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【ファミコン】
『ダブルムーン伝説』
発売日 1992年10月30日
定価 7900円
メーカー メサイヤ
内容  ”剣と魔法”世界のコマンドRPG。


 電源ON。ファミコンの絵と音が流れる。タイトルが出る。続いて物語の説明
文がスクロールしていく。かんたんに略すと、「ある世界があった。そこへ悪が
あらわれた。恐怖の魔物をよみがえらせるつもりなのだ。そうはさせるか!立て、
立ち上がれ勇者よ、君が主人公だ!」..過去にさんざん見てきた黄金パターン。
あまりにも堂々とセオリーどおりなので逆に感心してしまうくらいだ。

 ゲームをはじめる..ドラクエだ。似ている。もう少し、そこかしこにオリジ
ナリティが欲しいところである。ファイナル・ファンタジーのにおいもする。

 一番最初のザコ戦でいきなり死んでしまった。はじめは自分たった1人きり。
しかし敵は複数出てきて、しかも弱くないときている。職業が3タイプから選べ
て、私は”魔法戦士”にしていた。そうか、武器で戦ったのが敗因かもしれない、
一応、初期設定で攻撃魔法をひとつだけ覚えていたのでそれを使ってみると楽勝
だった。う〜む、そういうことはもっと早く言ってほしい(<<説明書読まずに
始める奴)。歩くごとにMPが回復していくので魔法は使い放題!これは嬉しい。
ただしフィールド上のみである。ダンジョン内などでは回復しない。それにして
も、HP回復の魔法くらいはどのキャラでも覚えられるようにしてほしかったな。

 これは”ボタン連打RPG”だ。と言ってもアクションRPGのことではない。

[説明しよう!(富山敬)”ボタン連打RPG”とは何か?オートがないので、いちいちメッセージをボタンで送ってやらなければならな
いコマンドRPG。コマンドを入力すれば、後はずっと押しっぱなしにしてメッ
セージを流せることもあるが、それではスピードが遅いので自然と連打になる。
戦闘は完全に機械的(つまり面白くない)、戦闘メッセージも飛ばし読み。節約
のため魔法やアイテムなどを使わず、基本的に”たたかう”をひたすら繰り返す。
連射つきコントローラーだと(まだ)楽だろう。それが無ければ自力で連打だ☆


 なんだか、すべてがなつかしい。はっきり言ってセンスが古い。本当にこれが
’92に発売された作品なのかと疑ってしまう。RPG発売初期の頃ならこれで
もじゅうぶん楽しめたかもしれないが、どうしても古臭さを感じる。しかもオリ
ジナリティが低い。致命的バグがあるだとか、まったくこんなのじゃ遊べない、
というほどひどくはないんだけど。

 ショックなのは、「全滅するとお金が半分になって復活」でなく、セーブした
ところからやり直しになる点。ダンジョンなどを脱出するアイテムが存在せず、
そのための魔法もすぐに入手できないとなるとどうしても全滅の可能性が高くな
る。フィールド上では歩けば回復していくMPも、かんじんのダンジョン内では
ぴくりとも回復しない。レベルアップ後、全回復もしない。こいつはきびしい。

 ボスが異様に強くてシャレにならない攻撃をしてくる。あっという間の全滅。
そのたびにせっかく上がっていたレベルもまた上げなおし。強いのはボスだけで
はない。ザコの特殊攻撃にも要注意だ(しかし、いくら注意しても運が悪けりゃ
一撃であの世行きだ)。そして何度も同じ会話を聞いたりしなくてはならない。
こまめなセーブが不可欠だというのにどこでもセーブではなく、セーブポイント
まで出向かねばならない。面倒。

 これならまだお金半分で復活の方がマシというものだ。イベント配置とレベル
アップ間隔のバランスが悪い。キャラが決めのセリフを吐いても実力が伴わない
のでカッコ悪くやっつけられてしまう。一か八かは通用しない。最低このレベル
にならないと絶対勝てないという見えない鉄の壁が存在する。それはプレイヤー
に、こう語りかけているかのようだ。「やっぱ人生、一攫千金なんて夢見ちゃい
けないよな。コツコツ地道に努力、これだよ。耐えて耐えてバクチは打たず、列
乱さずに決められたコースを歩んでれば、失敗はしないよ」...確かにそれは
ある意味、真理なのだろう。でも、そんなのゲームで味わいたくはない。

