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【スーパーファミコン】
『エルファリアII』
発売日 1995年6月9日
定価 9980円
メーカー ハドソン(→メーカーHP
内容  コマンドRPGシリーズ第2作め。


■なぜ、モンスターがお金を持っているのかという疑問

 お金の概念がない。
 これが、この作品が普通のRPGと違う点だ。もちろん、お金なくしては
生活が成り立たないのだから通貨は流通しているのかもしれないが、ゲーム
中にはシステムとして出てこない。装備やアイテムなどは戦闘に勝利して入
手するか、落ちているものを拾って利用する。店で売っている既製品を買う
のではなく、手持ちの材料を使い、自らの手で研究して最強の武器を編みだ
していくのだ。
 考えてみれば、「RPGには必ず、お金を使って買い物するシステムをつ
けなくてはいけない」という約束ごとがあるわけではない。戦っていくうち、
所持金は大量にたまっていく。購入する装備も、どんどん高価になっていく。
「これだけお金があれば一生遊んで暮らせるぞ。世界のために戦うなんて、
馬鹿らしくなっちゃうな。トンズラしちゃおうか」−−RPGの主人公は、
こう思ったことが一度もないと、断言できるだろうか。
 モンスターを倒すだけでこれだけ稼ぐことができるなら、戦闘で生計をた
てるモンスターハンターがもっと出てきてもおかしくない。ところが何故か、
主人公たち以外に、ゲーム中で戦っている人物をあまり見かけない。
 ゲームだからということでさほど気にしないでいたが、敵を倒すことでお
金を得る行為は本来、悪を倒す正義側である主人公たちには似つかわしくな
い。ファミコン初の本格コマンドRPGであるエニックスの『ドラゴンクエ
スト』以降、あまりにも当たり前になっているシステムなので、違和感を持
つ人の方が少ないだろうけれど−−。戦闘でアイテムを入手するんだったら
同じことじゃないかと思うが、お金と物は、やっぱり違う。この作品では、
「どう見てもお金なんて使いそうにないモンスターが、お金をたくさん持っ
ている」という不自然な設定を避けて、新しい手法に挑戦している点がまず
評価できる。お金という要素をシステムに組み入れなくても、工夫次第で戦
えるのだという心意気がナイスだ。
 戦闘は、戦闘画面になると勝手に戦い始める自動方式。MPを使用するタ
イミングを見計らい、できるかぎりMPを温存しつつ進む。敵は結構手ごわ
く、全滅するとセーブしたところからやり直しになる。慎重に進まなければ
ならない。攻撃は前衛、魔法は後衛と、役割がきっちり分かれている。うま
く装備してやらないと、何も行動しないキャラクターが出てしまうので、無
駄なく戦略を練るのがポイントだ。これが理解できるようになると楽しい。
属性フォーメーションは重要で、役割がはっきりしていてわかりやすい。火
・水・風・土の属性がゲーム中でしっかりと活かされている。
 キャラクターのレベルを上げるだけでなく、より強力な武器を作りだして
いかなくては勝ち進んでいけない。アイテムの力を武器に注入してパワーア
ップさせる「チャージ」システム、武器同士を合成して別の武器をうみだす
「メルド」システムがとても面白い(チャージやメルドをするために装備を
いちいち替えて、終わったらまた装備し直さなければならないのは少々面倒
なので、装備画面とチャージ&メルド画面をひとつにまとめてあると便利だ
った)。武器に力をそそぎこんで強化し、秘められた能力を解放していく。
RPGでは、ゲームクリアした時点で大量の未使用アイテムが残っていたり
するが、この作品では、アイテム欄に入るものはほとんどすべて材料にでき
るため、まったく無駄がない。
 手ごたえある戦闘バランスで、とても遊びごたえがある。次にどこに行け
ばいいかがマーク表示されるので無駄に迷うこともない。慣れないうちはと
っつきにくく感じるシステムだが、理解しやすいよう、操作方法をていねい
に教えてくれる。かっちり描きこまれたグラフィック、画面デザインのセン
スもいい(システム画面は少し見づらい気もするが)。曲が生命力に満ちて
いて使用方法もうまい。物語は前作『エルファリア』(スーパーファミコン)
からの続きとなっているので、前作をクリアしてからプレイした方が、より
感情移入しやすいだろう。
(「まぐまぐプレミアム」発行(2003.4.13)・
有料メールマガジン「巴かずみのゲームソフトレビュー(有料版) Vol.7」改稿)
(HP登録日 2003/8/6)
ソフト発売1995年6月備考なし

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