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【プレイステーション2】
『ペルソナ3 FES』
発売日 2007年4月19日
メーカー アトラス (メーカーホームページ
内容  ペルソナを召喚して敵と戦うシリーズの3。コマンドRPG。
 『ペルソナ3』本編に「アイギス編」を追加したのが『ペルソナ3 FES
 (フェス)』(どちらからでもプレイできるが、アイギス編を後にする方がよい)。

■現実に似た世界で展開するユニークRPG

RPGはファンタジーものが多いが、『ペルソナ』シリーズは現実の日本に
近い世界に非現実要素をミックスした、珍しいRPGだ。
RPGは広い世界を旅して回るものだが、『ペルソナ3』の活動エリアは狭
い。近くの街や学校など、普通の人の生活圏内(旅行には行く)。
現実世界みたいな場所だと平凡な内容になるかと思いきや、現実世界にある
ものを使っているにもかかわらず(現実世界にないものもあるが)新鮮で、
個性的なのがこのシリーズ。言葉使いやファッションなどが現代風で親近感
がある。

同じアトラスの『女神転生』シリーズの悪魔合体システムを使い、ペルソナ
と呼ばれる存在を召喚して戦う。『メガテン』シリーズは敵を味方にするシ
ステムで、仲魔と同じ悪魔を倒すのは気がひけていたが(友達の友達は皆、
友達だ)、『ペルソナ』の敵は味方のペルソナとは違うものが出現する。
『メガテン』シリーズの戦闘は3D視点。『ペルソナ』シリーズは主人公た
ちの全身が見えるデザインで音声セリフ入り、戦闘の動きが活き活きしてい
るのが長所だ。

『ペルソナ3』では「現実の日々が日付入りで流れる」。このソフト発売の
少し未来である2009年4月から、高校2年生として過ごす主人公。
授業や試験・部活など、学生時代を思いだし、共感しやすい。実際の年月日
が表示され、1日ずつ経過していく(放課後(昼)・夜・深夜の時間帯がある)。
学校&寮生活のアドベンチャー・パートと、ダンジョン探索のRPGパート
(影時間)を交互に繰り返す。シミュレーションゲームのように、主人公の
「学力・魅力・勇気」ステータスも上げていく。
依頼(クエスト)には締切もあり、曜日限定イベントもある。期限に向けて
準備したり、調子を整えたり。期限や予定があると、優先順位と効率を考え
て行動する必要性が出てくる。

タロットカードの大アルカナ22枚をイメージしたペルソナ分類は整然とし
ていてわかりやすく、「コミュ」(コミュニティの略)に対応したペルソナ
を所持して人と付き合うと、そのコミュのランクが上がり、その分類のペル
ソナ合体力がアップする。このシステムにより、特定のペルソナだけで進む
のではなく、均等に使ってみる機会が生まれている。

■狭すぎる自動生成ダンジョン

『ペルソナ3』では毎回、フロア構造が変化する自動生成ダンジョンになっ
た。決まったデザインのマップでなく、部屋の位置や道などが、入るたびに
変化する。階段を上へ上っていくのが基本の戦闘フィールド(塔)。
装置で特定階に戻ることもできるが、1階ずつ降りる階段はない。
かなり広いダンジョンを攻略していくゲームは途中セーブ(脱出)できない
場合があって長時間プレイとなるため、忙しい社会人は挫折しがちかもしれ
ないことを考慮したのか、えらく簡単なダンジョンになっている(入口に戻
れる装置もあちこちにある)。
日本にある高層ビルよりも狭くて迷いようがなく、謎解きもない。途中で強
めの敵が道をふさいでいるだけで、それ以外は楽に進めるし、戻れる。

強くて逃げるしかない敵「死神」が出現しても、狭すぎるため、すぐ逃走で
きることが多い(上の階までは追いかけてこない)から、死神の恐怖を味わ
う時間が短い。上の階に上ったら、すぐ近くに次の階への階段が見えている
こともあるほど簡単な作りのマップ。
宝箱の位置と内容も毎回変化するので、階段さえ見つければ、次の階へ移動。
(全箇所を回る必要がないため、なおさら1階あたりの移動距離が短い)
毎回変化して単調にならなくなるはずの自動生成が、狭すぎるため単調にな
ってしまっている。似た模様の壁&床が続き、敵以外に特にイベントもない。
宝箱以外に仕掛けもない。

