『ブレス オブ ファイア〜竜の戦士』 <BREATH of FIRE> |
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発売日 1993年4月3日 定価 9800円 メーカー カプコン 内容
封印された力を覚醒させ、仲間とともに悪の野望を
打ち砕くコマンドRPG。
なかなか力の入った、ドラマティックなオープニングデモ。この作品は、設定
を使っての漫画化もされている。「絵になる」のであろう。さまざまな種族が出
てきて、それぞれに魅力と味がある。セリフ回しも楽しい。ゲーム中でセリフを
しゃべらないタイプの主人公は影が薄くなりがちだが、主人公に特徴を持たせ、
印象を強くする工夫がなされている。ひとりひとりに特技と役割があり、それを
うまくゲーム展開に結びつけてある。仲間の人数は多いが、戦闘に直接参加して
いなくてもちゃんと全員に経験値が入るので、成長がかたよることはない。
グラフィックは超美麗、というほどではないが、ていねいに描かれていていい
絵だ。独自の小さな工夫もいくつか投入され、既成パターンにとらわれない新鮮
な表現がところどころに見受けられる。
戦闘画面デザインは、斜め上から見下ろしたタイプ。ダメージメーターの体力
表示は、自分と敵の強さを視覚的につかむことができて良い。ステータスウィン
ドウの動きがトランプの手札を切るような感じで、センスがいい。キャラクター
動作も凝っていて魅力的だ。
ゲーム全体を、適度な「ちょうどよさ」が支配している。ムダが少なく、よく
練られている。マップ設計がシンプルでわかりやすく、非常に遊びやすい。パズ
ルっぽい部分は多少てこずるが、しっかり見極めながら進んでいけば突破できる。
戦闘バランスも一部ではすこしキツかったが、全体的には弱すぎず強すぎない、
ほどよい難易度だった(ボス戦は長期戦になる。ボスの体力がいったんゼロにな
っても根性出してネバってくれるので戦いがいがある)。お金やアイテム消費の
バランスも良かった。
ダンジョンを歩き、宝箱を開け、ボスを倒しながら進む典型的RPGであるが、
楽しめる。一部、「ちょ〜っとこれはむずかしいんでないかい?」という謎はあ
った。説明がないので、歩き回って何とかするしかない。次にどこへ行っていい
かわからなくなることがある。いきづまりやすいとは言えるだろう。
操作系が楽で、使いやすい。セーブポイントへテレポートするのは、適当な頃
合にセーブができて便利だ。コンフィグ機能でいろいろなキー割り当てもできる。
が、決定ボタンは一箇所にしか設定できない。決定でメッセージを送るようにな
っているので、できれば決定を複数ボタンに割り当てられるとよかった。あと、
決定と取消ボタンの設定をするとき、R,L,X,Yボタンを直接押すことで設
定できることが最初わからなかった。説明書にやりかたが書いてないので、ずっ
と気がつかない人もいるかもしれない。
合体という能力を持つと、仲間どうしで合体してスーパー強いキャラになれる。
おもしろいアイデアではあるが、パーティキャラどうしが合体するというのはど
うもすっきりしない。『女神転生』シリーズの悪魔合体なら、キャラクター(こ
の場合、モンスターといったほうが近い)どうしが溶け合ってしまうことにさほ
ど抵抗はないのだが、この作品のようにメインキャラクターどうしが合体すると、
各キャラクターの人格はどうなってしまうのだろう、と思うのである。合体解除
できるとはいえ、個人として親しみを感じていたキャラが、「合体の材料」に見
えてしまうのだ。
曲は雰囲気が出ていてとても良い。効果音を画面の動きと連動させていたりし
て工夫があるし、ボタンを押す感触もここちいい。やけにレベルアップがうれし
く感じられるなと思ったら、『ドラゴンクエスト』のレベルアップ音に似ている
ことに気がついた。なんだか納得である。
それにしても、この作品のタイトルが『ドラゴン○○』とかでなくてよかった
と思う。内容からすると、そういう題名がついてもおかしくない。しかしそれは
あまりにも安易だ。ドラゴンをウリにしなくても、じゅうぶんおもしろく仕上が
っている。けっしてエポックメイキングな内容ではないけれど、基礎がしっかり
つくられている。手がたく楽しめる作品だ。
'95 3/10 NIFTY-Serve FCGAMEM
ファミコン&スーパーファミコン会議室 #7488(改稿)
(登録日 '96/12/4)
ソフト発売 1993年4月 備考 なし