『マスター オブ モンスターズ』
<MASTER OF MONSTERS>
発売日 1991年2月15日
定価 6500円
メディア CD−ROM
メーカー マイクロキャビン
内容  ドラゴンやペガサスなどが登場するファンタジー・ウォー 
 シミュレーション。8マップからなるキャンペーンモード 
 がふたつと、25種類の単独マップが用意されている。元は 
 パソコンゲーム。

 シミュレーションものとして名高い『大戦略』シリーズ。おもしろいとは聞く
ものの、戦闘に使われるような武器・戦車・航空機などの名称は、私にとっては
とっつきにくいというかむずかしそうに見えて、なかなか手がつけられないでい
た。名作といわれる、メガドライブの『アドバンスド大戦略』にしても、あのブ
厚いマニュアルを読まなければいけないと思うと、ついつい、遊ぶのを後回しに
してしまうのである。
 その『大戦略』をファンタジーで味つけしたのがこの作品だ。説明書をザッと
読んでみる。これなら遊びやすそうだ。たとえゲームシステムは同じでも、素材
がちがえば印象も変わってくる。

 最初はすこしとまどったけれど、ルールはすぐに理解できた。『大戦略』より
はシステムが簡単で、入っていきやすい。
 シミュレーションにRPGの要素が含まれており、ユニットは戦闘により経験
値を得て、より高位の種族へと変化する。成長すると嬉しいが、育てていくのは
大変だ。キャンペーンモードのマップ数は8つしかなく、じゅうぶんに育てきれ
ない。敵が強いので長く生きのびるのはむずかしい。
どちらかというと、いちはやく塔を占領してモンスターをたくさん召喚し、数で
勝負するといった感じだ。そうしないと、とても制限ターン内にクリアできない。
結果、各ユニットの寿命は短くなり、メンバーはいつでも新人さんが多いことに
なる。このため、ひとつひとつのユニットに対する愛着はわきにくい。キャンペ
ーンモードのマップ数はもっと多いほうがよかった。

 ボスであるマスターさえ倒せば、どんなに敵が多く残っていても勝ちになる。
ダメージ覚悟で突っ込んでいってうまくスキをつけば、奇跡の大逆転も可能だ。
敵のユニットをほとんど全部かたづけないとクリアできない、ということはない。
 味方の数がいくら減ろうとも、ターンごとにすこしずつ得られる魔力を使えば、
新しいモンスターを召喚できる。敵の攻撃はけっこうシビアなので、うかつにつ
き進むと敗北する。キャンペーンモードでは、後になるにしたがって、敵もどん
どんパワーアップしてくる。

 モンスターはそれぞれ 「LAW」「NEWTRAL」「CHAOS」の3つの属性のどれかに
属していて、それがプレイに影響する。昼と夜とで戦闘能力が異なってくるのだ。
時間の概念があるのはおもしろいが、時刻表示マークは画面下のほうにちいさく
あるだけなので目立たず、プレイ中はあまり気にかけることがない。夜には画面
全体を暗くするなどすれば、わかりやすかったかもしれない。
 マスターによって、召喚するモンスターの種類が異なるが、各軍の特徴がそれ
ほど出ていない。共通ユニットが含まれているので、もうひとつ個性に欠ける。
もっとちがいがはっきりわかるようにすると、よりおもしろかったと思う。
 デモなどの絵はていねいに描かれていてうつくしい。ちょっと地味で古さを感
じさせるが、それが味なのだろう。

 フィールドマップが何画面ぶんにもおよび、ひろびろとした感じがするが、絵
をいちいちゆっくりと描きかえているため、画面がチラチラして慣れるまで見づ
らい。オリジナル自体が古い作品で、おそらくそれをそのまま移植しているわけ
だからしかたないのかもしれないが、やっぱりスクロールのほうがスッキリする
しスムーズだ。
 画面は広いものの、グラフィックはあまり見やすくない。地形とユニットグラ
フィックが重なってカメレオンのように色が同化してしまい、見分けにくいこと
がある。全体図をボタンひとつで確認できるが、おおざっぱな図なので自分でカ
ーソルを動かして敵や塔の位置を確認しなくてはならない。これがけっこうやり
づらい。位置の把握がしにくいのだ。広すぎるのも考えものである。

 セレクトボタンを押すだけで城へカーソルが戻るのは便利だ。部隊表で指定す
れば各ユニットのところへ、全体図で指定すれば任意の地点へ、すぐに飛ぶこと
ができる。広いマップでも、これらの機能のおかげでだいぶ操作が楽になる。
 ただし、不満な点もいくつかある。攻撃対象を指定するときに敵の体力値がわ
からない。指定時に体力値もわかるようにしてほしかった。移動して攻撃を選び、
それをキャンセルすると元いた場所に戻ってしまい、再度そこから移動しなくて
はならなくなるのも面倒。攻撃を中止してその場所にとどまろうというとき、不
便。ユニットはひとつひとつちがう名前がついているのではなく種族単位なので、
数が増えてくると同じ名前がずらり並ぶことになる。どれがどこにいる奴なのか、
部隊表で判別しにくくなってしまう。

 戦闘シーンは、画面が切り替わってのアニメ。なかなかおもしろい。しかし、
時間がかかってしょうがないので通常はアニメ表示をオフにして遊んだ。動きも
ワンパターンで、迫力が少々足りない。
 マップ上の曲は10種類用意されていて、味方・敵を問わず、自由に曲を割り当
てることができる。それぞれの軍の性格づけや状況の雰囲気を、自分で演出でき
るのだ。気分をかえて遊べる。味のある、いい曲ぞろいだ。
 セーブは全体を通してたったの一箇所しかできない。せめて二箇所はほしい。
セーブすると、バックアップRAMにある他のデータは全部消えうせる。説明書
には注意書きがしてあるものの、何も知らずに保存したらいきなり他のデータが
なくなってしまった、というのはシャレにならない。説明書を読まずに始める人
だっているはずだ。ゲーム中で最初に確認をとってほしいところである。
 コンフィグ面は充実していて、さまざまな変更をかけられる。4人同時プレイ
も可能。パッドが4つ必要ということではなくて、すべてひとつのパッドで操作
する。同時プレイとはいっても1人ずつ順番に操作するわけだから、この仕様は
良い。
 説明書の中身は白黒で文章中心、飾り気はないが詳しく書かれている。CDに
魔法陣がデザインされているのがセンスいい。

 シンプルだけど、なぜか集中して遊んでしまう。ストーリー性は薄いが、シス
テムがしっかりしているので楽しめる。この作品で基本をマスターしたら、他の
『大戦略』シリーズにも手を出す気力がわいてくる。入門用にうってつけだろう。


'95 1/20 NIFTY-Serve FCGAMEM
     NECゲームマシン会議室 #1669(改稿)
                    (登録日 '97/3/12)
ソフト発売1991年2月備考なし