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【プレイステーション】
『ドラゴンクエスト7〜エデンの戦士たち』
<DRAGON QUEST VII>
発売日 2000年8月26日
定価 7800円
メーカー エニックス(現・スクウェア・エニックス(→メーカーHP ))
内容  有名コマンドRPG『ドラゴンクエスト』シリーズ第七弾。

安定した魅力を保ち続ける、RPG界のスーパースター

 この第7作めは、プレイステーションでの『ドラゴンクエスト』シリーズ
第1作めであるとともに、2004年前半時点での最新作でもある。現在の
主流であるプレイステーション2では、続編がまだ発売されていない。
 前作の6が発売されたのは1995年。4年以上も経過しての続編。この
ペースは、やはり(国内で上位を争う大作シリーズにしては)遅いと言わざ
るをえない。スクウェア(現在はスクウェア・エニックス。この両社が合併
することになろうとは、当時は誰も想像できなかっただろう)の『ファイナ
ルファンタジー』シリーズのように、急いで次々に発売しろとは言わないが、
もう少しスピードを上げてほしいと思っているファンも、少なくないのでは
ないだろうか。
 練り込まれていない内容のものをあわてて出されるよりは、じっくり作り
込んでもらう方がいいのは確かだが、ジャンルを代表するシリーズにはパワ
フルな“勢い”がほしいところである。

 機種がスーパーファミコンのROMカセットから、プレイステーションの
CD−ROMになり、今回はムービーが流れるシーンもある(ドラクエの場
合、こうした動画が入ると、どこか違和感が。「ムービーくらい入ってない
と時代遅れと言われそうだから入れてみた」という、取ってつけたような感
じがする)。戦闘は今まで通り2Dだが、マップは3D回転できるようにな
った。3Dマップになったことで、謎ときの難易度が上がっている。隠れた
扉や階段を見落とすことがあるからだ。
 石版のかけらを集めて台座にはめこんでいくと、新たな土地へ行けるよう
になる「マップコレクションシステム」。今回の特徴はコレ。ジグソーパズ
ルを完成させていくような楽しさがあって、なかなか面白い。この石版探し
が結構、手こずる。
 いつものドラクエだと、「ひとつの場所のイベントが終わったら次の場所
へ」というように進んでいくが、今回はボスを倒しても、石版を見つけない
と次の場所へ進めない。石版が、次のマップへの扉を開く通行証なのである。
石版の台座は4色あり、それぞれの色にいくつかの台座が置かれている。石
版のかけらをすべて集めて完成させた台座から通行可能になる。
 一方通行のイベントなら、直前の場所に戻ればヒントがあるが、あちこち
にバラバラに石版が散らばっていると、どこで手がかりを見落としたのかが
わかりづらい。いきづまってしまったら、今まで行ったことのある場所すべ
てをもう一度、ていねいに調べて回らなくてはならない。かたっぱしから人
の話を聞き、かたっぱしからタルやツボを割り、かたっぱしから人の家のタ
ンスや引き出しを開けまくる(と、言うと聞こえが悪いが(笑))。
 ボス戦などのイベントが終了したら、その後の町の人の反応など気にせず、
すぐに次の町へ直行、というプレイをしていると、ドラクエの魅力のひとつ
である会話メッセージを読みとばしてしまう。こういうことがないよう、石
版探しのためにあらゆる人の話を聞くように仕向けるのは、うまい方法であ
る(プレイヤーにとってはちょっと面倒だが)。
 宝箱などを開ける時も、「石版が出ますように!」と祈りつつ開ける。
石版じゃなかった時は、「違うぅ〜っ!」、
石版だった時は、「ぃよっしゃあ!!」。
 あちこち探し回って石版をようやく見つけ、先へ進めるようになった時の
嬉しさは、イベント順番クリア方式よりも強い気がする。

 ファミコン時代に、コマンドRPGという新しい面白さを開拓してくれた
ドラクエも、今となっては標準的なRPGのひとつだ。王道をいくファンタ
ジー路線で、他の“バリバリに派手なグラフィックのRPG”と比べると、
地味な感じがする。が、つまらないわけではない。ちゃんと楽しくプレイで
きる。
 戦闘のバランスがちょうどよく、適度な手ごたえの難易度なのはドラクエ
の長所だ。転職システムにメダル探し、景品つきカジノなどの要素も面白い。
ユニークな戦闘メッセージや複雑すぎないシンプルなシステムは、多くの人
に受け入れられやすい性質を持つ。子供も大人もプレイしやすい。子供の視
点で展開する物語は特に、低年齢層プレイヤーが感情移入しやすいだろう。
「はなす(話す)」コマンドが仲間との連帯感を高め、戦いの臨場感を盛り
あげる効果を出しているのも良い。

 欲を言えば、今回は後半のボリュームが足りない気がした。転職システム
やモンスター図鑑の完成など、もう少しやり込みたかったが、ストーリーの
方が早く(何となく消化不良のまま)終わってしまった。
 『ドラゴンクエスト6』のレビューでも同様のことを指摘したが、他メー
カーのゲームと同じアイデアを使ってある箇所が見受けられたのも気になっ
た。「あのゲームの、あの部分に似ている」と思わせてしまうところがいく
つかある(まったく同じマネではないが、連想できてしまう)。
 国産オリジナルRPGの先陣を切ったドラクエが他作品のマネをするなん
て、何だか悲しい。やはり意地でも、ひとつひとつのアイデアにオリジナリ
ティをこめてほしい。
 昔、ドラクエはRPGのお手本だった。他のメーカーがドラクエの類似品
を出していた。その立場が逆転している……と思われないように、たとえ斬
新なアイデアを盛り込めなくても、他作品のマネだけは避けてほしい。ドラ
クエはドラクエだけの個性を、ちゃんと持っているのだから。
(「まぐまぐプレミアム」発行(2004.5.13)・
有料メールマガジン「巴かずみのゲームソフトレビュー(有料版) Vol.20」改稿)
(HP登録日 2004/8/13)

ソフト発売2000年8月備考なし

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