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【ゲームボーイ】
『ONI IV〜鬼神の血族』
発売日 1994年3月11日
定価 4980
メーカー バンプレスト(→メーカーホームページ
内容  和風コマンドRPGシリーズ第四作め。


 なんと、難易度設定がついている。前作 『III』の序盤バランスが悪かったの
が、あまりに不評だったためなのだろうか。コマンドRPGに難易度設定がつく
なんてめずらしい。ゲームスタート時に「やさしい」「ふつう」「むずかしい」
のなかから選び、一度決定したら途中で変えることはできない。各レベルごとに、
戦闘で入手できるお金&経験値の量そして敵の強さが異なってくる。
 私は難易度「ふつう」でプレイした。戦闘バランスはどっちかというとキツめ
だ。敵がけっこうカタくて戦闘回数も多かった。それでも前作ほどには全滅しな
くなったから、これくらいでちょうどいい。試していないが、「やさしい」では
当然もっと楽なのだろう。難易度を変えてもストーリー展開自体は変わらないよ
うなので、ひとつの難易度でクリアした後、別の難易度で再度遊んでみようとは
思わない。そもそも、わざわざ「むずかしい」にして苦労をしょいこみたい人な
んているのだろうか。アクションやシューティングならやりがいも出てくるが、
コマンドRPGではただ疲れるだけという気がする。特に戦闘がありきたりだと、
よけいな苦労は苦痛になる。できるだけ楽をしてレベルアップしたいのが人情と
いうもの。もう少し何らかの工夫があれば、このシステムも活きたはずである。

 シリーズ前作中のキャラクターが登場するのが懐かしい。『II』のキャラクタ
ーが大人に成長している。前作を知らなくても遊べるが、遊んでおくと「おお、
立派になったもんだねえ」などとじつに感慨深く、感情移入の度合いがちがって
くる。キャラクターの魅力はいつもながら高く、それぞれが個性的だ。戦闘時も
キャラごとに攻撃の特徴がある。各自得意な戦法で戦闘でき、ボス戦が楽しい。
シリーズ前作に出てきた町の名前や術名、システムなどが使われているので、遊
んだことがあるなら説明書なしでも、スムースにゲームを進めることができる。
 自動戦闘は一応用意されているのだが、キャラの名前と、攻撃の際に使用する
武器の名称をいちいちボタンで送ってやらなければ状況が流れていかない。また、
戦闘終了しても自動で画面が切り替わってくれない。おかげでボタン連打をしな
ければならず、オートコマンドのありがたみが半減してしまっている。
 術はレベルアップ時に自然と覚えるのではなく、イベント(アイテム入手)に
よって覚える仕組み。物語が進んでいくうちに少しずつ実地で学んでいけるため、
術の修得時の印象が深くなる効果が出ている。

 前作まではコンティニュー時でもタイトル画面のカーソル初期位置が「はじめ
から」になっていて、十字キーでカーソルを移動させなければならなかったが、
今回はセーブデータがある場合、「つづきから」にカーソルが合うようになった。
ほんのちょっとしたことだけれど、ボタン一回ですぐ再開できるのはうれしい。
セレクトボタンを押すとヒントが聞けるのもやはりありがたい(それでもゲーム
中の会話をきちんと聞いておかないと、手がかりを見失う可能性はある。ポイン
トはメモしておいたほうがいいだろう)。
 音楽は悪くはないものの、個人的にノリは『 III』のほうが良かったと思う。
行動決定などの効果音が、いやにカン高い。他の音と区別しやすいのはいいが、
イヤホンをしてプレイするとキンキン響いて、ちょっと耳が痛い。

 システムも展開も非常にオーソドックス。特に新しいと思われる試みはない。
シリーズ四作めともなるとシステムがかなり洗練されて独特の雰囲気も定着する
ため、安心してプレイできる。しかし今回は少々、『ファイナルファンタジー』
シリーズの影響を感じた。
 キャラクターの魅力のおかげで楽しく遊べたが、ストーリー展開は淡々として
おり、攻略チャート図をただたどっているような感じを受ける。心理描写などに
深みが感じられない。せっかく魅力的なキャラクター設定なのだから、もっと話
にからめて活かさなければ、もったいない。
'94 10/28 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ハンディゲームマシン会議室 #402(改稿)
(登録日 '96/12/11)

ソフト発売1994年3月備考なし

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