『アルバート オデッセイ2〜邪神の胎動』
<ALBERT ODYSSEY 2>

発売日 1994年12月22日
定価 9998円
メーカー サン電子
内容  フィールドを歩きながら戦闘する、シミュレーションRPG 
 の続編。ストーリーは前作の続きから。2からでも問題なく 
 プレイできる。


 システムが少し変わった。戦闘中の行動が各キャラ1ターンにつき一回に限定
され、一度動いて行動したら終わりとなる。ポイントがなくなるまでは何度でも
行動できた前作よりも、自由度が減った。また、目の前の敵をまだ倒していない、
あるいは味方の誰かひとりでも行動を終了している場合、町に入れない。ひとり
ひとりが勝手に行動できなくなったのだ。
 主人公が倒されると、メンバー全員が町へ強制送還される。前作では主人公が
倒れても蘇生呪文を唱えれば、その場で復活できた。が、今回は問答無用で町へ
とばされる。主人公を貴重な存在にする効果は上がっているが、彼は直接攻撃型
の戦士なので後陣に控えさせて大切に守っているわけにもいかず、結果、何度も
出直しをさせられるはめになる。

 再挑戦時の戦場はほぼ前回の状況の通りに保存されていて、与えたダメージが
そのまま残っている。一度めの戦闘では敵を全部倒しきれず、ひとつの場に数回
挑んで、少しずつ戦力を削っていく。何度も町へ戻る必要のある難易度だという
のに、今回は瞬間移動の手段が用意されていない。幸い(?)、主人公がすぐやら
れるせいで自動的に町へ戻ってしまうことも少なくないが、自力で戻って再出発
するとなると大変である。主人公さえ目的地へたどりつけば、(どんなに他のメ
ンバーが遠くにいても)全員到着したことになるとはいえ、行く手には敵もいる。
主人公ひとりだけで進むわけにはいかない。マップはたいして広くないものの、
目的地へ向かっていちいち全員を移動させていくのは少々面倒くさい。
 相変わらず一発でキャラクター位置へカーソルを移動できないが、全体に操作
性は良くなった。広範囲マップ表示のガクガクした感じが薄らいだ。町での移動
スピードも速くなった(これはかなり嬉しい。時々処理落ちするが、そこは目を
つぶるとしよう)。装備購入時にステータス変化がわかるようになり、数量指定
もできる(欲をいえば、売りと買いを同時にやれるとさらに便利だった)。前作
で感じた、操作のぎこちなさが改善され、遊びやすくなっている。

 敵の攻撃はわりとキツく、特技使用ポイントがなくなるとツラい。ありがたい
ことに、蘇生呪文やレベルアップにより、耐久力&精神力が完全回復するので、
その点を計算して戦う戦略性がうまれている。比較的気楽に動けた前作とは違っ
て、考えに考えて行動する必要があり、結構、頭を使うのである。
 そして、毎回ではないが、戦闘の際に反撃もアリになった。こちらから攻撃を
しかけたのに最初に向こうから反撃がきたりする。むろん、戦場では「自分から
攻撃しても、その前に相手に返り討ちにあう」ことも当然あるわけで、きっちり
先制権が固定しているのは不自然といえば不自然だ。そういう意味ではリアリテ
ィがあって「なるほど」と思うのだが、反撃のなかった前作から続けて遊ぶと、
すぐには気分的に納得がゆかない(笑)。それでも、このシステムのおかげで戦闘
の緊張感は確かに増している。

 グラフィックは、全体マップで味方と敵の位置が色表示されるようになった点
(注:洞窟内では見られない)などの長所もあるが、目立たせるべき部分が背景
に埋もれていたりして、ちょっと見づらいことがある。たとえば、室内のグラフ
ィックが画面上部に表示され、ちょうどその真ん中に場所説明ウィンドウが出る
ものだから、入った時点でその部屋の状況を確認しにくい。部屋に誰かがいるか
いないかで、上に動くか下に動くか(話しかけるか部屋を出るか)変わってくる
のに、何か入力しないとウィンドウが消えてくれないのは、うっとうしい。
 それと、町並みがごちゃごちゃと入り組んでいて出入口がわかりにくい。そう
いう雑多なお国柄だと考えれば、これは必ずしも欠点ではないのだが、横幅の広
いキャラクターが狭い通り道にいて通りにくかったり、最悪の場合、扉の前に居
座って邪魔をしてくれる。中に入りたくても入れないことがあるのは困る(しか
も、重要な場所の前だったりする)。

 今回もそれぞれの個性を持つキャラクターがいい味を出しており、ストーリー
展開も良かった。ただし、ゲームの難易度は高い。ひょっとして何か装備を買い
忘れたのか、それともどこかのダンジョンをまるごととばしてしまったのか、と
思うほど、繰り返し負ける。何かにつけてできるだけ楽をしたがるプレイヤーに
安易に妥協しない、手ごたえあるゲームバランスだといえる。前作よりも行動に
制約がついたぶん、より慎重な戦略が求められる。しかし慎重になっていてさえ、
敗北を避けられない。何度出直しになってもメゲない根性と、多少の不便さを我
慢できる忍耐力があれば、非常に攻略しがいがあって楽しめるソフトだ。


'97 1/6 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #31675
                   (登録日 '97/4/16)
ソフト発売1994年12月備考なし