 まず普通にやっていては全滅必至。慎重に慎重に、プレイしないといけない。
この作品における格言は「石橋を叩いてもまだ渡るな、急がば思いっきり回れ」
である。装備を完璧にしてもある程度のレベルになっていないと歯がたたない。
レベルアップのためだけの戦闘が欠かせないので、ちょっとストレスがかかる。
 ダンジョン内は道のりが結構長いのに、脱出しづらい。テレポート(地上脱出)
の魔法が使えるキャラが限られている。死者再生なんかの高度な魔法はともかく、
テレポートは全員が使えるような設定にしてほしかったなあ。ゲート(町へ瞬間
移動)の魔法は全員使えるのだから。

 旅していく道中で、さまざまな仲間がその身を主人公のために捧げる。ギルド
と呼ばれる、つまりはドラクエのルイーダの酒場みたいなところに常駐してくれ
るのだ。そこでいつでも仲間をチェンジできる。キャラごとに特徴があって面白
いことは面白いんだけど、わりと人数が多いので均等に成長させるのはつらい。
4人目の”お客様キャラ”が死ぬ確率がめっぽう高い。最大4人パーティなのだ
が、私は2人の仲間はいつも固定してあと1人を適宜交代させていた。全員育て
ていると時間かかるし、装備を買うためのお金もバカにならない。よって、この
4人目キャラは他キャラに比べてどうしてもレベルが低い。すぐ死ぬ。ボス戦で
生き残っていることが奇跡なので、そいつは勝利によるボーナス経験値の恩恵に
もあずかれず、レベル差はますますひらいてゆく。悪循環。哀しいものである。

 自分以外のキャラが死ぬとゾンビになって後をついてくる。これはギャグなの
だろう、きっと。しかし笑えない。ゲームバランスにおおいに疑問を感じている
ところへこれでは、笑うことができなかった。主人公が死ぬと仲間が生きていて
も全滅扱い。これは”まだ”わかるが、石化をくらっただけで全滅にはまいった。
どんなにHPが残っていようと主人公が石になった瞬間、全滅。すべては電子の
チリと化す。これは声を大にして文句言いたい☆「なんなの、これはぁ〜〜!!」

 魔法は魔法の書を読むことで覚える。1冊の本を仲間内で回し読みできるのは
得した気分。魔法をかける時にキャラの状態表示が出ないのは、やりづらい。
 教会での復活がタダというのはありがたかった。復活しても毒をくらったまま
の状態になってたりするのは謎。戦闘中に石化を受けても戦いが終わると回復し
ている。..これも謎だ。
 毒などの状態変化はちゃんと画面に表示されるのだけど、沈黙させられて魔法
が唱えられなくなった時のはされないので、これも表示してほしかった。沈黙を
くらっている時に魔法を唱えようとしても出来ないけれど、MPだけはしっかり
減っているのは悲しい。あと、体の部位ごとに装備をする時、最後の”その他”
の装備をするとすぐにウィンドウが閉じてしまってステータス変化がわからない。
再度ウィンドウを開いてステータスアップ(ダウン)を調べなければならないの
で不便。

 曲は、まあまあかな..なんかひどくドラクエっぽく聴こえるのもあるけど。
同じメロディをアレンジしたりして使ってるのは結構好き。

 確かこれは雑誌の読者企画で出来上がった原作があるんだっけ?私は読んだこ
とはないけど。世界観は確かに一応個性があると言えないこともない。いろんな
神様がいたり、タイトルにもある”ダブルムーン(二つの月)”など悪くないと
思う。ク○ゲーとまでは断言しないけど(プレイ中、何度もそう叫びたくなった
が)..もう一歩なのである。ほとんどどこかで見たものの寄せ集めで構成され
ていて、平凡。しかもバランスが悪い。
 このゲームを楽しめるようになるのは”生きる知恵”を学び、かつパーティが
強くなる(敵も強くなるが)後半からだろう。展開もなかなかひきつけられる。
原作を知っていればよりいっそう感情移入の度合いは高まるように思われる。

 ”日本の典型的コマンドRPG”という言葉が姿をとってあらわれたのがこの
作品のような気がする。そして、それはあまり良い意味ではない。
'94 2/25 NIFTY-Serve FCGAMEM
     ファミコン&スーパーファミコン会議室 #442
(HP登録日 '98/5/13)

ソフト発売1992年10月備考なし

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