一定の階まで到達すると、特定の日にちが来るまで上へ進めなくなる。序盤
は苦戦するが、しっかり鍛えておけば、出された依頼もすぐクリアできてし
まうし、限界階まで簡単に到達してしまう。そうなると、次の階が開放され
るまで、通常戦闘と宝箱を開けて回り、限界階まで達したら、また下に降り
て(ペルソナ合体させたりして)、の繰り返し。

ペルソナを育てて、どんなスキルを持ってるか全部確認したり、蘇生魔法や
回復魔法を確保したり、属性攻撃を全種そろえたり、全書のモンスター説明
を読んだり、「ミックスレイド」(ペルソナ2体の協力技)や、強力なスキ
ルを見つけるためにいろんなペルソナを合体で生みだして使ってみたりと、
こなすべき課題はあるが、クリアしたい課題がなくなった状態で戦闘だけを
長く続けるのは少々シンドイかもしれない。
(かと言って戦闘をあまりせずにイベント付きボス戦の日にちまで過ごして
しまうと、勝てる強さになってないので短期間で鍛えなくてはならなくなる)
戦闘以外のパートでは会話が細かく変化し、イベントもあるのだが。

ゲームのキャラクターはいくら戦闘しても疲れない……のではなく、疲れて
調子が落ちる「疲労」システムはリアル。勉強をがんばりすぎても疲れる。
疲れるのが人間。疲労状態だと敵からのダメージが大きくなり、攻撃もミス
が増え、魔法の威力も落ちる。悪化すると風邪をひき、さらに調子悪い状態
に。疲労になると、エントランス(入口)に戻った時に仲間が離脱してしま
い、戦力ダウン。一人でも戦えるが効率が悪く、負けやすい。
疲労があるので、えんえんと戦わず、引き上げるタイミングの目安となる。

敵との遭遇はアクションになっており、見えている敵に先に攻撃を当てれば
先制。タイミングが合わず、敵に先制される場合も多い。先制されるのとす
るのとでは、かなり戦況が違ってくるので移動時に緊張感がある。
レベルが上がると(レベル高いペルソナを装着してると)敵が恐れて避けて
くれるが、低いペルソナを装着していると攻撃してくる(主人公のレベルで
敵の態度が決まらない)。
「敵が弱くなっても自動で遭遇して、いちいち戦闘しなければならないラン
ダム・エンカウント」ではなく、「弱い敵との戦闘は避けて通れるが、戦闘
したい場合は攻撃をしかけて戦闘することもできる」のは、ストレスがない
遭遇法だ。

「主人公が倒されると他のメンバーが瀕死でなくてもゲームオーバー」とい
うシステムなのに、即死の全体攻撃魔法を敵が使ってくる。クリティカル攻
撃で主人公が倒されて、セーブポイントからやり直しになることも結構ある。
仲間は自動戦闘(簡単な行動方針指定ができる)で、主人公の戦闘も自動に
できるが、自動にしていると主人公が倒されてしまうことがあって油断でき
ない。
「弱点」属性で攻撃すれば、低レベルのペルソナでも敵を一時的に倒すこと
ができ、有利になる(敵も同じなので不利にもなる)。疲労で調子が変わっ
たり、スリップして転んで立ちあがるのに時間かかったり、弱点攻撃で連続
攻撃したり(されたり)、総攻撃で大ダメージを与えたりと、変化に富んだ
良い戦闘だが、全キャラが疲労するまで戦闘するにはマップがあっさりしす
ぎている。面白いことは面白いのだが(イベント付きボス戦はかなり楽しい)。

音声入りの曲がとても良く、キャラクターたちもそれぞれ個性的で楽しめる。
1回めのプレイでは全部のペルソナを作りだせない(コツがつかめてないの
で最大ランクまで上げられないコミュがある)ため、2回めをプレイしない
と全部見られない人が多そう(そのためか、難易度が3段階用意されている)。

■おまけのアイギス編

『FES』では『ペルソナ3』本編の後日エピソードとして「アイギス編」
が追加されている。残念なことにペルソナ全書・ミックスレイド・依頼など、
多くの要素がカットされている。
コミュによる合体制限(そのコミュのランクを上げないと合体できないペル
ソナがある)や時間制限なく、全てのペルソナを楽に合体可能だが、全書が
使えなくてペルソナの説明を読めないし、戦闘メインで、やや物足りない
(本編クリア後で新鮮味が薄れているせいもある)。
自動生成ダンジョンが本編より広めになっているのはいいけれど。

(HP登録日 2016/2/9)
ソフト発売2007年4月備考感想

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