『エナジーブレイカー』<Energy Braker> |
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発売日 1996年7月26日 定価 7980円 メーカー タイトー 内容
クォータービューの視点で展開するシミュレーションRPG。
フィールドを歩き回れるS・RPG
『エナジーブレイカー』はタクティクス形式の戦闘を採用した、シミュレーシ
ョンRPGである。ある決まった場所に来るとターン制限つきの戦闘に突入し、
攻撃・移動等に必要な行動ポイントを消費しつつ戦う。参加ユニット数は少なめ
でマップも狭いが、「ライフポイント値の残量に比例して、行動ポイント値が変
わる」というルールのおかげで、戦闘に深みが生まれている。一度勝利した場所
の戦闘は次から必ず逃走可能になるので、ザコ戦の多さにうんざりさせられるこ
とがない。個性豊かなキャラクター動作も、見ていて楽しい。
ただ、画面データが簡略化されているうえに操作説明自体がわかりにくいため、
システムを理解するのに時間がかかる。また、8つの要素を増減させ、組み合わ
せによって技を覚えていく「エナジーバランス」システムは、自分で配分を調整
する必要性が薄く、有効に機能していない。会話での態度を変えられる「ライブ
リートーク」システムも相手の反応がほとんど一緒で、使い分ける意味があまり
ない。この辺りはもう少し、練り込みが必要だったと思われる。
それでも本作品には、システムの不足を補う強力な長所がある。キャラクター
と背景の描写、及びシナリオ運びが大変うまいのだ。センスのいい絵と曲が協力
しあって描きだす印象的な場面の数々。注意深く周囲を調べたり聞き込みしたり
する、手ごたえのある謎解き。状況演出力が優れており、臨場感がある。戦闘量
・移動距離・全体の難易度も適度にバランスがとれている。少々とっつきにくい
システムに慣れさえすれば、物語の魅力にぐいぐい引き込まれてゆく。
システムデザインなどに他メーカー作品からの影響が散見されるが、それを
「安易な真似」ではなく「アイデアの応用」と穏やかに表現したくなるのは、ひ
とつひとつの場面を大切に作りあげている開発側の、実直な姿勢が伝わってくる
からだろう。ていねいな仕事に好感がもてる、良質の作だ。
ゲーム批評 Vol.11('96 10月中旬 発売)掲載(改行位置変更)
(登録日 '96/10/30)
ソフト発売 1996年7月 備考 なし