『麻雀覇王伝カイザーズクエスト』
<Kaiser's Quest>

発売日 1992年2月28日
定価 7200円
メディア Huカード
メーカー ユーピーエル
内容  2人打ち麻雀。たまに女の子の色っぽいグラフィックが出る。


 2つのモードがある。「国盗りモード」は、世界地図を模したマップのなかの
国々と麻雀で戦い、すべての国を手にいれるのが目的だ。「ノーマルモード」は
普通の麻雀で、勝つと女の子のグラフィックを拝める。どちらのモードも麻雀部
分はよく出来ており、長く楽しめる。ポイントをためての積み込み技やアイテム
などは出てこず、あくまでも純粋な麻雀で勝負する。

 「国盗りモード」では、前半は何とか互角の戦いができるが、後半がキツすぎ
る。コンピュータ側に有利なように配牌されているのがはっきりとわかる。持ち
点がすくないザコ敵でも、役満をばんばん上がってくるので油断できない。ほと
んど毎回のように国士無双をテンパってくる奴、ダブルリーチばかりしてくる奴
など、まったくとんでもない。
 そして、なかなか勝てずに困っているところへ追いうちをかけるのが、「魔物
の軍勢の出現」というイベントだ。これがタチが悪い。自分の支配下の国に魔物
があらわれると応戦する。このときの持ち点は1000点しかない。負けると、その
国を持っていかれてしまう。苦労して手にいれた国を、いとも簡単に失ってしま
うのだ。魔物の国になった城には魔王が待ち構えていて、こいつがかなりの強敵
なので、奪還は困難をきわめる。

 プレイヤーの持ち点は、支配している国々の収穫から成り立っている。国を多
く手中にするほど毎月の収入は増えるのだが、最後のほうになると敵が強いので
なかなか新しい国を手にいれることができず、収入が頭打ちになる。月代わりに
起こるイベントは「豊作(点棒2倍)」「飢饉(点棒半分)」「魔物の軍勢の出
現」の3通りしかない。ゲーム後半では、豊作によって最初の持ち点が倍になっ
ていても戦いは苦しい。飢饉の場合はもうあきらめて、次月に賭けたほうがいい。
持ち点が半分では、とても勝負にならないからだ。時間がたつとどんどん魔物が
攻めてきて次々に国がのっとられ、状況はますます悪化する。自力で何とかでき
るような救済措置がほとんどないので、敵のインチキ役満にもなすすべがない。

 点棒を 27000点まで回復する「回復の泉」というのがあちこちにあるが、あま
りありがたくない。たいていは27000点以上持っているし、それくらいなければ、
とうてい勝ち抜いてゆけないのだ。5000点プラス、とかのほうがずっと助かる。
 月が代わると、それまで持っていた大量の点がなぜかなくなってしまい、月の
基本収穫値に戻ってしまう。稼いだ点を貯めていけて、その上に収穫点を足して
いく、というシステムのほうがよかったかもしれない。もっとバランスを練って
ほしかった。麻雀の場合、最初の配牌やツキの要素が大きいので、プレイヤーの
腕を上げるといっても限度がある。これでは、クリアできるのはプロの雀士しか
いないのではないかとすら思えてしまう。

 さらに悲惨なのはセーブ機能がないということだ。これにはまいった。バック
アップメモリにもパスワードにも対応していない。最初の戦いに勝てば無限コン
ティニューできるようになるとはいえ、「国盗りモード」をクリアするまでには
相当な時間がかかる。ずっとマシンの電源を入れっぱなしにしないといけない。
はっきり言って電気のムダである。
 確かに、セーブ機能がないほうがおもしろいというゲームも存在する。最初の
状態から、いかに上手に行動してラストまでたどり着くか挑戦するのがおもしろ
い、というゲーム性の場合だ。しかし、この作品にはどう考えても、セーブ機能
があったほうがいい。なぜ、つけなかったのだろうか。カートリッジ作品なら、
コストが上がるからつけない、ということがあるかもしれない。が、セーブ箇所
がソフトの外にあるPCエンジンなら関係ないはずだ。ふしぎでたまらない。

 グラフィックは良い。インパクトには欠けるものの、独特の色使いでなかなか
魅力的である。牌も見やすく、ピンズの丸が明滅しているのがきれいだ。満貫や
倍満などが出ると動きのあるグラフィックが出る。とてもユニークでかわいい。
種類がたくさん用意されているのがいい。女の子の絵にも品がある。
 一方、マップデザインはいまいちだ。国ごとの特色があまりなく、単調でつま
らない。グラフィックにわずかな差があるだけで、出てくる敵などはほとんど一
緒。どの国の王様も全員おんなじ顔をしていて(親戚なのだろうか?)、緊張感
がない。
 マップ上には何人かの敵が行く手をふさいでいる。道が何本かある場合はどこ
から攻めるか選択できることがあるが、すべて丸見えなのでおもしろくない。わ
ざわざ敵の数が多い道を選ぶ人はいないだろうから(よほど勝つ自信があるなら
別だが)当然、敵の少ないところを選ぶことになる。道の先を見えないようにし、
進んでいくと敵があらわれるようにしたらどうだったろう。スリルが増すはずで
ある。

 シミュレーションっぽさを取り入れているが、活かしきれていない。ゲームで
遊んでいると、「あ、このゲームをつくった人は“ゲームのおもしろさ”という
ものをよくわかっている」と感じるときがあるが、この作品の場合、「ちょっと
わかってない」という気がしてしまう。練り込み不足だ。
 朝から晩まで麻雀をやっていても飽きない、という人なら、思う存分楽しめて
良いのかもしれない−−電源を切らずに。


'95 1/27 NIFTY-Serve FCGAMEM
     NECゲームマシン会議室 #1736(改稿)
                    (登録日 '97/3/12)
ソフト発売1992年2月備考なし