うという目標ができるので、繰り返しプレイにも張り
合いが出る。
 通常、問題は四択で、十字キー左が「1」、右が「2」、IIボタンが「3」、
Iボタンが「4」に割り当てられている。十字キーで選択して決定するタイプで
はない。解答の操作が一回押すだけですむので楽だ。コンフィグモードでキー割
り当てを変更することもできる。

 ハズれたときに正解を見ようとしても、解答の部分に「正解」の表示が重なっ
てしまい、答えの頭のほうが見づらい。すぐ次の問題に移るので、正解を確認し
にくいときがある。また、農民に「全軍壊滅」させられるのは納得がいかない。
 画面下にクレジット数の表示があるが、私のTVでは文字が半分くらい見えな
くなってしまう。もうすこし上のほうに表示してもらえたらよかった。
 曲や効果音のノリがかなりいい。状況に応じて曲が変化するので臨場感が出る。
各武将ごとにマップテーマ曲がちがっていて、気分を変えて遊べる。

 アーケード版自体とてもよくできている作品なので、思いっきりクイズを楽し
める。CD−ROM、スーパーCD−ROM両対応ソフトだが、どちらの場合も
違いがまったく感じられず、快適なスピードだ。問題表示に妙な間があくことも
なく、曲が切り替わる際の読み込みもすばやく、テンポをくずさない。家庭用ソ
フトであることもしっかりと考慮された、「さすがはハドソンソフト」と思わせ
る良い移植だ。


'94 12/23 NIFTY-Serve FCGAMEM
     NECゲームマシン会議室 #1524(改稿)
                    (登録日 '97/1/29)
ソフト発売1992年10月備考なし