『アラビアンドリーム シェラザード』

 当時、今は亡きゲーム総合雑誌「Beep!(ビープ)」
に、“サンダーバードコーナー”という、ゲームでい
きづまったところを読者同士で解決しあうコーナーが
あった。と言っても誌上でおこなうのではなく、「こ
のゲームのことならまかしとけ」という読者が自分の
住所を載せ、そこへ質問者が手紙を出すという一種の
文通形式で、私も一度だけ投稿して載せてもらったの
だが、そのときのゲームが、この『シェラザード』だ
った。
 投稿した理由は、私自身がこの作品の終盤の攻略に
ひどく苦労させられて、「これを自力クリアするのは
大変だろう、きっといきづまっている人がいるにちが
いない」と思ったためだ。ラストボス直前の魔法陣の
謎は、キャラクター位置がほんのわずかズレただけで
失敗してしまうシビアさ。マイナーなゲームの終盤の
情報なんか雑誌には載らないし、これなら、と思って
買った攻略本にすら、「ここからは自力で解いてくれ
!」と書いてあり、ガク然としたのを覚えている。
(“そこから”が知りたくて買ったんだってば(笑))
手紙は4〜5人から来て、ほとんど全員、やはり最後
の謎のところでいきづまっていた。私は同封の切手を
使って図説入りの返事を出した。そのうちのひとりふ
たりからは「ゲームをクリアできました」との報告も
折り返しもらい、何となく嬉しい気分になった。

 というわけで想い出深い一本なのである。雰囲気が
独特で見かけはちょっとイマイチかもしれないけど、
結構面白かったし、最後のボス戦を自力クリアできた
のが何より嬉しかった。他の人にも遊んでもらいたい、
との思いから、カセットは専門学校を卒業するときに
後輩にプレゼントした。彼は、あの謎を自分で解けた
だろうか。

   →1987年9月