『ライズ・オブ・ザ・ドラゴン』
<Rise of the Dragon
 〜A BLADE HUNTER MYSTERY>

発売日 1992年9月25日
定価 6800円
メディア メガCD
メーカー セガ
内容  いかにもアメリカンな雰囲気で展開する、危険度120% 
 アドベンチャー。一部、アクションモードにもなる。


 一体どういう内容のゲームなのだろう、タイトルからするとドラゴンが出てく
るファンタジーなのだろうか、などと考えつつ、ソフトを立ち上げる。しばらく
スタッフ紹介デモを見る。何だかずいぶんアメリカンコミックっぽいというか、
さいとう・たかをさんの劇画みたいというか。センスが強烈だ。さすがは外国産
ソフトである。
 舞台は未来のロサンゼルス。時代こそちがうものの、一応現実世界の話らしい。
そこに、ドラゴンだの中国の予言だのが出てくる。組み合わせがユニークだ。

 背景グラフィックのなかに、矢印カーソルが浮かんでいる。カーソルを動かし、
何かある場所へ来ると変形するので(しないときもあるが)、そこでボタンを押
す。すると何らかの反応があらわれる。操作方法を覚えるまですこしかかったが、
慣れるととても快適で、CDのアクセスも気にならない。

 雰囲気が、深夜のTVでやってる外国映画みたいだ。きわどいセリフも平気で
出てくるアダルトなムード。優等生ゲームが肌に合わない人には気分爽快かもし
れない。出てくる奴らはひとくせもふたくせもある、うさんくさい連中ばかり。
けっして礼儀正しいわけじゃないので、ヘタな真似をすれば即座に顔色が変わり、
「おォ〜? なんか文句あんのかコラぁ」と、つっかかってこられる恐れが大。
スリル満点、一触即発状態、生の人間とじかにしゃべっているかのようなライブ
感がある。

 セリフは声入り。ボタンを押して、途中でとばすこともできる。Bボタンでセ
リフの再生ができるのは聞きそこねたときに便利だけど、やけに区切りが長いと、
聞き直しがつらい。BGMの音が大きいせいで、聞き取りにくい箇所もあった。
 セリフ回しがシャレていておもしろく、人との会話では、どういう返事をする
かをいくつかの選択肢から選ぶ場合があり、それによって相手の反応が変化する。
一度クリアしただけでは気づかないが、じつにバラエティに富んだ反応が、数多
く用意されている。背景にカーソルをあわせてボタンを押すと、主人公が場所の
説明をしてくれる。ゲーム世界の状況説明になるだけでなく、主人公のものの見
かたなどがよくわかり、じつに味わいぶかい。
 しばし呼吸困難におちいりそうなほど笑える箇所がある。ストーリー自体わり
と重いので、ギャグを入れてバランスをとっているのであろうか。ヘタな選択を
するとゲームオーバーになるが、それがまた楽しいので見逃してはいけない。

 時間の概念があるため、もたもたしているとクリア不可能になる。このことが、
さらにゲームをスリリングなものにしている。時間を気にしなくていいアドベン
チャーゲームではゆっくり考えていても支障ないが、この作品ではある時間にな
ると突然画面が切り替わり、敵が行動開始する様子を映しだす。「いけない、急
がねば!」とアセらせてくれる。ポーズをかけておかないかぎり、刻一刻と時は
すぎていき、状況が変わっていく。手遅れの行動は命とりだ。

 戦闘シーンでは、銃を撃つアクション面になる。特にむずかしくはないけれど、
コツをつかむまで、うまく進めないかもしれない。操作性があまりよくないのだ。
 セーブはアクション場面以外ではいつでも可能だが、ヘタなところでセーブし
てしまうと、クリア不可能データになってしまう。セーブ一箇所につき、バック
アップRAMの空きを30ブロックも必要とするので、増設のRAMカートリッジ
がないと、メガCD本体内蔵の容量だけではちょっとつらい(私などはちょうど
一箇所ぶんしか空きをつくれなかったので、失敗すると最初っからやり直すはめ
になってしまった)。

 グラフィックや曲は、あやしい雰囲気たっぷり。場面が変わるごとに変化がつ
けられていて、退屈させないよう工夫されている。持ち物装備だけとってみても
とても楽しい。主人公の最初の装備はパンツのみ。「はやく服を着せてくれ〜」
と言いたげに両手をにぎにぎさせている主人公が視界に入ると、シリアスなゲー
ム世界にピシッと亀裂が走って、爆笑の渦にたたきこまれる。これが笑わずにい
られようか。そこへ着せ替え人形よろしく、服やコートを着せていく。服を着せ
ると、ちゃんと自分で服のすそをズボンのなかへぐいぐいと押しこんでいて芸が
こまかい。生活感があって親しみがわいてくる。
 何度かゲームオーバーを繰り返しながら正しい行動を発見していく。ちょっと
むずかしい部分もあったが、謎ときはけっこう楽しい。システムや世界観など、
大変気にいってしまった。続編を希望したい。


'94 5/20 NIFTY-Serve FCGAMEM
     SEGAゲームマシン会議室 #447(改稿)
                   (登録日 '97/4/2)
ソフト発売1992年9月備考なし