【ゲームボーイ】
『読本 夢五誉身(天神怪戦2)』

発売日 1992年3月13日
定価 4500円
メーカー メルダック
内容  カードバトルで戦うアドベンチャーRPG。


 マルチスクリーンアドベンチャーRPG、と銘うっている。GBの小さな画面を
さらに四分割し、その4つのパーツを駆使して不思議なテンポを生みだしている。

 最初に自分の名前を入力。4文字なのだが、3文字以内でスタートしようとして
もなぜかできない。”空白”もないので仕方なく、4文字の名前にした。
 なんとこの作品もパスワードコンティニュー(13文字、と比較的少ない数だけ
ど)。電源入れてタイトル画面が出てすぐスタートを押してもはじまってくれない
のが悲しい...数秒たってからじゃないと入力を受け付けてくれないようだ。ち
ょっとの違いで快適さってずいぶん違うものなんだよね...★

 とりあえずゲームスタート。背景グラフィックやキャラクターの表情が豊かで、
楽しい。ちょっと画面(セリフ)切り換えが遅いような気もするけど...このゆ
っくりとしたテンポにイライラするようでは、この作品の楽しさはわからないのか
もしれない★「竹取物語」の朗読からはじまるのがセンスいいなあと思った(思わ
ず昔の古典の授業を思いだしちゃったい☆)。敵のグラフィックはおどろおどろし
くて、ちょっと背筋が寒い。

 時代は江戸時代。日本。主人公は寺子屋のお師匠さま(もと武士)。子供でなく
大人である主人公にしか不思議なものが見えない、という設定はおもしろい。結構
悲惨なグラフィックも出てくるのだが、彼のあたたかみのある表情を見るとホッと
させられる(あのクリッとしたまん丸い目がいいのよね)。でもこの作品中では何
年かの時がたつのに、ちっとも年とってないように見えるな。
 天神五人衆のひとり”とらまる”は、いい味出てるなあ(笑)。パッケージおも
てのイラストとやけに顔が違うのが笑える☆そう簡単には馴れ合わない”たけざえ
もん”さんもいいな(あくまでもスタンドプレーな奴★)。

 コマンド体系とかがちょっと新しいので、最初はとまどう。説明書をよく読んで
試しながら操作をおぼえてゆく。特に戦闘のやり方は慣れるまでちょっとかかった。
 カードバトルで、(おそらく)ランダムに出てくる左右2枚のカードどちらかを
選ぶ。カードの種類は攻、防、回、助、神、倍、とあり、これを4つまでの組み合
わせにして敵と戦う(敵も同様のことをする)。組み合わせによりいろんな効果が
出る。効果は画面右下に表示されるのでそれを見ながらカードを引いて組み合わせ
使用する。カードを引くと”れい(MP)”が減っていく。

 おみくじを引いて運だめし、というのがあり、最初いきなり「凶」をひいてしま
ってどうしようと思ってたら、再度のチャンスあり。よし、今度こそ「吉」だあ!
えいっ!...またしても「凶」。結構、悲しかった(笑)。落とし穴を飛びこえ
られたかどうかの判定もこれでする。(落とし穴くらい運でなく実力で飛んでくれ
よなあ〜☆おもしろいけど)

 説明書が横長になっていて、時代背景の年表も載っていて、なかなか雰囲気が出
ている。(歴史の時間に習った人物なども出てくるので勉強にもなるぞ☆実際の歴
史の裏を走るキャラの活躍を描く...という感じでおもしろい)

 敵に勝てないとゲームオーバー。パスワードを入力して、やり直し。また途中か
らデモを見なければならない。とばせないのでちょっとタルい(まちがってとばし
てしまわないようにしてあるんだろうけど)。まあ、要所要所でパスワードを取れ
るのでまだマシではあるが、最後の方はかなり長いことパスワードが出ないので、
やり直しが大変つらい。

 敵の攻撃の手が決して甘くないのが嬉しい(これは敵キャラがむちゃくちゃ強い、
ってことではなくて、敵が「真剣にこっちを倒そうと努力してるか(笑)」ってこ
とね)。手かげんしてもらって勝っても、ちっとも嬉しくないから。この作品は、
主人公が成長しきるまでに倒そう、という敵の意志が伝わってくる。無限のザコ敵
と戦わせて主人公のレベルアップに貢献するのでなく、ちゃんとそれなりに強い敵
をしむけてくる。おかげで何度かコンティニューしなければならないハメになるの
であるが★

 しかしこのカードバトルのカードの組み合わせというのはいまいち、よくわから
ない。これとこれをあわせるとどうしてこれになるんだ??考えても理解しにくい
ので何も考えずにひたすら、カードを引きつづける。「神」のカードを引けばもう
こっちのもんである(でもなかなか出てくれない...一度「神」*4というのを
やってみたいものだ)。

 「火」の章の最後のボスがいる「一見何も起こらない」洞くつ。一通り歩いてみ
てもこれといってなんにもない。ここはハマるかもしれない(私もハマってしまっ
たかと思った)。ヒントくらいほしい。
 最後のボスに会う前にも堂々めぐりになるところがある。ラストの方はパスワー
ドも出ないので途中でやめることもできず、困る(しかもいきなり登場するからビ
ックリするじゃないか)。

 マルチエンディング。エンディングの余韻から、一転してアップテンポな曲でス
タッフロールを流すセンスがいいと思った。真のエンディングを見ようと思ったら
相当苦労する。いったん洞くつの下へ降りてしまったらもう上がれなくなるので条
件をとりそこなってしまうのである...。

 欲をいえば、天神五人衆のひとりひとりにもっと強力な役割をもたせてほしかっ
た。最後の方ではなんか頭数だけそろえてる、って感じがしたから☆あと、カード
の組み合わせがもうちょっと奥が深いとよかったかな..(いま一歩、戦略性に欠
ける気がする)。
 細かい不満はあるものの...とにかく味のある作品である。

 それにしても、ゲームボーイというのはゲームシステム上、冒険しやすいのだろ
うか?なんだかとっても斬新な作品が多い気がする。「おもしろさの原点」にかえ
ったような作品が多いのは嬉しいことだ。


'93 5/21 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ハンディゲームマシン会議室 #502(登録日 '98/5/20)

ソフト発売1992年3月備考なし