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【ゲームボーイ】
『ウィザードリィ外伝I〜女王の受難』
<Wizardry THE FIRST EPISODE
 〜SUFFERING OF THE QUEEN>
発売日 1991年10月1日
定価 4635円
メーカー アスキー(→メーカーHP
内容 3DダンジョンコマンドRPG。ウィザードリィ 
外伝シリーズ第一作め。            


 ゲームボーイで遊ばなくなって久しい。大量のソフトが発売される昨今、プレ
イしてみたいGBソフトがあっても、ついつい後回しにしてしまう。スーパーフ
ァミコンに接続して遊ぶ「スーパーゲームボーイ」ではなく、GB単体で使って
いる場合はなおさらである。性能のいい他機種マシンの美麗なグラフィックに慣
れてしまうと、小さくて見にくく、カラフルでもない地味なGB画面ではあまり
遊ぶ気になれない。しかし。電源を入れ、このソフトのタイトル画面を見た瞬間、
直感した。
(これはハマる……!)
 はたして予想通り。GBに熱中していた昔の自分がよみがえり、ろくに休息も
とらずに冒険を続ける。「城を出てダンジョンに潜り、帰還後、体力魔力のフル
回復および装備の補充をする」、この流れを一セットと呼ぶなら、一度に連続何
セットもこなすほどの熱中ぶり。両手と両目がGB本体と融合してしまったかの
ような集中状態に突入する。
 この外伝シリーズは、外国生まれの『ウィザードリィ』シリーズを手本にして
つくられた、日本製オリジナルWIZである。様々な制約を受けるGBソフトで
ある都合上、一画面に表示できる情報量が少なく、また、マップ上の記号とキャ
ラクターの現在位置が重なると、向いている方向を示す矢印が見分けにくくなる
などの不便な点もあるが、狭い画面を出来るかぎり有効に使った画面デザインが
なされている。戦闘で同じ名前の敵が複数グループに分かれて出てきた場合、敵
が前後に位置を移動すると、敵グラフィックが左右に入れ替わってプレイヤーの
視界を混乱させる。よく見ていないと自分が攻撃していた敵がどれだったかわか
らなくなってしまうのが面白いし、動きがあることは戦いの臨場感を盛りあげて
くれる。性能的には他機種に劣るGBでも、工夫次第で豊かな表現が可能となる
のである。
 システムには親切なアレンジがほどこされており、本家WIZよりも取っ付き
やすくなっている。ワープゾーンや重要ポイントは自分で覚えておかないといけ
ないが、一度通った跡は自動的に地図にマークされていく。とても便利だ。携帯
が可能なGBの、3DダンジョンRPGというジャンルにおいて、この「オート
マッピング機能」は欠かせない。たとえば電車内で遊ぶときに、狭いスペースで
メモ帳を取りだし、マップを書きこんだり参照したりするなんて、考えただけで
面倒くさい。
 さらに移動呪文“マロール”は、グラフィック表示で行き先のポイントを指定
できるようになった。座標軸を計算して値を入力する従来の方法よりも断然わか
りやすく安全性が増したため、気軽に唱えることができる。装備や持ち金を犠牲
にしなければならず、おいそれとは使えなかった帰還呪文“ロクトフェイト”も、
外伝では装備やお金をそのまま持って帰還できる(が、一度使うと忘れてしまう
のでレベルを上げて再度覚え直す必要がある。このバランスどりには感心した)。

 ふむふむ、ずいぶん親切になっているわけだ。それでは、この外伝は難易度が
低くなっているのではないか? そう考えるのは甘い。戦闘はかなりシビアで、
油断するとアッという間に全滅する。てごわい敵が団体で出現し、最強呪文をぜ
いたくに使ってもなかなか倒せない。“マロール”が使いやすくなったおかげで
マッピング完成は速いものの、ゲーム進行にキャラクターの成長が追いつかず、
あせるとボコボコにやられる。システムが親切になっても、このシリーズの特徴
である難易度の高さや、一歩一歩進むときの緊張感はちゃんと保持されているの
だ。
 どうやら開発陣には「このくらい難しくなければウィザードリィじゃない」と
いうこだわりがあるらしい。WIZの魅力を知り尽くしている制作スタッフだな、
ということが伝わってくる。確かに、三日くらいで楽々クリアできるものなど、
断じてウィザードリィではない(笑)。
 それにしても、敵は容赦なく強い。宝箱には意地悪な罠がしかけられ、解除に
失敗すると悲劇が待っている。蘇生の試みはしばしば失敗する。キャラクターは
灰になったり復活したりと忙しい。ひとつのパーティが全滅し、助けに行った新
パーティもまた同じ運命をたどる。作成可能なキャラは20人までで、それが20人
とも全滅すると、もうガックリきて遊ぶ気力がなくなりかける。しかたなく私は、
まずい結果が出たら自動セーブされてしまう前に即、電源を切ってやり直すこと
にした。もちろん、「自分はそんなズルはしないぞ!」と、あくまで信念を貫き
通すのも結構だ。誰も止めやしない。ただし、ゲームクリアに恐ろしく時間がか
かることは覚悟せねばならない。もっとも、ある一定レベルまではキャラクター
の成長が速いので、追いつくのはさほど大変ではないだろう。
 敵が強いため、電源を切ってやり直す回数は必然的に、非常に多くなる。これ
がもしCD−ROMソフトだったら、再立ち上げに時間がかかりすぎて、とても
まともに遊べないものになっていたにちがいない。ROMカセットだからこそ、
また、これだけ熱中できる面白さだからこそ許される戦闘バランスだといえる。
 −−GBとウィザードリィ。
 これはプレイヤーの魂を吸い取る、魔性の組み合わせだ。ただでさえ中毒性の
高いゲームが、いつでもどこでも気軽にプレイできるハンディマシンと結びつい
たら……その効果は倍増どころではない。一度とりつかれたら、なかなか手放す
ことができない。外伝といえどシリーズ独特の雰囲気を損なうことなく、充分な
解きがいと手ごたえとを備えており、WIZの世界をたっぷり堪能できる、納得
の仕上がりとなっている。
'97 1/23 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ハンディゲームマシン会議室 #2081
(登録日 '97/2/5)

ソフト発売1991年10月備考なし

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