『シルヴァ・サーガ2』<Silva Saga II>

発売日 1993年6月25日
定価 9800円
メーカー セタ
内容  光の神と闇の神が争う「ミネルバトン」の世界を描く 
 コマンドRPG。ファミコン版の続編。


 RPGで長時間遊んでいると疲れてくる。難所をクリアし終わってひと区切り
つくと「ここらでちょっと休もう」と電源を切るわけなのだが、この作品では謎
やボス戦がわりとちょろいので、やめるにやめられない状態になる。急行列車の
ようにテンポが速い。調子よく進みすぎるのだ。寝ずにがんばれば一日でクリア
できそうな勢いである。特に前作をプレイ済みの場合だと予備知識があるので、
さらに速さは加速する。
 お金を払えば旅のヒントも聞け、フィールド上には道案内の標識が立っている。
お金やアイテムなども、そこらへんの建物を物色すれば簡単に手に入る(はっき
り言ってドロボウだが、「世界を救うための協力物資を自分で収集している」の
だと思うことにしよう☆)。

 移動速度をアップする魔法「スタタト」は、効果が切れるまでの間、ザコ敵に
まったく遭遇しない。連続してかければ、ほぼザコ戦は無いも同然になる。たま
に敵が潜んでいることもある宝箱を完全無視すれば、まったく戦闘なしで進める。
マップは単純でせまく、仕掛けもほとんどないので、ボスのところまで一直線。
夢の超特急コースだ。楽である。ザコ戦をしないとレベルが上がらず、ボスに歯
がたたないのではないかという心配も無用。ある程度のレベルがあれば、少々時
間はかかるものの、粘れば勝てる。

 傭兵と神像のパーティに切り替えて戦えるというのがこのシリーズの特徴だ。
しかし、あまりに旅がスムースにいきすぎるため、傭兵や神像の出番がなかった。
たいていは主人公パーティの戦力だけで何とかなってしまう。経験値が入るのは
戦闘終了時に戦っていたパーティメンバーだけなので、たまには傭兵と神像たち
と交替してやらないといけない。が、いちいち切り替えて均等に育てるのは面倒。
いきおい主人公のパーティだけで戦うことになり、結果、傭兵や神像たちのレベ
ルは一向に上がらないわけである。
 神像は合体させることによりパワーアップするが、私は一度もこのシステムを
使用しなかったし、神像を戦闘に参加させることもなかった。傭兵もほとんど使
わなかった。彼らをどれだけ使用するかはプレイヤーの意志にまかされている。
まったく使わなくても支障はない。ストーリー上でもっと彼らを活躍させる場を、
組みこんでおくとよかったのではないだろうか。

 グラフィックにしっとりした落ち着きがある。水辺を通るとキャラクターの姿
が水面に映しだされ、澄んだ水であることを伝える。キャラクターの動きや表情
がていねいに描かれていてかわいい。ボタンを押すと、主人公は前方にかがみこ
んで手を動かす仕草をする。とても愛嬌がある。
 マップ構成は前作とほとんど同じ。同じものをそのまま使用するのはさぞ楽だ
ろうなという意地の悪い見方もできるが、前作をプレイしていれば人物や地形に
なつかしさをおぼえ、かえって新鮮ではある。
 戦闘突入時の画面展開は凝っていて、背景に奥行きを感じさせる。なかなかか
っこいい。しかし、敵出現や敵の名前、行動アイコン表示がゆっくりで、コマン
ド入力可能状態になるまで少々待たされる。攻撃スピードも遅いので、すこしス
トレスがかかってしまう。モンスター名の表示をオフにできる機能があるとよか
った。オートバトルできないのも残念だ。

 戦闘の遅さを除けば、システム面はかなり親切である。魔法やアイテム説明が
ちゃんと出るし、「おすすめそうび」というコマンドを使えば、一番いい装備に
自動的に切り替えられる。これなら、傭兵に主人公のお古を着せ替えてやるのが
非常に楽だ。守備魔法も、すでにかけてあるキャラにかけようとすると「かかっ
ている」という表示が出るから、ムダに唱えないですむ。テレポートするときに
は瞬時に場面が移り変わるのではなくマップ上をスクロールしていくので、場所
の位置把握もしやすい。
 セーブデータを消去すると「あとかたもなくけしました」というメッセージが
出て笑える。ゲーム中メッセージもじつにほのぼのとしており、いい味を出して
いる。いろいろな場所を調べると、こまかいリアクションが返ってきて、思わず
にんまりしてしまう。店で大量のアイテムを一気買いすると、すこしオマケして
くれるのもうれしい。曲は響きが美しい。ボスに会ったときなどに曲をストップ
させるのが効果的だ。

 ゲームクリア後に、短編ファンタジー小説を読んだ後のような気分が残った。
これは褒め言葉ではない。物語にヒネリが足りず、登場キャラクターの描き込み
や心理描写が少ないため、じつにあっさりしている。すいすい進めるのは気分が
いいが、簡単すぎてインパクトがない。目的達成してもあまり嬉しくないのは、
おそらく演出不足のせいだろう。ゲームシステムに新要素を加えないなら、せめ
て印象に残るエピソードをもっと増やすなどしてほしい。


'95 3/17 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #7606(改稿)
                    (登録日 '97/1/1)
ソフト発売1993年6月備考なし