『アースライト』
<EARTH LIGHT〜ANIME★TIC SPACE WAR GAME>
発売日 1992年7月24日
定価 8500円
メーカー ハドソン
内容  PCエンジンの名作『ネクタリス』のシステムにさらに 
 様々な仕掛けをこらし、スーパーファミコン風味に仕上 
 げた戦闘シミュレーション。

 ゲームを始めてまず思ったことは、コナミのシューティングゲーム『パロディ
ウスだ!』みたいだ、ということだった(『パロディウスだ!』は、同社の硬派
シューティング『グラディウス』を、おもしろおかしくパロった作品である)。
システムは『ネクタリス』とだいたい同じなのだが、続編と思ってプレイすると
ひっくり返る。雰囲気が全然ちがう。宇宙が舞台で、似たようなユニットが出て
くる、悪の組織と戦うといった点は共通しているものの、『ネクタリス』が非常
にシリアスだったのに対し、こちらはユーモラスな感じだ。ころころしていてか
わいいSDタイプユニットの色使いは、お菓子のおまけの塗装を思わせる。『ネ
クタリス』のあの雰囲気が好きな人には、ちょっとチャチく見えるかもしれない。

 カーソルを合わせただけでユニットや地形の詳しい説明がすぐに出るのが親切。
マップ表示前や曲がかわるときに少し画面が止まるが、敵の思考&行動速度は速
く、展開はスムースだ。ユニットの回避動作、攻撃後のポーズに味があり、見て
いて楽しい。マップ開始時の説明で、地図がうにょ〜んと出て矢印がのびていく
のもカッコいい(おおざっぱな図なのでいまいち地理感覚はつかみにくいけど)。
マップにはそれぞれ地名とタイトルがついている。このタイトルがメカものアニ
メ番組のサブタイトルみたいでおもしろい。ひとつのマップが終了すると、いろ
んなポイントが合計され、その時点の階級が表示される。経験値が入ると★マー
クがどんどん増え、やがて大きな星になり、最後にはA(エース)マークが輝く。
こうなると嬉しい。
 セーブは二箇所でき、途中経過もしっかり記憶してくれる。特に最後のほうに
なると扱うユニット数が増えて、ひとつのマップのプレイ時間はかなり長くなる
ので、これは助かる。『ネクタリス』のすばらしい音色やオリジナリティの高い
上質の効果音をこよなく愛する私には物足りないが、クラシックなどのアレンジ
をたくさん使った音楽も、良い出来である。

 気になった点としては、数値や文字が太めのぷっくりしたフォントなので少々
読みづらいことと、カーソルの動きが若干重いこと(『ネクタリス』のほうが快
適)。通常画面では、マップナンバーも表示してほしかった。一度移動してしま
うとキャンセルがきかないのもつらい。ユニットの特徴と射程距離を頭にたたき
こんでおかないと、ムダな墓穴掘りの行動になりかねない。移動してみてから、
「しまった、射程が合わない!」ということがよくあるし、ユニットの種類と数
がかなり多いので、ゲーム後半になってもまだ「……まちがえた!」なんてやっ
てたりする。しょっちゅう性能コマンドを参照していなければ、なかなか各ユニ
ットの特性を覚えきれない。コツをつかむまで、いろいろと失敗してしまう。

 敵の攻撃はわりと甘い。もはやヤケになってるとしか思えなかったり、指揮官
の顔が見てみたいぞと言いたくなる行動をとったりする。が、油断をするとやら
れる。いくら「敵はあと一機しかない、勝ったも同然!」と思っていても、次の
ターンでその最後の奴にまさかの一撃を受け、負けたりするのだ。必ずしも“敵
の全滅”が勝利条件ではなく、“頭”である重要拠点さえたたけば勝敗が決まる
ことが多々ある(しかしその“頭”に近づくのは容易ではなく、結局はあらかた
敵をやっつけてからでないと到達できないのだが)。
 『ネクタリス』では、補給地点を占領するには人型ユニットなどを入りこませ
るだけでよかったが、この作品では、その場所を攻撃して「HP」をゼロにする
ことによって自分のものとする。強力な攻撃だと一撃であっという間に手に入れ
られる。これは悲劇をうみだす。修理のためユニットを格納したとき敵に攻撃さ
れて奪われると、そのなかに入ってたもの全部、敵のユニットに早変わりしてし
まうのである! このショックは大きい。愛着のあった切り札ユニットを、自ら
の手で始末しなければならないつらさ。何やら、三国志の物語を思いださせる。
場合によってはこれで状況が一変してしまう。戦いの場では最後の瞬間まで、気
を抜いてはいけないのだ。

 面数が多く、遊びごたえは充分。変化に富んだユニット&地形が出てきてプレ
イヤーを飽きさせない。難易度は高くないので、じっくり時間さえかければクリ
アできる。シビアすぎて何度も敗北することもおそらくない。
 この『アースライト』がスーパーファミコンで発売されると知ったとき、私は
正直言ってガッカリした。別にスーパーファミコンが嫌いなわけではないが、続
編が出るならPCエンジンだと思っていたし、なんでもかんでもスーパーファミ
コンに行ってしまうのは何だか悲しい(注:当時、PCエンジンで生まれたシリ
ーズは次々とスーパーファミコンへ移行していた。そのほうが儲かるからだ)。
けれど今では、ヘタに雰囲気を似せようとしなかったことに感謝すらしている。
『ネクタリス』の質感イメージは「冷たくてかたい金属」。この作品は「プラス
チック」。それぞれの機種に合った雰囲気なのだろう。その後『ネクタリス』シ
リーズの続編『ネオ・ネクタリス』がPCエンジンで発売されたことだし、これ
はこれで、良い作品である。
'94 2/18 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #360(改稿)
              (登録日 '96/11/13)
ソフト発売1992年7月備考感想

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