『真・女神転生』
発売日 1993年12月25日
定価 8800円
メディア スーパーCD−ROM
メーカー アトラス
内容  日本の東京の仮想近未来を舞台に展開するコマンドRPG。

 夢と現実の世界が入り混ざったような、ふしぎな妖気を発するメガテン世界。
そんじょそこらのファンタジーRPGとは異なる、独特のオーラが感じとれる。
プレイすればするほど、どんどんゲーム世界にハマりこんでいく。長時間使用で
中毒性が増すクスリのようだ。コンピュータによる悪魔召喚や合体がおもしろい。
魔物との会話も、相手によってさまざまな反応が用意されていて、駆け引きのス
リルが味わえる。思わず笑ってしまうような態度のヤツもいて、何だか悪魔でも
憎めない。

 私はファミコン版1と2をまだクリアしていない。挫折したのだ。両作品とも
魅力があっておもしろかったのだが、長いこと3Dダンジョンに潜っていると、
知らない間にストレスがたまってくる。えんえんと続くダンジョン、無限にわい
て出てくる悪魔たち。疲れる。この作品も、ゲームの最初のほうは比較的マップ
が狭いが、後半ではやはり広い。オートマッピングのありがたみを、つくづく感
じる。

 ストーリー展開の先が読めない。何が起こるか、一体これからどうなるのか、
想像がつきにくい。質問の答えをどう選択するかで、運命が決まってゆく。他の
選択肢を選ぶとどうなるか見てみたい気はするが、セーブ箇所はひとつだし、や
り直しは大変なので、自分の信じた道を進むしかない。謎は一部、やっかいだ。
いきづまってしまったことが何度かあった。
 たまにCD−ROMならではの絵も挿入されているが、ゲーム中グラフィック
はどちらかというと地味。絵のタイプはアニメ絵ではなく、あくまでも写実的だ。
独特な表現も見受けられ、ユニークなセンスが感じられる。マニュアルイラスト
は凄く上手い。

 画面切り替えなどのスピードは、遅すぎるわけではないのだが、速くもない。
2D画面での切り替えが遅いと思った。私のマシンが古いせいもあるのか、とき
どき読みこみに行ったまま画面が静止してしまい、しばらく待たされてテンポが
狂うこともある。
 3D画面で向きをかえたとき、ちょっとギクシャクする。後ろを向くときも、
瞬時に向くのではなく、まず横を向いてからぐるっと回るので、慣れるまで見づ
らかった。道中に人がいて、そこを通るたびに何度も同じメッセージが出ること
があるのはうっとうしい(かと言って、一度きりしか表示されないのも困るが)。

 マルチタップをつなげているとセーブできない。最初、この事実を知らなかっ
たために、ある程度まで進めていたゲーム展開が何度もパアになってしまった。
セーブをなかなかしないタイプの作品なので、そのぶんショックもおおきい。ど
うしてセーブできないのか、ひょっとして不良品に当たってしまったのか、と思
いつつメーカーに電話してみると、ていねいに理由を即答してくださった。どう
やら、私以外にもこれでハマッた人がいたらしい。
 本体のバックアップメモリだけだと、フルに使いきってもセーブは一箇所にし
かできない。それで「メモリベース128」というメモリ増設のための周辺機器
に対応しているのだが、マルチタップをつないでいると、マルチタップをメモリ
ベースと誤認識してしまうのだそうだ。説明書に注意書きがないところを見ると、
“マルチタップをつなげている場合”のチェックをしていなかったようである。

 悲しいことにバグがある。SFC版にはハマりのバグがあるらしいので、よも
や後発のPCE版では大丈夫だろうと思っていたら甘かった。オートマッピング
表示がときどきおかしくなる。戦闘時のグラフィックがバケる。これくらいなら
まだ我慢できる。が、長いことセーブしていない状態でダンジョンに潜っている
とき、突然画面が停止してしまうのには「うっぎゃ〜!」と叫ぶしかない。何度
もこうなったため、そのつどリセットするはめになった。多くの時間と労力がム
ダになり、プレイする気力が失われる。もちろん、こまめなセーブは必要だが、
すぐにセーブポイントまで戻れないことだってあるのだ。
 いくら内容がおもしろくても、タチの悪いバグソフトでは心から楽しめない。
いつ画面が停止するかもしれないと思うと、はやくケリをつけようという緊張感
がうまれる。ゲーム中、緊張感があるのは気分がダレなくて良いのだが、バグを
恐れる緊張感だけは、ご遠慮申し上げたいものである。エンディングが流れてい
る最中、「いいかー、ここでバグるなよー、バグったら許さんからなぁ〜」と念
じるのに忙しくてクリアの達成感が薄まってしまう、というのは何とも悲しいで
はないか。

 戦闘コマンドを入力すると、「STATUS」欄に行動内容が表示されるが、
行動しないうちに戦闘が終了すると、次にコマンドを選ぶまでその表示が消えな
い。何だか落ち着かないので、消えるようにしてほしかった。月齢表示は文字だ
けでなく絵でも表わしてあると、パッと見てわかりやすかった。
 宝石3種類で精霊と交換してもらえるシステムがあるが、組み合わせをメモっ
ておくのはめんどくさい。宝石を指定するより、ほしい精霊を指定する方法のほ
うが便利だ。

 パソコン通信でデータをダウンロードする場面が出てくるので、やけにリアリ
ティがある。都心近くに住んでいる人ならマップに土地勘があってわかりやすい
のだろうが、地方の人間にとっては、ちょっと不親切だと思われる行き先指示も
あった。説明書に全体マップが載っていないので、全体を把握しづらい。
 曲は気にいったものもいくつかあったし、良い出来ではあるが、総合的に見る
と、私はファミコン版のほうが好きだ。効果音の響きはとても良いので、ボタン
を押したときの感触がここちいい。コンピュータを操作する感覚も、音でうまく
表現されている。

 戦闘部分には確かに他のRPGには見られない、このシリーズ独自の魅力が輝
いている。これはかなりの強みだろう。が、悪魔との遭遇が多すぎて、3Dダン
ジョンを歩く楽しみが邪魔される。いくら戦闘や会話が楽しいと言っても、オー
トバトルがあるから楽だとは言っても、足どめがひんぱんすぎる気がする。もう
すこし加減してほしいと思った。一度出会うと、そのつど3セットほどの敵が出
てくるので、対応するのに忙しい。

 シナリオのまとまりが良くない気がする。掘り下げがいまいち足りない。後で
考えると、「そう言えば、あれはどうなったんだろう?」「どういうことだった
んだろう?」と疑問が出てくる。が、考えてもよくわからないので「ま、いっか」
で済ませてしまう。主人公として、ある目的に向かって進んでいるという気分が、
あまりわいてこなかった。行ける範囲の場所を全部うろついて戦っていたら、い
つのまにか話が進んでいるという感じなのだ。もう一歩、練りこんでほしかった。
そうすれば、熱中度はさらに上がったと思う。
'95 4/1 NIFTY-Serve FCGAMEM
     NECゲームマシン会議室 #2141(改稿)
                   (登録日 '96/11/27)
ソフト発売1993年12月備考なし