『夢見館の物語』 |
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発売日 1993年12月10日 定価 7800円 メーカー セガ 内容
言葉をしゃべる蝶が舞う不思議な館を探索する
アドベンチャー。
数時間の夢まぼろし? いや、「夢見館」は確かに、どこかに存在している…。 「ようこそ、夢見館へ。君は幸せだよ、今夜うつくしい蝶になれるのだから。
人間などといううす汚れた衣を脱ぎ捨て、青白く光る身軽な姿へと変わることが
出来る。さあ、おいで…」
物語は、ある兄妹が蝶を見つけたところから始まる。蝶を追ううちに、昨日まで
は無かったはずの館の中に迷いこんでしまった妹を探して、兄は探索を開始する。
その館は四年に一度(オリンピックみたい)、満月の夜にだけあらわれる、「夢見
館」であった。
グラフィック・音楽・演出が三位一体となり、強力なインパクトを放つ世界観形
成がなされている。人によってはこの世界にハマり込んだまま、帰ってこれないの
ではないかと思うほどゲーム世界に入り込んでしまう。臨場感はバツグンである。
視点の移動の仕方が今までのゲームには見られないもので、かなり制限はつくも
のの、とてもリアル。
作品のジャンルを「アドベンチャー」でなく「バーチャル・シネマ」とSEGA
が呼ぶのも、うなずける出来である。今までのCD−ROM作品のウリは、ほとん
どが「アニメ!」「大容量!」「しゃべる!」だったような気がするが、この作品
こそ、CD−ROMの正しい使い方だ(と言うのもヘンだが)、という気がした。
“魔界”とは、こんな世界なのかもしれない。RPGではラストで敵の本拠地に
乗り込んだりするけれど、雰囲気がそれまでのダンジョンと似たりよったりで、
「凄い場所に来てしまった! ここが、最後のボスのいるところか…」という感動
を得られることがあまりない。自分ちの庭のように、てくてく歩けたりする。しか
し、この作品の世界は既知の材質で構成されていながらまったく未知の世界となっ
ている。すべての物に新鮮さが感じられ、そのひとつひとつが何らかの意志を持っ
て、そこに存在しているのだ。
説明書にも書いてあるが、この作品にはバッドエンディングと真のエンディング
の2つがある。両方とも震えが来るほどドラマティック。バッドエンディングの壮
絶なまでの美しさは、特筆ものだろう。
実際のプレイ時間は短く長持ちはしないが、とてつもなく深い印象をプレイヤー
に残す、SEGA推薦の優良CG図書だ。
★必本スーパー! '94 7月号
「ユーザーズ・アイ」(読者レビュー)掲載(原文)
(登録日 '98/1/7)
ソフト 1993年12月 備考 感想