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【ゲームキューブ】
『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』
<BATEN KAITOS>
発売日 2003年12月5日
定価 7140円
メーカー ナムコ(→メーカーホームページ
内容  カードで戦闘するRPG。(2枚組)

■カードのみで戦うユニークな戦闘デザイン

 このゲームの戦闘は「カードバトル」。武器・防具・回復アイテム・魔法
などが「マグナス」というカードに封じ込められており、それらを使用して
戦闘や回復をおこなう。
 RPGの戦闘には「戦う」「魔法」「道具」などのコマンドがあるのが普
通だが、このゲームの戦闘には、そういった「おきまりのコマンド」がない。
 画面下に数枚の手札マグナスが並んでいて、マグナスを選ぶと、そのマグ
ナスの能力が実行される。武器のマグナスを使えば攻撃(防御に使える武器
もある)、防具のマグナスを使えば防御、回復マグナスを使えば回復、魔法
マグナスを使えば魔法。武器のマグナスを数枚使うと、それらの攻撃力の合
計が相手へのダメージになるわけだ。マグナスに記されている数字を順番に
並べるか、同じ数字をそろえて出すと、ボーナスポイントが加算されたりも
する。
 「敵と味方が交替で、一度に一撃ずつ攻撃」ではなく、1ターンの間に複
数マグナスの行動をまとめておこなえる。1人のキャラクターが連続で、
「攻撃・攻撃・攻撃・攻撃・攻撃、そしてシメに必殺技!」というように、
勢いのあるバトルが展開される。なかなかの迫力である。

 マグナスを選んでいくだけなので簡単そうだが、秒単位の時間制限がある
ため、時間切れになると、まだ1枚も選んでいなくても行動時間が終了して
しまう。すばやく決定していく必要があるリアルタイムな戦闘は、慣れない
うちはスピードについていけないかもしれない。
 デッキから配られた数枚の手札はいつもすべて使えるわけではなく、使っ
ても効果のない(何のコンボにもならない)マグナスは、灰色(モノクロ)
で表示される。
 モノクロ表示でない、カラー(通常)表示のマグナスだけを選んでいくわ
けだが、「攻撃時にも回復・ステータスアップマグナスがカラー表示される」
「防御時にも攻撃・ステータス異常発生系マグナスがカラー表示される」の
が、ややこしい。
 カラー表示のを選べばいいと思って選んだら「敵を回復させてしまった」
り、「敵をステータスアップさせてしまった」り、「味方を攻撃してしまっ
た」り、「味方をステータス異常にしてしまった」り、するのだ。
 ボス敵に対して、数千ポイントも回復するマグナスを使ってしまったり、
攻撃力アップさせてしまったり、といったミスをしかねない。
 さらに、攻撃時と防御時で、同じマグナスでも効果内容が変わることがあ
る。うっかり間違わないように、瞬時にマグナスを見分けて選んでいくのは
結構、神経を使う。リアルタイムな戦闘は格闘アクションのようなスピード
感が出るが、戦闘終了までにかなりの量のマグナスを集中して選んでいかな
ければならないため、普通のコマンドRPGに比べると、プレイの疲労度は
高めかもしれない。

 デッキの組み方によってはモノクロ・マグナスばかりで、使えるマグナス
が1枚もない、という状況にもなる。時間切れになるまで、そのままじっと
しているしかないと思いがちだが、それでは次のターンでも、それらの「効
果がないマグナス」が残ったままになり、流れが悪くなる。その結果、やた
ら戦闘が長びいてしまう。
 回復したいと思っても、回復マグナスが手札に来るまで回復できない。思
うようにすぐ行動できない、もどかしさ。
 「不要なモノクロ・マグナスを積極的に捨てて、新しいマグナスを1枚で
も多く、手札に追加するようにする」「攻撃ターンで出せる攻撃マグナスが
なくなっても、そこで終了させずに、効力弱めの回復マグナスなどを混ぜて、
より多くマグナスをデッキから追加し、攻撃を長くつなげるようにする(そ
の方がトータルのダメージ合計量を増やせる)」のが上級者のプレイ・テク
だ。1枚出せば、デッキから1枚、手札に追加できる。説明書には書かれて
いない、こうしたコツをつかめるかどうかで、戦闘のテンポが違ってくるだ
ろう。

 入手したマグナスは最大1000枚まで保存できるが、行動選択肢として
各キャラクターの「デッキ」に入れられるのは、ひとりにつき数十枚。どの
マグナスを入れるかは好きなように選べる。コマンドRPGにはあらかじめ、
基本となる戦闘コマンドが備わっているが、このゲームでは、自分で戦闘用
コマンド(マグナス)を準備する必要がある。うまく組まないと効率のよい
戦いができない。デッキ編集をおろそかにしてはいけない。
 各マグナスにはイラスト入りで説明文が書かれている。種類はかなり豊富。
マグナスを入手するたびに内容をチェックし、こまめに入れ替えていくデッ
キ編集は多少面倒だが、レベルアップと装備変更だけでないパワーアップを、
デッキから感じることができる。

 マグナスバトルの他にもユニークなシステムデザインがほどこされていて、
カードによる戦闘というアイデアだけで終わっていない。戦闘ではお金が手
に入らないため、敵をカメラで撮影した写真を高額で換金してもらったり、
プレイ時間の経過によって食べ物マグナスが腐ったり、物質マグナスが別の
ものに変わったりする。
 戦闘中に数枚のマグナスを組み合わせて新しい種類のマグナスを作りだす
「SP(スペシャル)コンボ」が面白い。マグナスの説明文から組み合わせ
を推理し、材料マグナスが変化しないうちに精製を試していくのは、攻撃と
防御だけの戦闘にならない楽しさを与えてくれる。
 個性的なキャラクターたちが戦闘やストーリー上でしゃべるボイス量が多
く、世界各地のグラフィック描写も独特。パズル的な謎解きは少々、手こず
るかもしれない。達成するべき課題がたっぷり用意された、プレイしがいの
あるRPGだ。

(HP登録日 2006/2/11)
ソフト発売2003年12月備考感想

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