ゲームレビュー(1)
プレイステーション
『ファイナルファンタジー7』
発売:1997年1月31日
メーカー:スクウェア
ジャンル:RPG
☆シリーズ第7作め。プレイステーションでの発売・第一作。
それまでのRPGとは次元が違う、スクウェアの意欲作

 私は自分がプレイするまでは出来るだけ、そのゲームについての前情報を見ないようにしている。自分で実際に触れたときの感覚を大切にしたいからだ。だから、この作品もほとんど予備知識なしで始めた。ビジュアル部分が凄いであろうことは、あらかじめ予想できた。スーパーファミコンでさえ、あれだけの質を出していたのだ。より高度な表現が可能となるプレイステーションなら凄くないわけがない。しかし、プレイしてみて驚いた。ここまで−−凄いとは。これは素直にたいしたものだと、感嘆せずにはいられない。
 コマンドシステムに面影を残してはいるものの、パッと見て、とても同じシリーズとは思えない。機種が変わり、視覚的な表現力が格段に向上している。単に美しいというだけでない、独創性を兼ね備えた魅力的なグラフィック。「今までのRPGにない画面をつくる」ことを合い言葉にしているかのように、あちらこちらで新しい表現方法に挑戦しまくっている。自由な発想で描かれる背景はどこもかしこも個性的かつ印象的で、一枚の絵画のように「絵になる」。
 以前のRPGなら、眺めるだけのデモ場面だったような画面でキャラクターを操作でき、「こんなの、道じゃないよ〜」と叫んでしまいそうな場所も通れたりする。整然と区分けされた道らしき道でないがゆえに、ゲーム世界にリアリティが生まれている。

圧巻! 躍動感あふれる3Dバトル

 当時、すでにSFCのRPG作品を数多くクリアしていた私は、「RPGの戦闘なんてワンパターンでワクワクしないよ」などと少々退屈にすら感じていた。その私の目を覚まさせた、迫力ある戦闘シーン。アップとロングを使い分けてカメラアングルがめまぐるしく変化、視点は刻一刻と切り替わる。シリーズ『〜IV』からおなじみの“アクティブタイムバトル”によって戦闘がリアルタイムでおこなわれるから、ものすごい臨場感が味わえる。これまでのような固定画面の平面的空間でなく、まるで自分がその場にいるかのような感覚を起こさせる立体的空間の中でこそ、ATBシステムの良さは十二分に引きだされる(難点は、(移動画面でもそうだが)キャラクターサイズと視点が場面ごとに異なるため、操作にとまどうことがあることか)。
 召喚魔法は派手でかっこよく、効果的な見せ場となっているが、強力な攻撃法ばかりに頼りすぎると戦いが簡単に終了してしまい、味気がなくなる。攻撃を受けることに意味を持たせた“リミットシステム”(受けたダメージが大きいほど技がばんばん出て盛りあがる)もうまく機能しない。そこで、MP大量消費による力押しの戦闘にならないように、一回の戦闘における魔法使用回数に制限をつけてある。召喚魔法・全体魔法・リミット技のどれかひとつを強力にしすぎないことによって、プレイヤーに各コマンドを均等に使わせ、全要素を活かす。ビジュアルの見た目が凄いだけでなく、戦闘グラフィック展開とコマンドシステムの相互バランスもちゃんと調整されている。こうした細かい配慮が、ゲームをより面白くするのだ。

エポック・メイキングな秀作RPG

 PS以前の機種では、どんなに技術があっても実現できない表現があった。ハードの機能的制限におさえつけられていた力が一気に解放されたFF7は、映像においてRPGの新たな一歩を踏み出した−−いや、十歩以上は進んだかもしれない。既存RPGの枠から出ようとする冒険心を見事に支えた、高い技術力と表現力。ただただ、圧倒される。「こんなゲームが本当にあったら」というイメージを実現し、画期的な試みを大胆にとりいれて結実させた本作品は、RPGの進化形の一例を提示することに成功したといえるだろう。

リスト1 MENU
TOP