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【プレイステーションポータブル(PSP)】
『ブレイドダンサー 千年の約束』
発売日 2006年3月2日
定価 5040円
メーカー SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント )(→メーカーホームページ
内容  伝説の「ブレイドダンサー」の謎を解く、コマンドRPG。

■月の力(ルナパワー)を使って、戦闘よ!

 このゲームは、「月(ルナ)」をゲームデザインに取りいれている。
 地球の衛星である月という星が地球の周りを回るようなデザインが、戦闘
で各キャラの行動順を決定するマーク(ルナクロック)に使われている。
 画面左上には「ルナパワーゲージ」というゲージがあり、戦闘では、そこ
にたまったポイントを消費して、技を出す。と、これだけなら平凡だが、こ
のゲージは味方専用でなく、敵も使うことができる。さっさとパワーを使っ
ておかなければ、敵に使われてしまい、敵に強力な攻撃をさせてしまううえ
に、味方は強力な攻撃をしそこない、二重に損をする状態になる。
 通常攻撃をしてダメージを与えるたびにパワーがたまっていくので、敵に
使われないうちに技を出さなければ! という緊張感が生まれる。パワーを
多くためるほど、敵も強力な技を使ってくる危険性が高まる「諸刃の剣」的
な力。それがルナパワー。
 威力の弱い通常攻撃でも、敵に当たればルナパワーゲージにパワーを送れ
るので、攻撃をする意味がある。敵の強さ・特性に応じて「パワーをためる
役」「パワーを使う役」に分かれて攻撃するパーティプレイが楽しい。

 リアルタイムに時間が流れる戦闘というのは、味方がコマンド入力しなく
ても、敵が動く。このゲームでは、順番が回ってきた味方キャラクターを待
機させておいて、後から行動順が回ってきた別の味方の行動を優先させられ
る。スピード順で行動していくのではなく、行動順が来た複数の味方の間で
優先順位を決めて行動できるのは、より自然な戦闘方法だ。どちらが先に行
動するかで効果が違ってくる場合がある。あるキャラクターはまったく行動
せず、別のキャラクターばかりが戦う、といった“かたよった”戦闘もでき
る。
 これが「ひとりの味方が行動を決定するまで、他の味方はコマンド入力で
きない(その間、敵は攻撃してくる)」というシステムだと、リアルタイム
ではあるが、動きの自由度(戦闘の戦略性)は下がる。
 ルナパワーゲージは毎回の戦闘ごとにゼロにリセットされるが、RPGで
よくある、「MPがなくなったら、回復するために街に戻る」という面倒が
なく、どんどん、技を使っていける(武器ある限り)。敵と味方が共有パワ
ーゲージなのは、リアルタイム戦闘のスリルが増している。

 このゲームのもうひとつの主要システムは、複数の素材を合成して装備な
どを作りだす「クラフティング」。アイテムを分析して複数のパーツに分解
し、「レシピ(材料メモ)」を作る。店で買うと高価なアイテムを、材料を
そろえて自分で「クラフティング」作成すれば、安あがりになる。武器は耐
久力がなくなると壊れてしまうので、ひとりにつき複数の武器を用意してお
かなくてはならない(武器は、戦闘で最も酷使する装備品。一定間隔で新し
いものに交換した方がいいに違いない)。
 失敗する場合があるとはいえ、特にアイテム作成の訓練もしていない一般
人が、簡単にお店と同等品質のアイテムを作れてしまうと、本業の店は「商
売あがったり」である。最初のひとつだけ店で購入してレシピ分析し、後は
素材屋で安く素材を買えば、いくつでも作成できてしまう。確かに自分で作
るのは新鮮で、戦闘後に敵が落としたアイテムも有効利用でき、得した気分
にはなる。
 しかし、後半になると、RPGでよく見られる「金余り現象」が起こり、
手持ち金にかなりの余裕が出るため、手間をかけて「クラフティング」しな
くても店で装備を購入した方が楽なので(より強い装備を求めるなら別だが)、
お金の入手量のバランスはもう少し引き締めるとよかった。

 マップはそれほど広くはないが、「クエスト」の課題によって同じ場所を
何度も往復させ、同じ人物に何度も話しかけさせるようになっており、全体
のボリュームは結構ある。「クエスト」を達成すると、ルナパワーゲージ最
大値が増えるため、できるだけ多くの「クエスト」を受けられるように、ど
の人物にも何度も話しかける必要性が出る。こうした各要素の連動の仕方は、
うまい。
 「クラフティング」や「クエスト」、キャラクターレベルによる装備のレ
ベル制限、戦闘時のメッセージなどがスクウェア・エニックスのオンライン
RPG『ファイナルファンタジーXI(11)』に似ているのが気になったが、
適度な手ごたえで遊べるRPGだ。

(HP登録日 2006/6/25)
ソフト発売2006年3月備考なし

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