『ARETHA(アレサ)』

発売日 1993年11月26日
定価 9800円
メーカー やのまん
内容  ゲームボーイのコマンドRPGシリーズが三作で完結。スーパーファミコンでの続編。


 私はGB版が大好きなので、SFCで出ることになった時、とても嬉しかった
(ほんとーは..GBでずっと続いてくれた方がもっと嬉しかったんだけど)。
 しかし同時に不安にもなった。SFCには「遅い」「重い」というイメージが
私にはある。妙な「間」が画面切り替えの時に入って、イライラさせられる時が
あるのだ(「間」はCD−ROMゲームの読み込み時にもあるが、最近のCD作
品は待たせないものが増えているので快適である)。
 GB版はとてもテンポよく冒険を楽しむことが出来た。あのスピード感が損わ
れないか..ファンとしては少し心配であった。

 この作品は¥7000ちょっとの新品で買った。発売日にゲームを買うという
のはなかなかウキウキしてしまう。値段は確かに高いが、「自分は今からこれで
遊ぶんだ!楽しみ〜」とすごく嬉しくなってしまう☆(私は未プレイの作品を山
ほどかかえているけれど、中古購入が多い。「さて..次はどれをやろうかな」
と、迷うほどである☆でもたまには新作も発売日に買ってプレイせねばなー)

 説明書を読む。GB版のストーリーが語られており、なつかしい。今回はGB
版からかなり年月が経過していて、マテリアたちの冒険はすでに伝説になってい
る..けれど、魔法人形ドール(私は大ファンなのさ!)は出てくるので嬉しい。
(しかしドール君ってば、まるで「超人ロック」。今回、GB版ではあんなに有
効だったドールの魔法が、ほとんど役たたずになってるのが残念)

 GB版にはなかった試みがいろいろなされている。

ミクストフォーム]..”ソウル”を合成し、武器などをつくる。
 GB版ではファイヤーボールでモンスターを倒すと結晶にしてカプセルに封じ
込めることができ、いつでもそのモンスターを戦闘に参加させることができた(
ウルトラマンシリーズのカプセル怪獣みたいなもの☆ストックは一匹しかできな
い)。SFC版ではそれはなくなったけれど、モンスターを倒すと”ソウル(全
部で5種類ある)”が手に入る。それを組み合わせて武器や防具をつくり出すの
が”ミクストフォーム”である。他の作品でもこういう感じのシステムはあった
けれど(記憶に新しいのが、「オデッセリア」の”アームズ・メイキング・シス
テム”。う、私あの作品、行き詰まってるんだよなあ)、これは合成時の画面が
きれいで好き。組み合わせは何パターンあるのかわからないが、相当な数にのぼ
ることは確かだろう(「ソーサリアン」の星のかけあわせを思い出すね)。

モンスター図鑑]..今までに戦ったことのあるモンスターが収録される。
 ウルトラマンシリーズの怪獣カードコレクションのよーなもの☆(うむ、きっ
とスタッフの中に、ファンがおられるに違いない☆))。これがあるおかげで、
すべての敵と”一度は”戦ってみようという気が起こる。

360度スクロール戦闘システム]
 前後左右に敵が出現し、スクロールで画面を切り替えることにより、それぞれ
の方向の敵すべてと戦う。ゲームのはじめの方では前方にしか敵が出ないが(こ
れは賢明な判断だと思う)、だんだんとあっちこっちにワサワサ出現するように
なる。敵の数が多いと、ひと苦労である。

 電源ON。社名ロゴ表示(2つめのやつの時の音”いヨォ!”が耳に残る☆)。
タイトル画面..あ、GB版でもあったシャボン玉?だ。カラーは良いな。タイ
トルロゴが、みずみずしく光る。すっごく美しい。

 ゲームの方はストーリーがなめらかに進行していく。敵が強すぎて全滅したり、
力つきて道中で引き返したりすることもなく、非常にスムース。遊んでいて気が
ついたらもうすでに結構な時間がたっている、という感じ。画面切り替えがちょ
っと遅い気もしたけれど、SFCにしてはじゅうぶん速いスピードで、許容範囲
というところかな。
 GB版で最高の長所だった「流れるようなテンポ」を大切にしようというのは
このSFC版でも特に気をつかってあるようで、それは曲の流し方にもあらわれ
ている。店に入ったり戦闘になったり洞くつに入ったりすると曲は当然のように
切り替わるのだが、それら各曲が”つながって”いる。つまり突然、曲がストッ
プして次の曲になるのではなく、画面が切り替わってもしばらくは前の曲が流れ
つづけ、つなぎのフレーズが入って次の曲が流れる。まるでひとつの長い組曲を
聴いているかのようだ。しかもストーリーの要所要所では曲をいったんストップ
して演出効果を出している。うまい。ただ、曲自体は悪くはないものの、ノリの
良さはもうひとつのような気がした(ボス戦闘時のは結構好き。静かな曲に、い
いのがある)。

 私はGB版の宝箱の開け方が大好きだったのだが、SFC版は普通のRPGの
ようにボタンを押すと「○○○を手に入れた!」と出る。逆に戦闘場面では文字
による表示でなく、できるだけグラフィックでの表現がなされている。アイコン
使用。最初は少しとまどうが、慣れるとスピーディで良い。

