【スーパーファミコン】
『ライブ・ア・ライブ』
<LIVE A LIVE>
発売日 1994年9月2日
定価 9900円
メーカー スクウェア(→メーカーHP
内容  各シナリオごとに世界観や主人公がすべて異なる、
 オムニバス形式のコマンドRPG。

 ゲーム世界が複数用意されていて、どれからでも好きな順番でプレイできる。
それぞれの舞台で、それぞれのキャラクターたちが、それぞれの理由を持って戦
う。実際にプレイする前、ゲーム内容説明を読んで私は、「これは“どんな世界
観&主人公がユーザーにウケるか”を調べるためのマーケティング・リサーチ的
作品なのではないか」と思ったりした。7人の著名漫画家をキャラクターデザイ
ンに起用したのは、各世界のイメージの違いを際立たせて個性的にするためなの
だろうけれど、もしかするとそのファン層を取り込むことも狙ってたりするのか
な、などとも考えた。しかしプレイ開始後。そんな裏側の意図はどうでもよくな
った。このソフト……本当に面白いのである。

 ギャハハと笑いながら純粋に楽しめるブロークンなノリと、ファミコンソフト
を思いださせる、味わい深いグラフィック(注:ほめてる)。毎週やってるTV
アニメ番組、あるいは短編映画を観ているような気分で気楽にプレイできる。1
シナリオあたりのプレイ時間は短く、途中で別のシナリオに乗り換えることも可
能。シナリオごとに気分をかえて遊べるので、飽きっぽい人や、長丁場のRPG
はなかなかやってる時間がない(でもRPGをやりたい)という人には最適かも
しれない。アドベンチャー部分の割合が結構多く、少々かったるくなるところは
あるが、「なんで、こんなこと何度もやらなきゃなんないんだよ〜」と嫌になっ
てしまいそうな作業の繰り返しにも、「ったく、しょーがないなぁ」と言いつつ
従ってしまう不思議な魅力が感じられる。シナリオの出来が秀逸で、様々なアイ
デアが盛り込まれており、ひとつひとつの世界が見事にきっちり描きわけられて
いる。しかも、そのどれもがドラマティックなのだ。短い話のなかでこれだけの
深さを出すのは、なかなか出来ることではない。

 戦闘は、各自が個性あふれる技を駆使して戦う、というもの。戦闘中に攻撃技
の説明が出てくれるおかげで戦いやすい。キャラクターの素速さと、繰り出す技
の種類に応じて行動の量と速度が決まるため、戦況は流動的になる。順番が回っ
てきたらコマンドを入力、移動や攻撃などを実行する。技ポイントの概念がなく、
戦闘が終了するまで、技は無制限に使用可。「なんだ、楽勝じゃん」と思いきや、
頭を使って戦わないと勝てなかったりする。その集団のボスを倒せば手下のザコ
も全滅すること、射程距離によっては反撃があること、障害物で移動がさえぎら
れること、ダメージ(回復)ゾーンをつくりだせること、技やアイテムを使うと
ステータスが変化する場合があること、HPが0になってから、さらに次の攻撃
をくらうとその戦いには復帰できなくなること、などの要素によって、パズル的
面白さを持つ戦略性の高い戦闘になっている。相手によって、使用する技を変え
る必要がある。簡単そうに見えて、意外と奥が深いのだ。

 複数の世界観およびストーリーが一本のソフト内に入っているということは、
すべて、別々の背景&キャラクターパターンを起こさなければならない、という
ことである。各物語のマップが狭いとはいえ、一編の物語に割り当てられる容量
は決して多くはない。それでもこの作品はできるだけ単調さを感じさせないよう
にしながら限られた材料をうまく使って、充分に遊べるゲーム、見ごたえのある
ドラマをしっかりとつくりあげている。演出の巧さ、グラフィックパターン・曲
・効果音の有効利用(芸のある使い回し)、良好な操作性、ゲームデザインセン
スの良さ、自由な表現と確かな描写力。容量は少なめでも、プレイヤーを楽しま
せることはできる。重要なのは作る側の創意工夫なのだということを、『ライブ
・ア・ライブ』は証明している。
('96 9/21 NIFTY-Serve FCGAMEM
ファミコン&スーパーファミコン会議室 #26994(改稿)
       (HP登録日 '96/10/30)
ソフト発売日1994年9月備考感想