『クイズの星』

発売日 1992年8月10日
定価 6800円
メディア スーパーCD−ROM
メーカー サン電子
内容  5種類のクイズゲームを楽しめるパックソフト。


 突出したレベルのデザインセンス。グラフィックの出来が、あまりにもすばら
しい。気合いが入りまくっている。「これはすごい、やってくれるよサンソフト
!」と思わず叫んでしまう。「中古で4000円か、まだ高いな」などと考えて購入
をしぶっていた自分が恥ずかしい。定価出しても、全然惜しくない出来だ。
 CDを立ち上げると流れるデモは、5種類のクイズの紹介になっている。どれ
もアイデアがピリリときいた内容。なかでも良いのが、このソフトの一番の目玉
といえる「ハート・オブ・ストーン」。映画の予告編みたいで楽しい。

☆グランプリの狼(2〜4人用)
 F1を題材にしたクイズ。正解するごとに残りタイムぶん、自分の車を進めて
いける。はやくゴールしたほうが勝ち。問題が全部表示し終わらないうちに解答
権を得なければ先をこされ、負ける。早押し命。しかしあまり早く押しすぎると
問題のごく最初部分で表示が止まってしまうので、ほとんどヤマカンで答えなけ
ればならなくなる。それでも3択だから正解の確率は高い。

☆クイズトランプリ(2〜5人用)
 神経衰弱クイズ。はやく正解した側がトランプのカードをめくれる。マークか
数字、どちらか一方が合えばオーケー。イベントカードなども出て、場に変化を
与えてくれる。これも早押しでいちはやく解答権を得ることが大切だが、カード
のめくりかたによっては逆に不利になるので要注意である。

☆問道(←「といみち」ではなく、「もんどー」と読む)(2人専用)
 タイトル画面が出る前の、目を釘づけにされるグラフィック展開。それに続く
タイトル画面のシブさ。縦に大きくバーンと「問 道」と書かれ、NHKの大河
ドラマが始まるかのような音楽が流れる。しばし沈黙の後、思わず「クイズ道と
は! 時を忘れ、ただひたすらに答えることと見つけたりィ!」と叫んでしまい
そうになる。
 格闘アクションっぽく、「攻撃」と「防御」をして対戦できるのが面白い。各
キャラクターのポーズに個性がにじみ出ている。防御していれば攻撃のダメージ
を半減させられるが、クイズに答えようと気をとられると防御コマンドを入力し
そこない、モロに必殺技をくらったりする。

☆連続クイズいま何問め!?(1人専用)
 50問連続正解をめざすクイズ。合計50問正解なら簡単だが、連続となるとなか
なか達成できるものではない。一問でもまちがえればハイそこでおしまいという
あっけなさ。しかも5択。問題の難易度も結構高く、繰り返しやっていてもめっ
たに同じ問題が出ない。ハイスコア初期値の10問を越えることすら大変だ。調子
よく連続正解しているときにまちがえると、ものすごく悔しい☆ ただ、解答の
制限時間はないので、あちこち駆けずり回って調べものをする余裕はある。
 50問連続正解すると出るパスワードを応募すると、先着50名にプレゼントが贈
られる。果たして日本中で50人も成功した人がいたのか、私は疑問に思っている。
今から応募しても間に合うかもしれない(笑)。
(これに出てくるウサギの絵がすっっっごくかわいらしい。じっと眺めていると、
クイズに疲れたときの良いなぐさめとなってくれる)

☆ハート・オブ・ストーン(1人専用)
 RPG風クイズ。アニメーションをおりまぜつつストーリーが展開。RPG風
といっても、ウィンドウを開閉してアイテムを選択するわずらわしさは一切ない。
ボードゲームのような盤上を進んでいき、クイズで戦いながら主人公はパワーア
ップしていく。コンテの切りかたのうまさ、テンポをほとんどそこねないCDア
クセス、すぐれた画面デザイン。はっきり言って出来がいい。感心してしまう。
さらに驚いたのがスタッフロールだ。声優ひとりひとりの名前に違う配色がして
あり、スタッフ名にいたってはひとつひとつに個性豊かなロゴデザインがほどこ
されている! 「ここまで凝るか?」と圧倒されるほどのこだわり。とてもてい
ねいな仕事をしていると感じさせるプロ根性。この作品を創りだした開発者さん
たちは、いつの日かとんでもなく凄いソフトを出してくれるのではないかと期待
させられる。


 クイズが嫌いでなければ、まちがいなく“買い”。もう手放しでほめてしまう。
クイズものの宿命で、ある程度やると飽きがくる弱味もありはするが、このグラ
フィックは絶対に一見の価値ありだ。ソフト全体からあふれ出る創造力、オリジ
ナリティの高さ、いいものをつくろうとする意志、画面の新鮮さ。ある種の感動
すらおぼえる。ただのクイズソフト、と侮ることなかれ。入魂の一本である。


'93 12/3 NIFTY-Serve FCGAMEM
     PCエンジン会議室 #384(改稿)
                    (登録日 '97/5/7)
ソフト発売1992年8月備考なし