 武器、防具やアイテム、魔法などの種類がものすごく多い。特に魔法は説明書
に載ってるのを数えると109種類あった(強さに応じA,B,Cというレベル
差があるがそれも含める)。GB版にはなかった魔法もたくさん追加されていて、
GB版の1〜3をクリアした私でも覚えきれない。ましてやアレサシリーズはこ
れがはじめて、という人にとってはドカ雪のように降ってくる新名称の連続に、
めんくらってしまうかもしれない。ザコ敵との戦いならば、ひとつ覚えの魔法で
しのげるが、手ごわい中ボスなどには本気を出して当たらねばならないから、そ
うなると説明書片手に魔法(アイテム)効果を調べながらプレイすることになる。
 限られたわずかな魔法をフル活用する方が、私は好き。使用する自分さえ効果
を覚えきれない魔法なぞ、本当に修得できているのか怪しいものである。魔法を
どんどん使用しないと新しい魔法を覚えられない、というのは良い。

 しかし戦闘以外の時にはそれらすべてに対する説明文が表示されるから親切。
説明書には載ってないようなものでもゲーム上で説明を読むことができる(「レ
イピア」という武器の説明で、「キザな人間が身につけてる」ってのが笑えた☆)。
 店で武器や防具を買う時には品物のデータが表示される。でもどうせなら装備
した時、現在よりどのくらいステータスアップ(ダウン)するかの表示をしてほ
しかった(装備する時には出るんだけど、買う時に出てくれた方が良い。GB版
では戦闘の際にいちいち武器名が表示されていたので今自分が何を装備している
のか覚えていられて、よかったのだが)。

 メッセージ表示は重要な単語などが色わけして表示されるので、わかりやすい。
行の最初に「。」などが来てる場合があるのは直した方がいいかな。カーソルは
「なげわ」というじゃがいものお菓子を連想させる、回転する金のリング。良い。
効果音もなかなか好き。キャラクター移動は十字キーを一方にずっと押していれ
ば勝手に障害物を避けていってくれるファジーシステム。やっぱりこれは楽。
 戦闘画面での魔法効果が結構楽しい。ちょっと時間がかかるので、多少うっと
ーしくもあるが☆(ディノス・ケーラの魔法陣が好き)。コンフィグモードで
「魔法効果のON,OFF」なんかが出来るとよかったかなあ...。

 GB版でおなじみのゾッピーと虹の国も出てきて嬉しい。ゾッピーって、”黄
色”だったんだなあ(攻撃時のグラフィック変化が笑える)☆虹の国のグラフィ
ックセンスはなかなか強烈。でもキレイ。あと、「火の国」の表現も良い。

 とても遊びやすいように工夫されていると思う。時間をかけて、粘土細工のよ
うに削ったり足したりして、ていねいに仕上げていったのだろうと思わせる。
 ただ、出てくるアイテム、魔法などの種類が多すぎる。戦闘するとアイテムが
よく手に入るのだが、持てる数には限りがあり、しかもいつ満たんになったのか
よくわからないため、気がつくと自動的に戦闘時入手アイテムが捨てられている。
ダンジョンで宝箱を開けても持ち物がいっぱいで取れなかったりして、やむなく
捨てることになる..。

 シナリオはいくつもの伏線がからみあって、徐々に謎の解明へと近づいていく。
少し御都合主義的な部分も見受けられるがキャラクターの会話、演出などが結構
ほほえましく、楽しめる。キャラクターが皆それぞれいい味を出している。

 戦闘ではかなりの確率で逃走が可能だが、一度つかまってしまうと逃げること
は難しい。また、一度”逃げられない敵”に出くわすと、そのエリアではほとん
どすべての戦闘から逃げることが出来なかったりする。こうなるとイヤでも戦わ
ねばならない。たとえ逃げられたとしても次の敵グループがすぐ現われるので、
そのたびにコマンド実行が必要となり、うざったい。途中で少々ダレる。

 アイテムが入手しやすい(しかも大量)というのは甘やかしすぎだ(GB版で
は、しょっぱなから商品価格の単位が何千・何万という”インフレ価格”だった
が、このSFC版では普通のRPGの相場価格になっている。あれ↑はなかなか
個性的で面白かったのだが、SFCユーザーが目をまるくするのを危惧して廃止
したのであろうか。武器ひとつ買うのでも決して無駄使いは許されない、お金は
大変貴重なもので、武器・アイテムもしかり。なにしろ足りない時は借金までし
なければならなかった、それがGB版である。それからすると、SFC版は親切
すぎる(笑)!あんなにウレシかった宝箱に入ってるお金が、このSFC版では
ちっとも嬉しくない。ハシタ金に見えてしまうのだ☆)。

 もしも2が出るのなら、アイテム&魔法をもっとシェイプアップし、ザコとの
戦闘をもう少し減らしてほしい。GB版のあのシンプルさがなつかしく思える。
(それと後半の、”異常にカタいボス”もなんとかしてほしいぞ☆)
 面白く遊べるけれど、強烈なインパクトには欠ける気がした。ゲーム世界にぐ
いぐいと引っ張っていく引力がすこし足りない感じだ。しかし全体的に見て、良
い出来ではある。

(SFC版のは音楽CDが確か出ると思ったけど、GB版の曲はやっぱりそれに
は収録されてないのかなあ..GB版のもほしい..)
'93 12/10 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #221
               (登録日 '98/2/25)
ソフト発売1993年11月備考なし

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