079.
ウィザードリィ
ファミコン
RPG
1987.12.22
アスキー
名作3Dダンジョン・コマンドRPG。『ウィザードリィ』はもともと外国のゲームで、このFC版はその移植である(当時、私がパソコンゲームの本などを見ていて、「ぜひ遊んでみたい」と思ったのが『ウィザードリィ』と『ミステリーハウス』だった)。遊んでみると、噂にたがわず非常に面白い。敵が強くて難しいのだけれど、とにかく熱中させる。グラフィックはシンプルで地味、でも飽きがこず、緊張感をみごとに維持している。魅力的な、戦いがいのあるモンスターたち……増殖するクリーピングコインの乱舞、かわいいウサギの姿で油断させておいて首をはねてくるボーパルバニー、クリティカルヒットが怖い忍者系の敵、個性を主張するマーフィーズゴースト、シャレにならんぞヴァンパイア(ロード)、もっと来い来いグレーターデーモン。 呪文システムもよく出来ていて、初めてティルトウェイトを唱えたときの爽快感といったらなかった。使うとレベルが下がるハマン・マハマンは、もったいなくて&恐ろしくて使えなかった。当時、難しすぎるゲームはわりと簡単に放り出していた私が、何とかこの作品をクリアできたのも、それだけ面白かったからである。このゲームでは、ある目的を達成すれば一応ゲームクリアとなるが、その後も引き続き、いくらでもダンジョンを探索して楽しめるようになっている。ストーリー重視型RPGが、クリア後もおまけダンジョンなどでダラダラ続くのは私はあまり好きではないのだけれど(例外はある。よほどその世界が気にいった場合は、ずっとそこで呼吸していたくなる)、『ウィザードリィ』はシステム自体の魅力が強く、戦闘が単なる経験値稼ぎの義務ではない。結果への到達よりも、過程を味わうことが楽しいゲームなのだ。 FC版は、ダンジョングラフィックを二種類に変更できたり、メッセージを日本語と英語に切り替えできたりと、システム面に工夫がこらされており、遊びやすい。曲の出来も大変すばらしい。『ウィザードリィ』というビッグネームゲームを日本のコンシューマゲーム市場に紹介するのに、この上なく抜かりのない気配りがほどこされている。じつに、幸運な移植だったと言えよう。
080  【16】
TOP