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【ニンテンドーDS】
『世界樹の迷宮』
発売日 2007年1月18日
定価 5478円
メーカー アトラス(→メーカーホームページ
内容  樹海と呼ばれる場所を探索する、5人パーティーの3DコマンドRPG
 シリーズ第一作め。音楽は古代祐三さん。

■デジタル手描きで地図を作成

3DダンジョンのコマンドRPGで有名な『ウィザードリィ』に似たシステム。
町を拠点にして3Dエリアを探索、戦闘する。
あらかじめ決められたキャラではなく、9種類の「職業」キャラを作成。
明るく漫画チックな親しみやすいキャラクターデザイン。職業の個性はあるが、
物語らしいセリフは少なく、ストーリー性は弱め。
コマンドRPGとして、やりがいはある。

タッチペンで画面をタッチするハンディ・ゲーム機「ニンテンドーDS」らし
さを活かした、手描きマッピング。戦闘中でもマップを描画でき、線をひっぱ
ったり、マーキングしたり。地図に自分でマークやメモをつけられるのが便利。
複雑なワープポイントや落とし穴が多いフロアでは、記憶だけに頼っていては
攻略が難しい。自分で紙に手書きするよりは、画面上に直接マークした方が、
断然ラク。

「部分的オートマッピング(歩いた後の床表示のみ)」で、移動すると、通っ
たマスの床に色はつくが、道の左右の壁線はつかないので、壁がある場所と、
無い場所の見分けがつかない。壁のりんかくをなぞって、線を引く。壁に何か
ある場合もあるので「左右をきょろきょろ見回す」動作となり、慎重に進んで
いる演出となる。
適当に間違った線を引いてしまうと、曲がり角があっても、(間違って描いた
地図を見て)無いと思ってしまったりする。道などを見落とす場合がある。
間違って引いた線は、「消しゴム」に切り替えて消す。
少々面倒ではあるが、未知のエリアを探索している雰囲気が出る。
パーティーが全滅すると、それまで得た経験値や入手アイテム、イベント進行
状態はリセットされるが、マップを描いた状態だけは保存可能になっているの
で、せっかく描いた地図が描き直しになることはない。

レベルが上がると自動でスキル習得するのではなく、1レベル上がるごとに得
られるスキルポイントを消費して、あらかじめ表示されている全スキルから、
好きなのを選んで習得していく。
スキルの成長具合を自分で決められるので、同じ職業でも、能力に差がつく。

戦闘には「BOOST(ブースト)」コマンドがあり、ゲージがたまると、1回
だけパワーアップ攻撃できる。ブーストゲージは町に戻るとリセットされてし
まうので、迷宮内に居続ける意味が出る。通常戦でブーストをためてから強敵
に挑む戦略性も生まれる。

■視認できる強敵FOEの存在が緊張感を高める

うっかりすると全滅する、少し手ごたえのある敵の強さ。特徴あるのが、視認
できる敵モンスター「FOE(Field On Enemy)」。
ランダム・エンカウント(敵の姿が見えず、移動していると戦闘が発生する)
の戦闘だけでなく、敵の姿が大きな玉状態で見える「FOE」が、ところどこ
ろに存在。ランダム・エンカウントなら、戦闘から逃げれば敵は(なぜか)い
なくなるが、FOEは、まだ(当然)そこにいる。

あちこちにうろついているFOEは移動式で(固定位置のもいる)、自分たち
が1歩動くと、FOEも1歩動く。自分たちが止まっていれば、FOEのすぐ
そばにいても戦闘にはならない。同じ1歩ずつなので追いつかれることはない。
と思っていたら、
怒って?(シンボルが赤くなる)追いかけてくる時がある! さらに困るのが、
リンク(※オンラインRPG『ファイナルファンタジー11』で、近くにいる
敵モンスターが途中から参加してくる現象)してくることがある!

フィールドから戦闘画面に切り替わるコマンドRPGでは普通、「仲間を呼ぶ」
性質のモンスターでなければ、他のモンスターが追加参戦してくることはない
のだが、FOEの場合、追加されることがあるのだ。強敵の追加だから、かな
り難易度が上がる。確かに、凶暴なモンスターなら、近くにいる敵の戦闘が終
わるまで待ってる方が不自然である。
横を向いたら、そこにいる。追いかけてくる! 追いつめられた! という緊
迫感は、ランダム・エンカウント戦闘にはないスリルだ。
FOEの位置を確認するため、周囲をきょろきょろ見回しながら進む警戒した
緊張感も演出される。

FOEへの対処がうまくいかないと、先へ進めず、新要素が出るまで「わりと
長めの足踏み状態」になり、戦闘のみをもくもくと、こなすことになる。
『ウィザードリィ』だと、ストーリーが無くても未鑑定アイテムを探す楽しみ、
ロスト(消滅)するとキャラがいなくなる恐怖があるが、このゲームの戦利品は
固定していて、「?」(種類が少ない。多くても、1体につき3つ)をすべて
入手すると、新鮮味がなくなる(たいていのRPGでは、そうだが)。
報酬付きクエストやミッションは用意されているが、数が少なく、物足りない
(難易度高めで簡単にクリアできないのもあるが)。
ストーリー部分が少ないから余計に、他の息抜き要素、クエスト&ミッション
量がもっとある方がよかったが、込み入ったマップはよく練られており、3D
スクロールダンジョンRPG好きなら楽しめる出来だ。

(HP登録日 2022/5/28)
ソフト発売2007年1月備考なし

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