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【ゲームボーイ】
『アンダーカバーコップス外伝 破壊神ガルマァ』
発売日 1993年12月10日
定価 3800
メーカー アイレム(→メーカーホームページ
内容  カード格闘ボードゲーム。


 アーケード版『アンダーカバーコップス』はバリバリの格闘アクションである。
この外伝はそのキャラクターを使った、カードバトル・ボードゲームだ。手持ち
の5枚のカードから1枚を選んでスロットを回し、すごろく盤の道を進んでいく。
選んだカードの数以下の数値しかスロットには出てこない。1のカードの場合は
スロットを回すまでもなく1しか進めない。中間色のマスに止まるとお金を拾う
ことができ(体力回復できるときもある)、黒いマスへ止まるとザコとの戦闘に
なる。
 戦闘は、同じ要領で手持ちカードから1枚選び、相手の出した数と比べて自分
のほうが大きければ「攻撃」、小さければ「防御」。同じなら再度カードをひく。
攻撃には通常攻撃と超必殺技攻撃がある。通常攻撃では、狙う身体の部位(頭、
手足など5ケ所)を選択。必殺技攻撃は体力を消耗するが必ずヒットし、ダメー
ジもデカい。敵と戦って勝つと、経験値とお金が手に入る。レベルアップすれば
だんだん引くカードの数の上限値が上がり、強くなる。例えばレベル5になると、
それまでは出てこなかった「5」のカードが使用できるようになる。なかなか、
面白いシステムだ。

 しかしこの作品、バランス調整が甘すぎる。ゲーム前半で、早くもレベルが最
高になってしまう。普通に進んでいるのに、途中からキャラを育てる楽しさが味
わえなくなる。ザコはおろか、ボス戦さえも楽勝で、防御に回るターンなど、数
えるほどしかない。苦労するのは最初のほうくらいだ。「体力全回復アイテムの
“ぶた(豚)”を買えるだけ買い、道中ではなるべく大きい数のカードを残すよ
うにし、戦闘ではいつも超必殺技を使う」という必勝パターンが簡単に見つかる。
レベルが上がると体力値は何万にもなり(初期のころは、たかだか数百)、こう
なるともう誰にも負けない。超必殺技も使い放題。少しくらいダメージを受けて
も全然こたえない。ほとんど無敵になってしまう。面白くない。
 ボード上ではいくらでも後戻りができ、スロットの目がちょうどにならなくて
もショップなどに止まることができる。このことも、ゲームバランスをくずす原
因となっている。いくらでも都合よく闘ったりお金を得たりアイテムを買ったり
できるから、楽勝なのである。一度進んだ道は後退できないようにして、多少は
運の要素も盛り込んでみてはどうだったろうか。

 戦闘では相手の手持ちカードが丸見え状態で、自分が何を出せば勝てるかが一
目瞭然。スリルがない。敵のカードは見えないほうがいい。闘う前から手の内が
わかってしまうのは興ざめである。同様に、自分のカードも敵には見えているの
かな、と思うと、どうやら相手にはこちらの手持ちカードは見えていないらしい。
平気で、自分の手持ちカードのなかでも低いもの(負けが決定するカード)を出
してくる。最後のほうになると、いくら闘ってもレベルアップしないので、ザコ
と戦闘する気力がなくなってしまうのだが、「逃走」するためにはいったん防御
に入る必要があり、しぶしぶ相手をしなくてはならない。

 そしてさらに輪をかけてプレイヤーをイライラさせるのが、おまけゲーム的な
ものとして出てくる「モグラリアンたたき」。モグラリアンというのは敵の名前
だ。要するにモグラたたきである。戦闘のマスに入ったとき、ランダムでこのモ
ードに強制突入する。1分以内に40匹のモグラリアンをたたくと、体力全回復ア
イテム“ぶた”をひとつもらえる。しかし、ショップでたくさん買い込みできる
ので、このアイテムはあまり貴重でなく、苦労してまで手にいれる必要がない。
40匹たたくのはけっこう大変だ。だから、このモードになると「またか……」と
正直言ってうんざりする。めんどうくさいので、1分たつまで、しばらく放って
おくしかない。キャンセルできないのが悲しい。ここは最初に、「挑戦するか?
はい/いいえ」と聞いてほしかった。しかも、すでにアイテムをじゅうぶん持っ
ているゲーム後半でよくこのモードになるのだから、参ってしまう。

 また、ステージ終了ごとに出るパスワードでコンティニューができるが、これ
が……不完全なコンティニュー方法だったりする。電源を切ってから再開すると、
減っていた体力は全回復、お金も何故かいきなりドカンと増えている。「やった、
得した!」と喜んだのもつかのま。なんと前のステージで入手したアイテムが全
部きれいさっぱり、消えうせているではないか! 大ショーーック! お金だけ
は増えているから、それで体力回復アイテムを気が遠くなるほど買えるのだが、
ショップで売っていない特殊アイテムは、もう戻ってこない。

 一番かんじんの、ゲームバランスの練り込みがあまりにもおざなりで、「てい
ねいにバランスをとろう」とする努力のあとが見えない。せっかく面白くなりそ
うなシステムでも、熟成させなければアイデアだけが浮いた、イマイチな作品で
終わってしまう。グラフィックには味があって笑える絵も多いが、もう一歩物足
りない。ショップで売られているアイテムも、“ぶた”以外はあまり有効でない。
音楽のテンポが良く、曲のおかげでかなり救われているものの、アーケード版の
設定を借りてちゃっちゃっと仕上げた、という印象が強い。遊べないことはない
のだけれど、練りかた次第でもっと面白くなったはずである。残念だ。
'94 1/14 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ハンディゲームマシン会議室 #457(改稿)
(HP登録日 '96/12/11)

ソフト発売1993年12月備考なし

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