『CAL II』(キャル ツー)

発売日 1993年3月31日
定価 7800円
メディア スーパーCD−ROM
メーカー NECアベニュー
内容  美しいグラフィックとたくさんのしゃべりで展開する 
 行動選択アドベンチャー。


 美少女がいっぱい出てくる。元はパソコンゲームらしい。内容は結構違うのか
な? パソコン版はとてもHなゲームのようだけど(笑)、このPCE版はそん
なことはない。

 主人公の男の子が、愛する女の子を助けるために「時の世界」を旅する。そこ
では、いろんな時代&場所での様々な状況が展開している。
 マップ上を少し移動しただけなのに、全然違う世界になる。頭がくらくらして
きそうだけど、なかなか面白い感覚だ。夢の中みたい。途中の道が自動移動で楽。
(この全体マップ..中世シミュレーション?の地図みたいで、イマイチ「時の
世界」って感じがしない。もっとファンタジーっぽい方がいいな)

 いつの頃からだろう、PCエンジンに美少女ソフトが多いとささやかれるよう
になったのは..?CD−ROMというメディアの特性がそうさせるのか、はた
またユーザー層の違いか(メガCDはそんなでもない気がする)。よく行く近く
の店にも、ついに「PCEアダルトコーナー」が誕生した。ハッカーものの新品
がズラリと並んでいる。それだけ需要が、やはりあるのだろうか。きわどい服装
&ポーズをとくとご覧あれ!という感じのものは、ゲームセンターに行けば脱衣
麻雀をプレイすることもある私はキライではないけれど、そういうものでないと
売れない、あるいはこれがてっとりばやい儲け方だ、とかいう状況であるならば
少し悲しいかもしれない。

 さて、この「CAL II 」も、”美少女ソフト”に分類されるだろう。という
か、その代表格とすら言えてしまうのではないかと思った。いろんなシチュエー
ションのいろんな角度から見たいろんな女の子の、絵と声、そして雰囲気を楽し
むのが主な目的だと思われる。

 電源を入れてソフトを立ち上げると美しいビジュアル(ゲーム中のものだが)
入りでスタッフ紹介が展開する。この曲好き。なかなかテンポよくて、オープニ
ングとしていい出来だ。
 グラフィックの魅力度がとても高い。ていねいに描きこまれていて色も良い。
ひきつける力がある。デッサンがかなり正確だと思うし、女の子の肌のつやの出
し方もうまい(笑)。絵の魅力というのは大切な要素だ。絵がイマイチだと作品
そのものまでイマイチに見えてきてしまう。パッケージデザインはパッと見ただ
けでその作品を買おうと思わせるだけの魅力にあふれているべきだし、ゲーム中
のグラフィックも、プレイ時の気分を結構左右するので大切だ。その点、この作
品は合格だと思う。ただ、部分的にアニメしたり画面スクロールしたりはするけ
れど基本的に静止画なので、もうちょっと変化がほしい気もした。

 主人公は声を出してしゃべらないが、他のキャラクターはほとんどすべて声入
りなのではないだろうか。女の子キャラのしゃべりが、ああ女の子だなあという
感じ。性格もさまざま。いろんなタイプがいる。おまけに残らず美形だ(これに
は理由がある)。絵の構図は、まあPCエンジンでやるにしては健闘していると
言えるかもしれない(笑)。しかしパソコン版に比べたら、おそらくハードさが
全然違うんだろーな、やっぱり。(この作品はコカコー○・ライトみたいなもの
なのかも☆)

 ときおり、キャラクターが「パソコン版は〜」などというセリフを言ったりす
る。ゲームをプレイしているとスタッフさん達のことに思いをはせる瞬間が、確
かにある。でもそれはあくまでゲーム世界への感情移入を妨げるものでない範囲
内がいい。キャラの口を借りてスタッフがしゃべってるみたいな部分は、ギャグ
として笑えて面白くはあるが「これはゲームで、虚構の世界なのだ」という事実
をつきつけられた気もして、なんだか興ざめしてしまう。ゲームをやってる時は
ゲーム世界にひたっていたい。スタッフさん達のことをじっくり考えるのはゲー
ムが終わって、スタッフロールを眺めている時にしたい。
(あまりに嫌気がさして、「なんだこのゲームは?」という気分になった時も、
気持ちがゲーム世界から離脱してしまう)

 セーブは1箇所のみで、ポイントごとに自動的に行われる。楽でいいけど本当
にセーブされているのか、ここで電源切っちゃってもいいのか不安になるのと、
あるシーンをもう一度見たいと思っても途中から出来ないのが残念。バックアッ
プラムの容量が足りない場合、ゲーム開始できない。リセットして他のファイル
を削らねばならないのだが、それをやってからセーブし、電源切ってからまた続
きをやろうと思ったら再度「容量が足りません」と言われてしまった。セーブは
されていたけど、どうしてだろう?ちょっと謎だった。

 メッセージはなかなか良いのであるが、数ケ所、漢字の間違いがあった。声と
文字が違うことがあるのは声優さんのアドリブなのであろうか☆

 この一本だけではかなり謎が残る。もう少ししっかりと謎を解明してほしかっ
た。悪い意味で同人誌的、説明不足。
 タイトルが謎。”CAL”って何なのか?何故いきなり”II”なのか。結局、
ゲームクリア後も不明のまま。読み方も”キャル”か”カル”か、まぎらわしい。
箱の外にはゲーム内容説明がいっさいないので、私の第一印象は「内容が謎な、
妖しい美少女ゲーム」だった。ひょっとしてオビには書いてあったのかもしれな
いけど、私はオビなしの中古を買ったのでわからない。

 アドベンチャーというよりデジタルコミックという感じで、行き詰まることは
おそらくない。ボタンを押していれば場面はどんどん進んでいく。選択を失敗す
るとゲームオーバーだがそれも意地悪でなく、自分からわざとはまってやろうと
決心しないかぎり簡単にはやり直しにならないようになっている。プレイヤーの
することと言ったらボタンを押して画面を眺めるくらいなので、ちょっと物足り
ないかな。メッセージを早送り出来てもキャラがしゃべり終わるまで待っていな
いといけなくて少しじれったい。一度行ったポイントでも再び行くと違う状況に
なるのはいいな。

 もしもあの時こうしていたら..こうならなかったなら..この時代に生まれ
ていたら..誰でも一度はそういうことを考えたことがあるだろう。しかし現実
は二度と戻らないし、いくら科学が発達してもタイムマシンだけは発明されない
だろうと私は思っている(←「ジャンボジェット機のような重たいものが空を飛
べるなんて信じられない」というのとはまた違うはずだ〜☆)。このゲームは、
そんな夢を少しだけ叶えてくれる。

 すべての選択肢を試してみないうちに場面が先へ進んでしまうことがあるので
(しかも自動セーブ)、あれを選んでたらどうなったか、とか非常に気になる☆
..必然的に2回めのプレイをする理由が出来るからいいのかもしれないけど、
セーブ箇所がいくつかあれば最初からやり直さなくてもいいんだけどな〜。時は
一度流れたら戻すことは困難だ、ってのを表現したかったんだろうか。

 絵の質が良いし結構ストーリーもロマンチックでいいのだが、もう少し展開に
突っ込み..というか掘り下げがほしかった感じ。


'94 3/18 NIFTY-Serve FCGAMEM
     NECゲームマシン会議室 #264
                    (登録日 '98/8/19)
ソフト発売1993年3月備考感想