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【ファミコン】
『がんばれゴエモン外伝〜消えた黄金キセル』
発売日 1990年1月5日
定価 6980円
メーカー コナミ(→メーカーHP
内容  アクションゲームとして登場したゴエモンシリーズが 
 外伝でコマンドRPGになった。


 私はゴエモンシリーズをプレイするのはこの作品が初めて。アクションのほう
では遊んだことがない。しかし、ていねいに描かれた魅力あるキャラクターのお
かげで、抵抗なくゲーム世界に入ることができた。全体に神経がゆきとどいてい
て、開発者の愛みたいなものが伝わってくる。敵キャラの動き、メッセージ関係、
その他細かいところにあれこれと手がかけられており、遊んでいてほんわかした
気分になれる。曲のノリも良く、テンポよく遊べるのがいい。
 「ゴエモンが家宝として大切にしていた“黄金のキセル”が何者かによって盗
まれてしまった。一大事だ!」というわけで、主人公のゴエモンは旅に出る。家
宝が盗まれた、しかも天下の大泥棒が逆に盗みに入られるなんざぁ、プライドが
ど〜あっても許さねぇ……。旅に出る動機としては充分である。RPGで最初に
出てくる目的が、「私はボランティアをやってるワケじゃないんだ」なんて思わ
せてノリ気にならないものであるのは、イントロとして失格なのではなかろうか。
最初で感情移入に失敗すると、それから先の展開にも期待できなくなってしまう。
その点、この作品はじつに納得できる出発の仕方になっている。

 ゲームはごくごく普通に展開する。悪く言えばワンパターンなのだが、説明書
なしでも気軽に楽しめるRPGだとも言える。ダンジョン内マップは意外に広い。
敵との遭遇率は低くないが、オートバトルが可能なのでかなり楽だ。もしもこの
自動戦闘がなければ、快適さはずいぶん違ったことだろう。
 戦闘バランスが良く、ちょっと先へ進みすぎてもいきなり全滅することはない。
お金がたまるのも速く、装備をばっちり買ってから進める。ボスもちょうどよい
強さ。一度フル回復すると結構長い間もつので、自分の力を信じて旅ができる。
 店内などではイラスト表示になり、入ったとたんに用件にうつれてスピーディ
だ。「カウンターまで歩いていく→たまにスッと横に移動してフェイントをくら
わす主人に座標軸をあわせて話しかける」という作業が省かれていて楽である。
宿屋や店の中に会話すべき人々が存在せず、その他の場所でもヒントキャラが最
小限におさえられているので、歩き回ってのヒント収集に疲れ果てることもない。
ただ、装備関係のシステムにはちょっと不便を感じた。メッセージスピードをゲ
ーム再開のたびに設定し直さなければならないのも面倒(おまけに、「はやい」
でもあまり速くない)。

 途中までは、非常に楽しくプレイできた。しかし残念なことに、あるポイント
でいきづまってしまった。よもやハマるとは思っていなかったので少しショック。
スーパーファミコンのRPGでも、「次にどうしていいかわからず、そのまま放
り出してある作品」を私は結構かかえている。自分を基準にして、自力で解けな
いようなのは謎のかけかたがヘタなのだ、などと思いはするが、当然なんなく解
ける人もいるわけである。簡単には投げださないつもりだし、ある程度の謎なら
解ける自負はあるのだが、それでも、いきづまることがある。
 幸い(?)、中古で買ったので、前の持ち主のセーブデータが残っていた。セー
ブファイルが複数ある場合、私は前の持ち主のデータで一番レベル値が高いもの
を消さずに残しておく。そして自分がクリアしてから、自分のと見比べてみる。
他のプレイヤーはどんな感じで旅を終えたのかと想像をめぐらせるのが楽しい。
自分が入手していないアイテムがあったりすると、「どこにあったのだろう?」
と気になったりする。
 今回上書きせずに残しておいたデータは、ゲームクリア直前でセーブしたもの
だった。私はそれを使ってエンディングを見た。……後悔した。話の中盤で挫折
しているため、話が全然見えない。達成感や感動のかけらもない。ああ、RPG
って、いや、ゲームっていうのはやっぱり過程を楽しむものなんだなと痛感した。
道中をすっとばしてエンディングだけ見ても、無感動なのだ。

 自分が気にいった作品だと、自力で解けないのは残念でたまらない。そういう
とき、ふと考えこんでしまう。

「これは自力で解けない自分が悪いのか?」
 それとも、
「私に自力で解かせないこの作品が悪いのか?」……と。
'94 6/3 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #986(改稿)
(HP登録日 '97/7/16)
ソフト発売1990年1月備考なし

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