【ゲームボーイ】
『ダンジョンランド』

発売日 1992年12月15日
定価 4600円
メーカー エニックス
内容  迷路の中を進むゲーム。 


 エニックスのゲームボーイソフト第1弾ってことで、まあまあ期待していた。
(...ここで早くも不穏な空気を感じ取ったアナタ、鋭い(笑))

 いったいこれはどういう内容のゲームなのかというと..ファーストフード店
などでたまに配られるスクラッチカードを思いだしていただきたい。コインで銀
色の部分を削ると矢印が出て次のマスへ進むヤツ。あれと似ている。
 画面にはぎっしりと「?」マークが並んでおり、最初はゴールである魔法陣と
自分しか見えない。そこを剣で「?」を切り開きながら進む。途中、壁などにぶ
つかったら相手のターンへうつる。これをどちらかがゴールするまで繰り返す。
敵が出れば戦い、宝箱などから入手できるアイテムを使って自分を有利にしたり
相手を不利にしたりする。1人の場合はCOM(コンピュータ)と対戦、ケーブ
ルでもう1台GBをつないでの対人プレイも出来る(GB1台だけでも交代する
ことによって、人同士の対戦が可)。

 とにかく妙なノリ。壁にぶつかるたびにゴーンと音がし、★お星さ〜まキ〜ラ
キラ☆で、キャラが目を回して倒れる。面白いといえば面白いが、毎回やるので
ちょいとばかりうっとーしい。こんなに何度も頭を岩壁にぶつけていたのでは、
勇者が”くるくるぱ〜”になりはしないかと心配である。
 自分のターンが回ってくると「やるぞーっ」、宝箱のアイテムを取ると「じゃ
ーん」などのセリフが出る。微笑ましくはあるけど、これも少々うざったいかな。

 タイトル画面で自分のキャラが、たったかたったか走っていてかわいい。でも
背景がなく、ちょっとさびしい感じ。タイトルロゴの”ランド”の「ン」の字が
道みたいになってて、その上をキャラが走っている、というのはセンスいい。
 桜玉吉さんによるキャラデザインが本当にいい味してるというか、変わってて
面白い。かわいくて不気味で、超個性的だ。ボスの名前も変わっている。プリン
型スライムの頭の上にのっている、さくらんぼがかわいいな。もう少し全体的に
シリアス調だったら、もっとスリルある気がするんだけど..ギャグっぽくなる
のは仕方ないかな?

 「?」マークを切り開いていく時、Aボタンを一回押せば剣をふるう&1歩前
進を同時にやってくれるのは良い。これがもし、Aボタンを押して剣をふるった
後、さらに十字キーを使って前進しなければならないのだったらストレス倍増だ
っただろう。しかしこの「?」マーク、ウニウニと絶えず動いていて(ちょっと
曲にシンクロしてるね)、じっと見ているとトリップしてしまいそうである(笑)。
なんか落ち着かない☆

 とまどうのがセーブ関係。途中でいったんやめようと思うが「さて、どうやれ
ばセーブできるのか?」わからない。説明書を読んでみる。書いてない。思いき
って電源を切ってみる。つける。げ..保存されてない。途中までの状況セーブ
は出来ないらしい。自分が負けたらハイそこまで、成績は記録されるが、いった
ん電源を切ってのコンティニューが無い。すぐに終わる「めいろバトル」モード
はともかく、時間のかかる「めいろクエスト」モードでは、かなりつらい。

 ゲーム中のコマンドバトル。これがかなり笑える。3つの戦闘コマンドのうち
のどれかを選び、相手の繰り出す技との相性で攻撃がきまったりダメージを受け
たりする(アイテムを持っていれば使用できる)。要するにジャンケンみたいな
ものかな。相打ちの時、自分が負けるのは納得いかない。ライバルの戦闘画面の
絵が自分とまったく同じなので(フィールド上の絵もおんなじ)、最初、自分の
分身と戦っているのかと思ってしまった。どっちが自分かわからないので、やっ
ぱり変えてほしい>戦闘時のライバルのグラフィック
(「(次は)誰々の番だ」という表示の時はさすがに変えてあるけど)

 ボスとの戦闘、(見た目は)こりゃ「イース」だね(笑)。地面に描いてある
魔法陣が好き。ボスには何回でも挑戦でき、しかも前回与えたダメージはそのま
ま残っているので(自分はしっかり全回復)、アクション苦手でも粘れば勝てる。
ちょっとズルい気もするけどね。キャラの操作がしづらく、思ったように動いて
くれない。何が何やらわからぬうちにボタン連打しながらうろつき回っていると
戦闘が終了してしまうという感じだ(たいてい一度めは負ける)。難易度のバラ
ンスはあまり取られておらず、力押しのボス戦という印象。駆け引きの妙などは
味わえないようだ。対戦相手がボスやザコと戦う時、敵側の操作は自分で行わな
くてはならない。アクション部でのCOMプレイヤーは結構強く、ボスでも楽勝
で倒してしまったりする。なんか悔しい(笑)。私はボスを一度目で倒せた試し
がないというのに☆
 ボス戦に入る前のワープの時、天から光の柱?が降りてきてそれに吸い込まれ、
回転しながらのぼってゆくのは好き。

 マップ画面に入る前、画面が切り替わるまでにちょっと時間がかかるのは、お
そらくマップを描いてるためなんだろうな。一瞬、間があくので「あれ?」とか
思う。

 大きく分けて3つのモードにわかれている。

[めいろバトル]

