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【ゲームボーイ】
『モンスターメーカー』
発売日 1990年12月22日
定価 3500円
メーカー ソフエル
内容  カードで構成された世界を旅する、 
 一風変わったコマンドRPG。


 “モンスターメーカー”は元はカードゲームのシリーズである。そこに登場す
るキャラクターを使って創られたのがこのゲームだ。主人公は4タイプから選べ
る。画面上のキャラクターイラストは原画に忠実で、イメージがくずれることは
ない(フィールド上の絵は少々苦しい気もするが、悲惨なまでに違っているわけ
ではない)。説明書には、キャラクターをデザインした九月姫さんによる、てい
ねいでかわいい絵が満載。説明もきちんとされていて嬉しい。
 ダンジョンはカードで埋めつくされており、先が見えない。どんどんめくって
道を切り開きながら進んでいく。途中に宝箱や罠、敵との戦闘などがある。カー
ドをめくっていくだけでもけっこう楽しい。マップはわりと入り組んでいて、せ
っかくオープンしたカードが再びどんどん背後から閉じていってしまったり、通
り過ぎたら後戻りできなくなって結局また大回りして戻ってこなければならなか
ったりと、いかにも「迷いやすい不気味な場所」という雰囲気が出ている。魔法
屋でMPと魔法を交換するシステムなど、全体に独特の表現力を感じさせ、新鮮
な印象をプレイヤーに与える。画面デザインのセンスも良く、場面ごとに切り替
わる曲もなかなかいい。

 いろいろな種類のシナリオ(クエスト)が用意されていて、それを突破するた
び、キャラクターはレベルアップしていく。通常戦闘ではいわゆる“経験値”は
入らず、お金やアイテムを得るだけ。酒場で仲間を雇い、装備を良いものに取り
替えつつ、強くなっていく。ゲーム序盤はコツがつかみきれていないために全滅
をくらいやすく、少々とっつきにくい感じがするが、だんだん強くなってシーフ
を雇えるようになるころには、熱中してプレイできる。しかし、敵がかなりひん
ぱんに出てきて、しかもしっかり戦わないと全滅しやすいのがつらい。「電源切
ってやり直し」が連続するので嫌になってくる(電源を切ってやり直すのは本当
は好きではないのだが、あまりに不利な展開をする場合は別だ)。一歩動くごと
に敵が出たり、ほとんど毎回先制攻撃されることがあったり、一回の戦闘で敵を
倒したそばから新たな敵がどんどん追加されたりするのには、ちょっとうんざり
してくる。

 経験値によるレベルアップがないので強くなるにはクエストをクリアするか、
お金を貯めて、よりランクの高い装備を買うか(あるいはどこかで発見するか)、
どちらかしかない。ザコ戦による経験値稼ぎがないのは一見とても良いシステム
のように思えるが、クエストクリアがうまくいかない場合、どれだけ戦っても一
向に強くなれず、それならば普通の「量による経験値稼ぎ」のほうが楽なのでは
ないか、という気がしてきてしまう。ザコ敵との遭遇率が高くては、単純な経験
値稼ぎを廃して、クエスト自体を楽しむことを中心にすえたシステムの良さが活
かされない。
 また、セーブファイルがひとつしかないのは不安だ。ダンジョンなどに入ると
入口が消えて、出口を探さなければ地上へ戻れなくなる。こういうときにセーブ
してしまうと、外へ出るまでが大変である。最初は脱出用の魔法もなく、閉じ込
められたような状態になる−−緊張感が出て良いのかもしれないが。
(クエストの回り方によってはハマりになって脱出できない箇所があるようなの
で、ふたつくらいセーブファイルがあるとよかった)

 敵との遭遇率のバランスがあと少しうまく取られていたら、もっと楽しく遊べ
るゲームになったのではないだろうか。途中でダレないようにいろいろな工夫が
されているし遊びごたえもあるし、面白いのだが、戦闘や迷路での疲労が楽しさ
を打ち消しかかってしまうようなところがある。もう少し、あともう少し展開が
楽なら……と思わずにはいられない。
'94 1/28 NIFTY-Serve FCGAMEM
ハンディゲームマシン会議室 #475(改稿)
(登録日 '97/5/14)
ソフト発売1990年12月備考なし

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