『ドラゴンナイトII』<DRAGON KNIGHT II>

発売日 1992年8月7日
定価 7400円
メディア スーパーCD−ROM
メーカー NECアベニュー
内容  モンスターにされてしまった女の子たちを救う、3Dコマンド 
 RPG風アドベンチャー。パソコンからの移植。


 パソコンの18禁ゲームがPCエンジンに移植されるとき、表現は大幅に自粛さ
れる。この作品も元はバリバリの18禁のようだが、移植にあたって“ちょっぴり
H”な程度に抑制されている。負けた女の子は捨てゼリフを吐く。あらわになる
肌、みだらなポーズ。おそらくパソコン版とは比べものにならないほど過激さは
削られている。あとは、プレイヤーの妄想力で補うわけだ。

 3Dスクロールは非常になめらか。オートマッピングの地図が同時表示される
ので迷うことがない。いきづまりそうな箇所もあるが、あちこち回ってアイテム
をそろえれば必ず突破できる。すこしずつ謎が解けていくのはワクワクする。
 単に敵を倒すだけのRPGとひと味ちがうのは、すべてのモンスターを、元の
人間の姿に戻す必要があるというところだ。これにより、各モンスターに存在感
が出る。女の子を救っていくと、当然の結果としてモンスターの出現しない地域
がだんだん増えてきて、弱いザコ敵に遭遇しなくなる。うまくできたシステムで
ある。

 RPG部の難易度は低い。ちょっと序盤がキツいだけで、以後は余裕で進める。
最高レベルに達するのが早いため、後半では入手する経験値&お金は全部ムダに
なってしまう。これで、オープニングの状況説明がやたら長いわけもわかった。
RPG要素もあるが、基本的にはアドベンチャーゲームなのだ。
 レベルが最高になると戦闘に張り合いがなくなる。謎でいきづまったら、ひた
すらウロウロするだけだ。途中から使用可能になる攻撃魔法も、使う機会がない。
わざわざ使わなくても、楽勝で勝てる。ビジュアルシーンを見せることに重点が
置かれているのだろう。RPGの味つけをしたアドベンチャーとしてじゅうぶん
に楽しめたが、RPGとして見ると少々、物足りなさは残る。

 たとえば宿屋に泊まると、助けた女の子たちが訪ねてきてくれる。これはこの
ゲームのお楽しみのひとつだ。が、主人公のパーティがほとんど圧倒的に強いの
で、宿屋に何度も泊まる必要がない。体力回復ではなく、女の子の絵を見るため
だけに連続して何泊もすることになる。女の子の救助はけっこう一度にたくさん
できてしまうので、もっと均等にバラして戦闘の難易度をあともうすこし上げれ
ば、RPGとアドベンチャーのバランスも、さらにとれたのではないだろうか。
もっとも、RPG要素の割合を減らすことによって物語の展開のみにプレイヤー
の関心を集中させるという点では、効果的なバランスだといえるのかもしれない。

 声のセリフと文字で表示されるメッセージとが、くいちがっている場合が多い。
これは、声優のアドリブのせいだけではあるまい。メッセージに誤字脱字、禁則
処理していない部分も目立ち、見苦しかった。
 グラフィックはていねいに描かれている。かわいい女の子がたくさん登場する。
人物はそれぞれが魅力的で、いい味を出している。声入りの部分がかなり多いの
が楽しい。ボタンを押せばセリフを途中キャンセルできるのはいいのだけれど、
声のオン・オフをタイトル画面でしか変更できないのは不便だ。
 戦闘の攻撃音は、格闘アクションゲームみたいで迫力がある。曲も多くの種類
が用意されていて、とてもノリがよい。

 シナリオ構築や各要素の活かしかたが、じつに見事。しっかりと伏線をはって
組みあげてある。無理なく自然に、キャラクターが描きだされている。話が進行
するにつれてメッセージがさまざまに変化するなど、マンネリにならない工夫も
多くされていて飽きない。
 「移植によって18禁の最大の魅力(笑)が封じられるなら、かわいい女の子が
たくさん出てくるだけの、魅力の薄いゲームになりさがるだろう」……こう決め
つけるのは偏見である。この作品のウリは、色っぽい絵だけじゃない。ゲームと
して物語として楽しめる内容を、ちゃんと兼ね備えているのだ。


'95 8/25 NIFTY-Serve FCGAMEM
     NECゲームマシン PCシリーズ会議室 #2858(改稿)
                    (登録日 '97/2/19)
ソフト発売1992年8月備考なし