 1つの迷路が終了すればそれで終わり。難易度も選べる。COMの強さ「ふつ
う」「りこう」「てんさい」とあるが、「てんさい」でも、あまり賢い動きはし
ない気がする。

◎”だっしゅつめいろ”..もっとも簡単。魔法陣まで進んでいくとボスの元へ
ワープ、勝利すればクリア。

◎”たからへのめいろ”..どこかに隠されている「おうかん」と「もんしょう」
を手に入れないと魔法陣に踏み込めない。後は”だっしゅつ〜”と同じ。

◎”たたかいのめいろ”..”たからへのめいろ”をちょっと複雑にしたもので、
さらに地下迷路があったりザコ敵が多かったりしてなかなか手ごわい。


[めいろクエスト]

 3つのシナリオがある。とにかく、マップがだだっぴろい。同じような迷路の
繰り返しなので10面もやると、いいかげん飽きてくる。変化をつけるためか、
実にいろんな種類のアイテムが出てくるのだが”飽き”に歯止めをかけるだけの
楽しさはそれほど感じられない。
 このモードで勇者にクエストを依頼する王様、こいつの態度が”なっとらん!
(笑)”ので、助けてあげようという気が起こらない。自業自得だぞ、はっきり
言って☆ギャグとして笑わせようとしているのだろうけど、プレイヤーのやる気
をそぐようでは逆効果だ。
 途中セーブが出来ないのがちょっとキツい。完璧なクリアをしようと思ったら、
かなりの時間がかかってしまう。途中セーブは、やっぱりほしかった。気軽に遊
べない。

◎”まおうをたおそう”..飲んだくれの王様が、うっかり魔王の封印された酒
びんのふたを開けてしまい(なんで酒蔵にある酒びんなんかに魔王が封印されて
たんだ?謎だ)、勇者に助けを求める。自分はお酒飲んで待ってる、っていうん
だからいいご身分だ。一回でも勝負に負けると最初からやり直しになってしまう
のが悲しすぎる。

◎”ひめをすくえ”....王様が姫のおやつをぜーんぶ食べてしまったために
姫が怒って家出!帰ってこない。どうやらモンスターに誘拐されたらしい。ダン
ジョンをひとつひとつ当たって、姫を探す。1つのダンジョンで負けても次のダ
ンジョンへは行けるが、得点(←お金がわり)が入らず買物もできない。買物は、
一度に一つしか物が買えないのが不満。このシナリオだけは他の2つと違って対
人プレイも可能だけど、クリアするまでにかなり時間がかかるからお互い疲れて
きて「もう止めようか..」と言い出すのが目に見えそうだ。なにしろセーブが
出来ないから、クリアしようと思って始めると終わるまで電源が切れない。

◎”たからをもとめて”..今度はポーカーで失敗した王様。盗られた宝を取り
返すごとに得点が入り、それに見あった称号を王様からもらえる。高品質の宝ほど
高い点数が入る。称号の種類はいろいろあり、最高ランクを目指す。称号の名称は
「よっ てんさい」だの、「みじめくん」だの、いろいろあってユニーク。城に帰
った時点で、そこまでの結果の称号がもらえるシステム。宝の中には「これのどこ
が宝なんだ?」と思えるものもある。
(「くさった○○○」なんてただのゴミではないか)


[めいろデザイン]

 自分で迷路を創れる。コンストラクションモードってやつかな。こういうのを
創るのが好きな人には嬉しいだろう。私は自分で創る気はしないけど、こういう
自由度があった方が、無いよりはいいんだろうな。



 曲は悪くない。タイトル画面の曲は1つの迷路が終わってメニューに戻る時に
も流れるせいか、印象が強い。あと、「たたかいのめいろ」の時の曲とか、地下
に落ちてからの曲、対ボス戦の曲など、リズムが良い。

 ある時点で相手の有利がはっきりしてしまうと勝負が見えてしまう。アイテム
の中には大逆転を狙えるものもあるが、いつも手に入るわけではないので、得点
を消費してなにか妨害できるようにするなど、もう少しの「戦略性」がほしかっ
た。一歩違いで負けた時は非常に悔しい☆

 エニックスさんの出すソフトの常?で、ていねいに仕上げてはある。マップの
パターンも結構多いようだし、自分でもマップを創れるのでその気になれば相当
長持ちするソフトだろう。友達と一緒に遊んだ方が(1人でやるよりはまだ)楽
しいかな。(やっぱり、年齢層の低いところをターゲットにしてるのだろうか)
 しかしゲーム展開が単調で、飽きやすい。すぐに障害物にぶつかって思うよう
に進めずイライラする。アクション部分の出来もイマイチであまり面白くない。
「ゲームをやってスカッとさわやか」な気分になりたい人には向かない。ストレ
ス倍増、間違いなしである。

 無人島にて娯楽といえばGB本体とこのソフトしかない、という状況であれば
このソフトはじっくり遊び込むことが出来て、楽しめると思う(電源はソーラー
パックね(笑))。しかしたくさんのゲームがあふれかえる昨今、他のゲームに
目移りさせないだけの魅力がこのソフトにあるのかといえば..ちょっとつらい
ところだ、と言わねばならない。


'93 12/17 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ハンディゲームマシン会議室 #447

                   (登録日 '98/3/18)

巴かずみのゲームソフトレビュー
/KAZUMI TOMOE'S GAME-SOFT REVIEW

ソフト発売1992年12月備考なし